星の王子さま vol.5
句読点あり。
カギカッコ等の表記符号は省略してあります。
タイピングをしながら小説を楽しんでくださいね。
砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。
それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどりついた王子さまだった・・・・・・
一度読んだら必ず宝物にしたくなる、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんではなさない。最も愛らしく忽然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。
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問題文
(こうしてぼくは、とてもじゅうようなふたつめのことをしった。)
こうして僕は、とても重要なふたつ目のことを知った。
(おうじさまのこきょうのほしは、)
王子さまの故郷の星は、
(いっけんのいえよりほんのすこしおおきいぐらいでしかない、)
一軒の家よりほんの少し大きいぐらいでしかない、
(ということを!)
ということを!
(だが、それほどおどろきはしなかった。)
だが、それほど驚きはしなかった。
(ちきゅうとか、もくせい、かせい、きんせいのように、)
地球とか、木星、火星、金星のように、
(なまえのあるおおきなわくせいのほかに、)
名前のある大きな惑星のほかに、
(ぼうえんきょうでもみつけるのがたいへんなようなほんのちいさなほしも、)
望遠鏡でも見つけるのが大変なようなほんの小さな星も、
(なんびゃくとあるとしっていたからだ。)
何百とあると知っていたからだ。
(そんなほしを、てんもんがくしゃがはっけんすると、)
そんな星を、天文学者が発見すると、
(なまえのかわりにばんごうをつける。)
名前のかわりに番号をつける。
(そうしてたとえば、しょうわくせい325などというふうによぶ。)
そうしてたとえば、〈小惑星325〉などというふうに呼ぶ。
(おうじさまがやってきたほしは、)
王子さまがやってきた星は、
(しょうわくせいb612だろうとぼくはおもう。)
小惑星B612だろうと僕は思う。
(たしかなりゆうがいくつかあるのだ。)
たしかな理由がいくつかあるのだ。
(このしょうわくせいはせんきゅうひゃくきゅうねんに、とるこのてんもんがくしゃによって、)
この小惑星は一九○九年に、トルコの天文学者によって、
(ぼうえんきょうでいちどだけかんそくされた。)
望遠鏡で一度だけ観測された。
(そうしてそのてんもんがくしゃは、)
そうしてその天文学者は、
(こくさいてんもんぶんがくかいぎで、)
国際天文文学会議で、
(じぶんのはっけんについてりっぱなはっぴょうをおこなった。)
自分の発見についてりっぱな発表をおこなった。
(ところがそのときのふくそうのせいで、)
ところがそのときの服装のせいで、
(だれもしんじてくれなかったのだ。)
誰も信じてくれなかったのだ。
(おとなってそんなものだ。)
おとなってそんなものだ。
(そのご、しょうわくせいb612にめいよばんかいのこううんがおとずれた。)
その後、小惑星B612に名誉挽回の幸運が訪れた。
(とるこのどくさいしゃが、こくみんによーろっぱふうのふくそうをきょうせいし、)
トルコの独裁者が、国民にヨーロッパ風の服装を強制し、
(したがわなければしけいときめたのだ。)
従わなければ死刑と決めたのだ。
(そこでせんきゅうひゃくにじゅうねん、てんもんがくしゃはとてもせんれんされたすーつで、)
そこで一九二○年、天文学者はとても洗練されたスーツで、
(もういちどはっぴょうをおこなった。)
もう一度発表をおこなった。
(するとこんどは、かれのいうことをぜんいんがみとめたのである。)
すると今度は、彼の言うことを全員が認めたのである。
(しょうわくせいb612について、こんなにくわしくはなしたり、)
小惑星B612について、こんなにくわしく話したり、
(ばんごうまであかしたりするのは、おとなたちのためだ。)
番号まで明かしたりするのは、おとなたちのためだ。
(おとなはすうじがすきだから。)
おとなは数字が好きだから。
(あたらしいともだちのことをはなしても、)
新しい友だちのことを話しても、
(おとなは、いちばんたいせつなことはなにもきかない。)
おとなは、いちばんたいせつなことはなにも聞かない。
(どんなこえをしてる?とか)
「どんな声をしてる?」とか
(どんなあそびがすき?)
「どんな遊びが好き?」
(ちょうのこれくしょんをしてる?)
「蝶のコレクションをしてる?」
(といったことはけっしてきかず、)
といったことは決して聞かず、
(なんさい?)
「何歳?」
(なんにんきょうだい?)
「何人きょうだい?」
(たいじゅうはなんきろ?)
「体重は何キロ?」
(おとうさんのしゅうにゅうは?)
「おとうさんの収入は?」
(などときくのだ。)
などと聞くのだ。
(そうしてようやく、そのこのことがわかったきになる。)
そうしてようやく、その子のことがわかった気になる。
(もしおとなにばらいろのれんがでできたすごくきれいないえをみたよ。)
もしおとなに「バラ色のレンガでできたすごくきれいな家を見たよ。
(まどべにはぜらにうむがいっぱいさいていて、)
窓辺にはゼラニウムがいっぱい咲いていて、
(やねにははとがなんわもいるんだ・・・・・・)
屋根にはハトが何羽もいるんだ・・・・・・」
(とはなしても、おとなはうまくそうぞうすることができない。)
と話しても、おとなはうまく想像することができない。
(それにはこういわなくてはならないのだ。)
それにはこう言わなくてはならないのだ。
(じゅうまんふらんのいえをみたよ!)
「十万フランの家を見たよ!」
(するとおとなたちはかんせいをあげる。)
するとおとなたちは歓声をあげる。
(それはすてきだろうね!)
「それはすてきだろうね!」
(だからおうじさまはかがやくばかりにかわいかったよ、)
だから「王子さまは輝くばかりにかわいかったよ、
(わらったんだよ、ひつじをほしがってたよ。)
笑ったんだよ、ヒツジをほしがってたよ。
(だからおうじさまはいたんだ。)
だから王子さまはいたんだ。
(ひつじをほしがるのは、そのひとがいるっていうしょうこだろ)
ヒツジをほしがるのは、その人がいるっていう証拠だろ」
(といっても、おとなたちはかたをすくめて、)
と言っても、おとなたちは肩をすくめて、
(あなたをこどもあつかいするだろう!)
あなたを子どもあつかいするだろう!
(ところがもしおうじさまはしょうわくせいb612からきたんだ)
ところがもし「王子さまは小惑星B612から来たんだ」
(といったなら、なっとくして、)
と言ったなら、納得して、
(あとはあれこれきかずにほっておいてくれるだろう。)
あとはあれこれ聞かずにほっておいてくれるだろう。
(おとなってそんなものだ。)
おとなってそんなものだ。
(でもわるくおもってはいけない。)
でも悪く思ってはいけない。
(こどもはおとなにたいして、ひろいこころをもってあげなくては。)
子どもはおとなに対して、広い心を持ってあげなくては。
(でもぼくらはもちろん、)
でも僕らはもちろん、
(いきるというのがどういうことかわかっているから、)
生きるというのがどういうことかわかっているから、
(ばんごうなんてかまわない!)
番号なんてかまわない!
(ぼくはこのものがたりを、ほんとうはおとぎばなしのようにはじめたかったのだ。)
僕はこの物語を、ほんとうはおとぎ話のように始めたかったのだ。
(こんなふうに。)
こんなふうに。