紫式部 源氏物語 絵合 1 與謝野晶子訳

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7933 8.0 98.2% 469.5 3792 67 58 2025/03/30
2 omochi 7808 8.0 96.8% 475.1 3834 124 58 2025/03/29
3 HAKU 7654 7.9 96.0% 483.1 3855 157 58 2025/03/29
4 subaru 7583 8.0 94.7% 474.7 3813 213 58 2025/03/29

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問題文

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(あいがたきいつきのみことおもいてき さらにはるかになりゆくものを(あきこ))

あひがたきいつきのみことおもひてき さらに遥かになりゆくものを(晶子)

(ぜんさいぐうのじゅだいをにょいんはねっしんにうながしておいでになった。こまごまとした)

前斎宮の入内を女院は熱心に促しておいでになった。こまごまとした

(いりようのしなじなもあろうがすべてをひきうけてするじんぶつがついていないことは)

入用の品々もあろうがすべてを引き受けてする人物がついていないことは

(きのどくであると、げんじはおもいながらもいんへのごえんりょがあって、こんどはにじょうのいんへ)

気の毒であると、源氏は思いながらも院への御遠慮があって、今度は二条の院へ

(おうつしすることもちゅうしして、ぼうかんしゃらしくみせてはいたが、だいたいのことは)

お移しすることも中止して、傍観者らしく見せてはいたが、大体のことは

(みなげんじがおやらしくしてするさしずではこんでいった。いんはざんねんがって)

皆源氏が親らしくしてする指図で運んでいった。院は残念がって

(おいでになったが、まけたひとはちんもくすべきであるとおぼしめして、てがみをおおくりに)

おいでになったが、負けた人は沈黙すべきであると思召して、手紙をお送りに

(なることもたえたかたちであった。しかもとうじつになっていんからのたいした)

なることも絶えた形であった。しかも当日になって院からのたいした

(おおくりものがきた。ごいふく、くしのはこ、みだればこ、こうごのはこにはいくしゅるいかのくんこうが)

お贈り物が来た。御衣服、櫛の箱、乱れ箱、香壺の箱には幾種類かの薫香が

(そろえられてあった。げんじがはいけんすることをよそうしてよういあそばされた)

そろえられてあった。源氏が拝見することを予想して用意あそばされた

(ものらしい。げんじのきていたときであったから、にょべっとうはそのほうこくをして)

物らしい。源氏の来ていた時であったから、女別当はその報告をして

(しなじなをみせた。げんじはただくしのはこだけをていねいにはいけんした。せんさいなぎこうでできた)

品々を見せた。源氏はただ櫛の箱だけを丁寧に拝見した。繊細な技巧でできた

(けっこうなしなである。さしぐしのはいったこばこにつけられたかざりのぞうかに)

結構な品である。挿し櫛のはいった小箱につけられた飾りの造花に

(おうたがかかれてあった。 )

御歌が書かれてあった。

(わかれぢにそえしおぐしをかごとにてはるけきなかとかみやいさめし )

別れ路に添へし小櫛をかごとにてはるけき中と神やいさめし

(このおうたにげんじはこころのいたくなるのをおぼえた。もったいないことを)

この御歌に源氏は心の痛くなるのを覚えた。もったいないことを

(はからったものであると、げんじはじしんのかつてしたくるしいおもいにひきくらべて)

計らったものであると、源氏は自身のかつてした苦しい思いに引き比べて

(いんのいまのおこころもちもそうぞうすることができておきのどくでならない。さいおうとして)

院の今のお心持ちも想像することができてお気の毒でならない。斎王として

(いせへおいでになるときにはじまったこいが、いくねんかののちにしんせいなしょくむをおえて)

伊勢へおいでになる時に始まった恋が、幾年かの後に神聖な職務を終えて

(にょおうがききょうされごきぼうのじつげんされてよいときになって、おとうとぎみのへいかのこうきゅうへ)

女王が帰京され御希望の実現されてよい時になって、弟君の陛下の後宮へ

など

(そのひとがはいられるということでどんなきがあそばすだろう。かんかなちいへ)

その人がはいられるということでどんな気があそばすだろう。閑暇な地位へ

(おのきになったげんこんのいんは、なにごともなしうるしゅけんにはなれたさびしさというような)

お退きになった現今の院は、何事もなしうる主権に離れた寂しさというような

(ものをおかんじにならないであろうか、じぶんであればよのなかがうらめしくなるに)

ものをお感じにならないであろうか、自分であれば世の中が恨めしくなるに

(ちがいないなどとおもうとこころがくるしくて、なにゆえにょおうをきゅうちゅうへいれるような)

違いないなどと思うと心が苦しくて、何故女王を宮中へ入れるような

(よけいなことをじぶんはかんがえついてみこころをなやますけっかをつくったのであろう、)

よけいなことを自分は考えついて御心を悩ます結果を作ったのであろう、

(おうらめしくおもわれたじだいもあったが、もともとやさしいにんじょうぶかいかたであるのにと、)

お恨めしく思われた時代もあったが、もともと優しい人情深い方であるのにと、

(げんじはたんそくしながらしばらくかんがえこんでいた。)

源氏は歎息しながらしばらく考え込んでいた。

(「このごへんかはどうなさるだろう、またおてがみもあったでしょうが)

「この御返歌はどうなさるだろう、またお手紙もあったでしょうが

(おこたえにならないではいけないでしょう」 などとげんじはいってもいたが、)

お答えにならないではいけないでしょう」 などと源氏は言ってもいたが、

(にょうぼうたちはおてがみだけはげんじにみせることをしなかった。)

女房たちはお手紙だけは源氏に見せることをしなかった。

(みやはきぶんがおすぐれにならないで、ごへんかをしようとされないのを、)

宮は気分がおすぐれにならないで、御返歌をしようとされないのを、

(「それではあまりにしつれいで、もったいないことでございます」)

「それではあまりに失礼で、もったいないことでございます」

(こんなことをいって、にょうぼうたちがへんじをおかかせしようと)

こんなことを言って、女房たちが返事をお書かせしようと

(くしんしているようすをしると、げんじは、 「むろんおへんじをなさらないでは)

苦心している様子を知ると、源氏は、 「むろんお返事をなさらないでは

(いけません。ちょっとだけでよいのですからおかきなさい」 といった。)

いけません。ちょっとだけでよいのですからお書きなさい」 と言った。

(げんじにそういわれることがさいぐうにはまたおはずかしくてならないのであった。)

源氏にそう言われることが斎宮にはまたお恥ずかしくてならないのであった。

(むかしをおもいだしてごらんになると、えんにうつくしいみかどがわかれをおしんで)

昔を思い出して御覧になると、艶に美しい帝が別れを惜しんで

(おなきになるのを、おとめごころにおいたわしくおおもいになったことも)

お泣きになるのを、少女心においたわしくお思いになったことも

(めのまえにうかんできた。どうじに、ははぎみのこともおもわれてかなしいのであった。 )

目の前に浮かんできた。同時に、母君のことも思われて悲しいのであった。

(わかるとてはるかにいいしひとこともかえりてものはいまぞかなしき )

別るとてはるかに言ひしひと言もかへりて物は今ぞ悲しき

(とだけおかきになったようである。おつかいのいくにんかはそれぞれさのある)

とだけお書きになったようである。お使いの幾人かはそれぞれ差のある

(いただきものをしてかえった。げんじはさいぐうのごへんかをしりたかったのであるが、)

いただき物をして帰った。源氏は斎宮の御返歌を知りたかったのであるが、

(それもみたいとはいえなかった。いんはびなんでいらせられるし、)

それも見たいとは言えなかった。院は美男でいらせられるし、

(にょおうもそれにふさわしいはいぐうのようにおもわれる、しょうねんでいられられるみかどの)

女王もそれにふさわしい配偶のように思われる、少年でいられられる帝の

(にょごにおさせすることは、にょおうのこころにふまんぞくなことであるかもしれないなどと)

女御におさせすることは、女王の心に不満足なことであるかもしれないなどと

(おもいやりのありすぎることまでもかんがえてみると、げんじはむねがさわいで)

思いやりのありすぎることまでも考えてみると、源氏は胸が騒いで

(ならなかったが、きょうになってちゅうしのできることでもなかったから)

ならなかったが、今日になって中止のできることでもなかったから

(ぎしきそのたについてのちゅういをいいおいて、したしいしゅりだゆうさんぎであるひとに)

儀式その他についての注意を言い置いて、親しい修理大夫参議である人に

(すべてをいたくしてげんじはろくじょうていをでてごしょへまいった。ようふとしていっさいをげんじが)

すべてを委託して源氏は六条邸を出て御所へ参った。養父として一切を源氏が

(せわしていることにしてはいんへすまないというえんりょから、たんにこういのあるたいどを)

世話していることにしては院へ済まないという遠慮から、単に好意のある態度を

(とっているというふうをしめしていた。もとからよいにょうぼうのおおいみやであったから、)

取っているというふうを示していた。もとからよい女房の多い宮であったから、

(じっかにひいていがちだったひとたちもみなでてきて、すでにはなやかなにょごのけいたいが)

実家に引いていがちだった人たちも皆出て来て、すでにはなやかな女御の形態が

(ととのったようにみえた。みやすどころがいきていたならば、どんなにこうしたことを)

調ったように見えた。御息所が生きていたならば、どんなにこうしたことを

(よろこぶことであろう、そうめいなこうけんやくとしてにょごのははであるのにもっともてきした)

よろこぶことであろう、聡明な後見役として女御の母であるのに最も適した

(せいかくであったとげんじはこじんがおもいだされて、こいびととしてばかりでなく、)

性格であったと源氏は故人が思い出されて、恋人としてばかりでなく、

(あのひとをうしなったことはこのよのそんしつであるともげんじはおもった。せんれんされた)

あの人を失ったことはこの世の損失であるとも源氏は思った。洗練された

(たかいしゅみのひとといっても、あれほどにすぐれたひとはみいだせないのであると、)

高い趣味の人といっても、あれほどにすぐれた人は見いだせないのであると、

(げんじはもののおりごとにみやすどころをおもった。)

源氏は物のおりごとに御息所を思った。

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