めおと鎧3

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問題文

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(「わたくしのやくめとしてこんな」)

「わたくしの役目としてこんな」

(「だまれ」まごべえはかたなにぬぐいをかけながらいった。)

「だまれ」孫兵衛は刀にぬぐいをかけながら云った。

(「おまえはなんだ、にんげんかいぬか、)

「おまえはなんだ、人間か犬か、

(にんげんならもうすこしこしをまっすぐにしろ、)

人間ならもうすこし腰をまっすぐにしろ、

(りっぱなだんしがいぬのともをしてあるくさえはずべきなのに、)

りっぱな男子が犬の供をしてあるくさえ恥ずべきなのに、

(おいぬとはなにごとだおいぬとは。)

お犬とはなにごとだお犬とは。

(あしがるだってみぶんこそかるいが、ぶしにはちがいあるまい。)

足軽だって身分こそ軽いが、武士にはちがいあるまい。

(いぬのおもりがうまくてもさむらいのほまれにはならんぞ」)

犬のお守がうまくてもさむらいのほまれにはならんぞ」

(ごんろくは、ぎゅっとくちびるをかんだ。まごべえはかたなをおさめ、)

権六は、ぎゅっと唇を噛んだ。孫兵衛は刀をおさめ、

(「ひりゅうはおれがぶれいうちにした、)

「飛竜はおれがぶれい討ちにした、

(いいぶんがあったらいつでもこい、まっているというがいい、)

いいぶんがあったらいつでも来い、待っていると云うがいい、

(わかったか」そういってそこをあゆみさった。)

わかったか」そう云ってそこをあゆみ去った。

(やしきへもどっておのれのながやへはいると、)

屋敷へもどっておのれの長屋へはいると、

(かれはつまのやしろをよんでしまつをかたった。)

かれは妻の屋代をよんで始末を語った。

(まえからおっとのそぶりで、)

まえから良人のそぶりで、

(いつかはこういうことがあるものとかくごをしていたらしい、)

いつかはこういうことがあるものと覚悟をしていたらしい、

(つまはさしておどろくようすもなかった。)

妻はさしておどろくようすもなかった。

(「よきちろうどのは、ちかごろめにたってじぶへとりいっている。)

「与吉郎どのは、近頃めにたって治部へとりいっている。

(とののおためというが、それがほんとうならむしろ)

殿のおためというが、それが本当ならむしろ

(とののちじょくでさえあるとおもう。)

殿の恥辱でさえあると思う。

など

(それとなくごいけんをするのがおわかりがないらしい。)

それとなくご意見をするのがおわかりがないらしい。

(それでとうとうこういうしゅだんをとった。)

それでとうとうこういう手段をとった。

(おそらくきくおかとはぎぜつになるとおもうが、)

おそらく菊岡とは義絶になると思うが、

(そうなったばあいおまえはどうする」やしろはおっとをみあげて、)

そうなった場合おまえはどうする」屋代は良人を見あげて、

(それはあらためてもうしあげるまでもないといった。)

それはあらためて申上げるまでもないと云った。

(「だが、もっとわるいことになるかもしれぬぞ」)

「だが、もっと悪いことになるかもしれぬぞ」

(「いかようなことになりましょうとも」)

「いかようなことになりましょうとも」

(とやしろはつつましくこたえた。)

と屋代はつつましく答えた。

(「わたくしはこうたけのよめでござります」)

「わたくしは香田家の嫁でござります」

(きまりきったへんじではあるが、やはりきめどころを)

きまりきった返辞ではあるが、やはりきめどころを

(きめたというかんじで、まごべえはこころがおちついた。)

きめたという感じで、孫兵衛は心がおちついた。

(よきちろうがいしだみつなりにとりいろうとするのを、)

与吉郎が石田三成にとりいろうとするのを、

(どうしてそこまでかれがにくんだかというにはりゆうがあった。)

どうしてそこまでかれが憎んだかというには理由があった。

(ごしゅくんさきょうだいぶゆきながのちちは、)

ごしゅくん左京大夫幸長の父は、

(だんじょうしょうひつながまさである。もとおだのぶながのかしんであり、)

弾正少弼長政である。もと織田信長の家臣であり

(ひでよしとはあいむこのしんぞくであったが、ひでよしがかんぱくだいじょうだいじんとまで)

秀吉とはあい婿の親族であったが、秀吉が関白太政大臣とまで

(えいたつするあいだに、ふたりのあいだがらはかならずしもおりあいがよくはなかった。)

栄達するあいだに、ふたりのあいだがらは必ずしも折合いがよくはなかった。

(ながまさはにどまでひでよしのために、あぶなくころされようとした。)

長政は二度まで秀吉のために、危くころされようとした。

(そのにどともとくがわいえやすがちょうていにたっていのちはたすかったが、)

その二度とも徳川家康が調停にたって命はたすかったが、

(にじゅうよまんごくのだいみょうとしては、ぬぐいがたきくつじょくだった。)

二十余万石の大名としては、ぬぐいがたき屈辱だった。

(そのうえ、きょねんひでよしがせいきょしてまもなく、)

そのうえ、去年秀吉が逝去して間もなく、

(あさのながまさは、ひそかにとくがわどのをうとうと)

浅野長政は、ひそかに徳川どのを討とうと

(ぼうりゃくをめぐらせている、というみつちょうを、)

謀略をめぐらせている、という密諜を、

(とくがわけへつうじたものがあった。)

徳川家へ通じたものがあった。

(むろんねもはもないことだったが、ながまさとしては)

むろん根も葉もないことだったが、長政としては

(いのちをすくわれたおんがあるので、すぐにごぶぎょうのしょくをさり、)

命を救われた恩があるので、すぐに五奉行の職を去り、

(むさしのくにちょうふのさとにいんせいして、)

武蔵のくに調布の里に隠棲して、

(ふたごころのないことをあかさなければならなかった。)

二心のないことを証さなければならなかった。

(そしてこのみつちょうが、じぶのしょうからでたものだということは、)

そしてこの密諜が、治部少輔から出たものだということは、

(いまではしらぬものがないといってよい。)

いまでは知らぬ者がないといってよい。

(これらのじじょうをおもいあわせると、)

これらの事情を思いあわせると、

(よきちろうがごしゅくんのためとしょうしてしきりにみつなりへ)

与吉郎がご主君のためと称してしきりに三成へ

(とりいっていることが、くつじょくのうわぬりであると)

とりいっていることが、屈辱のうわ塗りであると

(いってもむりはないだろう。)

云っても無理はないだろう。

(まして、あわよくばおのれのうんの)

まして、あわよくばおのれの運の

(ふみだんにしようというはらはらがあるとすれば、)

踏段にしようという肚はらがあるとすれば、

(べえがさいあくのばあいをもじさぬきもちをもったことは、)

孫兵衛が最悪の場合をも辞さぬ気持を持ったことは、

(けっしてふとうではなかったのである。)

決して不当ではなかったのである。

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