家なき子 15

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数0難易度(4.5) 4862打 長文
作者 エクトール・マロ

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問題文

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(ぼくたちはまた、ぱりにむかってあるきだしました。) 僕たちはまた、パリに向かって歩き出しました。 (ぱりのまちにつくまでには、まだなんにちもかかります。) パリの町に着くまでには、まだ何日もかかります。 (あるいているぼくたちにむかって、あさからばんまでつめたいきたかぜがふきつけ) 歩いている僕たちに向かって、朝から晩まで冷たい北風が吹きつけ (てとあしをこごえさせました。) 手と足を凍えさせました。 (そうして、なんにちかするとだんだんひとどおりがおおくなり) そうして、何日かするとだんだん人通りが多くなり (いえもたくさんみえてきました。いよいよぱりにちかづいたのです。) 家もたくさん見えてきました。いよいよパリに近づいたのです。 (でも、いったいぱりにいって、ぼくたちはなにをしたらいいのでしょう。) でも、いったいパリに行って、僕たちは何をしたらいいのでしょう。 (おじいさんとぼくとかぴだけでは、とてもけんぶつにんがあつまるとはおもえませんでした。) お爺さんと僕とカピだけでは、とても見物人が集まるとは思えませんでした。 (すると、おじいさんがぼくにいいました。) すると、お爺さんが僕に言いました。 (「あとよじかんもすると、ぱりにつくよ」) 「あと四時間もすると、パリに着くよ」
(それからぼくのかおをみてこういいました。) それから僕の顔を見てこう言いました。 (「ぱりについたら、わしたちはわかれるのだ」) 「パリに着いたら、わしたちは別れるのだ」 (ぼくはあおくなって、びたりすじいさんをみあげました。) 僕は青くなって、ビタリス爺さんを見上げました。 (そして、こえをふるわせていいました。) そして、声を震わせて言いました。 (「まさか、ぼくをすてるんじゃないでしょう?」) 「まさか、僕を捨てるんじゃないでしょう?」 (「おお、だれがかわいいおまえをすてるもんか。しんぱいしなくてもいい。) 「おお、誰が可愛いおまえを捨てるもんか。心配しなくてもいい。 (わしは、みりがんさんからおまえをひきとったとき、わしのてでりっぱに) わしは、ミリガンさんからおまえを引き取った時、わしの手で立派に (おまえをそだてたいとおもったのだ。ところが、いろんなできごとがおきて) お前を育てたいと思ったのだ。ところが、いろんな出来事が起きて (おまえになにもしてやれなくなってしまった。しかし、なんとかしなくてはならん。) お前に何もしてやれなくなってしまった。しかし、何とかしなくてはならん。 (それで、しばらくおまえとわかれようとおもうのだ。) それで、しばらくお前と別れようと思うのだ。
など
(それも、たったのふたつきかみつきほどだ」) それも、たったのふた月か三月ほどだ」 (それでも、ぼくがしょんぼりしていると、おじいさんはやさしくいいました。) それでも、僕がしょんぼりしていると、お爺さんは優しく言いました。 (「かんがえてごらん。わしたちふたりとかぴだけで、どうしてくらせるとおもう。) 「考えてごらん。わしたち二人とカピだけで、どうして暮らせると思う。 (こどもたちにばかにされ、いしをなげつけられて、いちにちにじゅっすうもかせげまい。) 子供たちに馬鹿にされ、石を投げつけられて、一日二十スウも稼げまい。 (たったにじゅっすうでどうしてさんにんがくっていけよう。おまけにあめやゆきや) たった二十スウでどうして三人が食っていけよう。おまけに雨や雪や (ひどいさむさのひには、いちもんのかせぎもないのだ」) ひどい寒さの日には、一文の稼ぎもないのだ」 (「でも、ぼくはーぷをひいてうたうから」ぼくがいうと、おじいさんはくびをふりました。) 「でも、僕ハープを弾いて歌うから」僕が言うと、お爺さんは首を振りました。 (「おまえのようなこどもがふたりいれば、うまくいくかもしれない。) 「お前のような子供が二人いれば、うまくいくかもしれない。 (だが、わしのようなとしよりとこどもでは、それもむずかしい。) だが、わしのような年寄りと子供では、それも難しい。 (ぱりというところは、いそがしいまちで、ひとびとものんびりなどしていない。) パリというところは、忙しい町で、人々ものんびりなどしていない。 (そのひとびとをあつめて、かねをかせぐのはたいへんなことなのじゃ。) その人々を集めて、金を稼ぐのは大変なことなのじゃ。 (それで、わしは、こうすることにきめた。ふゆがおわるまでおまえを) それで、わしは、こうすることに決めた。冬が終わるまでお前を (がろふぉりおやかたにあずかってもらう。このおやかたは、おまえをほかのこどもたちといっしょに) ガロフォリ親方に預かってもらう。この親方は、お前をほかの子供たちと一緒に (あずかって、がっきをおしえてくれるはずだ」) 預かって、楽器を教えてくれるはずだ」 (「でも・・・」ぼくがいいかけると、びたりすじいさんはかまわずにはなしをつづけました。) 「でも・・・」僕が言いかけると、ビタリス爺さんは構わずに話を続けました。 (「わしは、まちかどでがっきをひいてくらしているこどもたちに) 「わしは、街角で楽器を弾いて暮らしている子供たちに (はーぷやばいおりんをおしえてくらすつもりだ。わしは、ぱりになんども) ハープやバイオリンを教えて暮らすつもりだ。わしは、パリに何度も (きているから、みんなわしのなまえをしっておる。わしがおしえるといえば) 来ているから、みんなわしの名前を知っておる。わしが教えると言えば (おしえられないくらいおおぜいのこどもたちがあつまってくるだろう。) 教えられないくらい大勢の子供たちが集まってくるだろう。 (わしのことはしんぱいない。わしは、そのひまににひきのいぬをしこんで) わしのことは心配ない。わしは、そのひまに二匹の犬を仕込んで (ぜるびのやどるすのようないぬにそだてるつもりだ。そうすれば、はるになってから) ゼルビノやドルスのような犬に育てるつもりだ。そうすれば、春になってから (またふたりでいっしょにたびができるぞ。れみ、くじけてはいけない。) また二人でいっしょに旅ができるぞ。レミ、くじけてはいけない。 (どんなつらいめにあっても、ゆうきをもってたたかうんだ。そうすればきっと、) どんなつらい目にあっても、勇気をもって戦うんだ。そうすればきっと、 (しあわせになれる。そうだとも、もうちょっとのしんぼうだ。) 幸せになれる。そうだとも、もうちょっとの辛抱だ。 (はるになったら、どいつへもいぎりすへもつれていってあげよう。) 春になったら、ドイツへもイギリスへも連れて行ってあげよう。 (そうすれば、おまえもいろんなことをしってりこうになる。) そうすれば、お前もいろんなことを知って利口になる。 (わしは、みりがんさんのまえでやくそくしたように、) わしは、ミリガンさんの前で約束したように、 (おまえをりっぱなにんげんにそだてあげたいのだ」) お前を立派な人間に育て上げたいのだ」 (あとになってかんがえてみると、びたりすじいさんがぼくのために) あとになって考えてみると、ビタリス爺さんが僕のために (どんなにいっしょうけんめいちからをつくしてくれたかということが、よくわかります。) どんなに一生懸命力を尽くしてくれたかということが、よくわかります。 (でも、そのときのぼくは、おじいさんとわかれなくてはならないとおもうと) でも、その時の僕は、お爺さんと別れなくてはならないと思うと (こころぼそくてたまりませんでした。) 心細くてたまりませんでした。 (それに、おじいさんはぼくをおやかたにあずけるといったけれど、) それに、お爺さんは僕を親方に預けると言ったけれど、 (おやかたということばをきいただけで、ぼくはぞっとしてしまいました。) 親方という言葉を聞いただけで、僕はぞっとしてしまいました。 (ぼくは、まちやむらをとおりすぎるとき、たくさんのおやかたをみてきました。) 僕は、町や村を通り過ぎるとき、たくさんの親方を見てきました。 (これらのおやかたはやとったこどもたちをぼうでなぐりつけ、がみがみとしかりつけていました) これらの親方は雇った子供たちを棒で殴りつけ、がみがみと叱りつけていました (びたりすじいさんは、ぼくをじぶんのこどものようにあつかい) ビタリス爺さんは、僕を自分の子供のように扱い (けっして、どなったりなぐったりしたことはありませんが、ぼくのみたおやかたたちは) 決して、怒鳴ったり殴ったりしたことはありませんが、僕の見た親方たちは (おじいさんとはまるでちがったひとたちでした。) お爺さんとはまるで違った人たちでした。 (もし、ぼくをあずかるおやかたが、そんなひとだったらどうしよう・・・) もし、僕を預かる親方が、そんな人だったらどうしよう・・・ (そうかんがえると、ぼくはしんぱいでたまらなくなりました。) そう考えると、僕は心配でたまらなくなりました。 (たとえいいおやかただったとしても、しばらくのあいだ、ぼくはびたりすじいさんと) たとえいい親方だったとしても、しばらくの間、僕はビタリス爺さんと (わかれてくらさなくてはならないのです。かんがえてみると、ぼくはこれまで) 別れて暮らさなくてはならないのです。考えてみると、僕はこれまで (いろいろなひととつらいわかれをしてきました。) いろいろな人とつらい別れをしてきました。 (そだてのおやのばるぶらんおかあさん、そして、あーさーとみりがんさん) 育ての親のバルブランお母さん、そして、アーサーとミリガンさん (それからこんどはびたりすじいさん・・・。) それから今度はビタリス爺さん・・・。 (これからもぼくは、だいすきなひとたちといつもつらいわかれをしなければ) これからも僕は、大好きな人たちといつもつらい別れをしなければ (ならないのかもしれません。「いつもぼくは、ひとりぼっち。どこにもぼくの) ならないのかもしれません。「いつも僕は、独りぼっち。どこにも僕の (おちつくばしょはないのだ」そうおもうと、ぼくのむねはかなしみでいっぱいになりました) 落ち着く場所はないのだ」そう思うと、僕の胸は悲しみでいっぱいになりました (ぼくはうなだれて、おじいさんのうしろからついていきました。) 僕はうなだれて、お爺さんの後ろからついて行きました。 (しばらくすると、かわがあってそこにながいはしがかかっていました。) しばらくすると、川があってそこに長い橋が架かっていました。 (はしのうえのゆきはくるまのあとでまっくろになっていて、どろどろにとけかかっていました。) 橋の上の雪は車の跡で真っ黒になっていて、どろどろに溶けかかっていました。 (ぼくたちはそのゆきにあしくびまでつかって、やっとはしをわたりました。) 僕たちはその雪に足首まで浸かって、やっと橋を渡りました。 (はしをわたりおえると、いえのたてこんだむらがあり、) 橋を渡り終えると、家の建て込んだ村があり、 (それをすぎると、またいなかのけしきになりました。) それを過ぎると、また田舎の景色になりました。 (でも、みちにはしょっちゅうくるまがとおっていました。) でも、道にはしょっちゅう車が通っていました。 (ぼくはおじいさんとならんであるきだし、かぴはぼくのすぐうしろに) 僕はお爺さんと並んで歩きだし、カピは僕のすぐ後ろに (くっついてあるいていました。) くっついて歩いていました。 (しばらくすると、いなかのけしきはみえなくなってどろのないひろいとおりにでました。) しばらくすると、田舎の景色は見えなくなって泥のない広い通りに出ました。 (みちのりょうがわは、とおくのほうまでぎっしりといえがたちならんでいます。) 道の両側は、遠くの方までぎっしりと家が建ち並んでいます。 (でも、ぼくがこれまでみてきたぼるどーや、とぅーるーずやりよんのまちにくらべて) でも、僕がこれまで見てきたボルドーや、トゥールーズやリヨンの町に比べて (このまちはひどくまずしげで、うつくしくありませんでした。) この町はひどく貧しげで、美しくありませんでした。 (ところどころに、かきあつめたゆきのやまがあって、) ところどころに、かき集めた雪の山があって、 (そこにはいやごみやくさったやさいがすててありました。) そこに灰やゴミや腐った野菜が捨ててありました。 (まちなかにへんなにおいがただよっていましたが、とおるひとはきにならないらしく) 町中に変な匂いが漂っていましたが、通る人は気にならないらしく (へいきなかおをしてあるいています。) 平気な顔をして歩いています。 (「ここは、どこなの?」ぼくは、おじいさんにきいてみました。) 「ここは、どこなの?」僕は、お爺さんに聞いてみました。 (すると、おじいさんはこたえました。「ここがぱりだよ」) すると、お爺さんは答えました。「ここがパリだよ」 (ぼくは、むねにえがいていたぱりとあまりにちがいすぎるので) 僕は、胸に描いていたパリとあまりに違い過ぎるので (おどろいてしまいました。ぼくは、ぱりをきんやぎんでできたまちのようにおもっていたのです) 驚いてしまいました。僕は、パリを金や銀でできた町のように思っていたのです
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