古今和歌集2

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和歌は日本語の美の極地
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問題文

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(わたつうみのはまのまさごをかぞへつつきみがちとせのありかずにせむ) 渡つ海の浜の真砂を数へつつ君が千歳のあり数にせむ (しほのやまさしでのいそにすむちどりきみがみよをばやちよとぞなく) しほの山さしでの磯にすむ千鳥きみがみ世をば八千世とぞなく (わがよはひきみがやちよにとりそへてとどめおきてはおもひいでにせよ) わが齢君が八千世にとりそへてとどめおきては思ひいでにせよ (かくしつつとにもかくにもながらへてきみがやちよにあふよしもがな) かくしつつとにもかくにも長らへて君が八千世に逢ふよしもがな (ちはやぶるかみやきりけむつくからにちとせのさかもこえぬべらなり) ちはやぶる神や切りけむつくからに千歳の坂も越えぬべらなり (さくらばなちりかひくもれおいらくのこむといふなるみちまがふがに) さくら花散りかひくもれ老いらくの来むといふなる道まがふがに (かめのおのやまのいわねをとめておつるたきのしらたまちよのかずかも) 亀の尾の山の岩根をとめて落つる瀧の白玉千世の数かも (いたづらにすぐすつきひはおもほえではなみてくらすはるぞすくなき) いたづらに過ぐす月日は思ほえで花見てくらす春ぞ少なき (はるくればやどにまづさくうめのはなきみがちとせのかざしとぞみる) 春くれば宿にまづ咲く梅の花君が千歳のかざしとぞ見る (やまたかみくもいにみゆるさくらばなこころのゆきておらぬひぞなき) 山高み雲井に見ゆる桜花心の行きて折らぬ日ぞなき
(おとにのみきくのしらつゆよるはおきてひるはおもひにあへずけぬべし) 音にのみきくの白露夜はおきて昼は思ひにあへず消ぬべし (よしのがわいわなみたかくゆくみずのはやくぞひとをおもひそめてし) 吉野河岩浪高く行く水の早くぞ人を思ひそめてし (しらなみのあとなきかたにゆくふねもかぜぞたよりのしるべなりける) 白浪のあとなき方に行く舟も風ぞたよりのしるべなりける (おとばやまおとにききつつあふさかのせきのこなたにとしをふるかな) 音羽山音に聞きつつ相坂の関のこなたに年をふるかな (よのなかはかくこそありけれふくかぜのめにみぬひともこひしかりけり) 世の中はかくこそ有りけれ吹く風の目に見ぬ人も恋ひしかりけり (みずもあらずみもせぬひとのこひしくはあやなくきょうやながめくらさむ) 見ずもあらず見もせぬ人の恋ひしくはあやなく今日やながめ暮らさむ (しるしらぬなにかあやなくわきていはむおもひのみこそしるべなりけれ) 知る知らぬなにかあやなくわきていはむ思ひのみこそしるべなりけれ (やまざくらかすみのまよりほのかにもみてしひとこそこひしかりけれ) 山ざくら霞の間よりほのかにも見てし人こそ恋ひしかりけれ (たよりにもあらぬおもひのあやしきはこころをひとにつくるなりけり) たよりにもあらぬ思ひのあやしきは心を人につくるなりけり (みわやまをしかもかくすかはるがすみひとにしられぬはなやさくらむ) 三輪山をしかも隠すか春霞人に知られぬ花や咲くらむ
など
(わがいほはみわのやまもとこひしくはとぶらひきませすぎたてるかど) わが庵は三輪の山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉立てる門 (あふことはくもいはるかになるかみのおとにききつつこひわたるかな) 逢ふ事は雲井はるかになる神の音に聞きつつ恋ひ渡るかな (かたいとをこなたかなたによりかけてあはずはなにをたまのをにせむ) 片糸をこなたかなたによりかけてあはずは何を玉の緒にせむ (ゆうぐれはくものはたてにものぞおもふあまつそらなるひとをこふとて) 夕暮れは雲のはたてに物ぞ思ふ天つ空なる人を恋ふとて (かりこものおもひみだれてわがこふといもしるらめやひとしつげずは) かりこもの思ひみだれて我が恋ふといもしるらめや人し告げずは (ちはやぶるかものやしろのゆふだすきひとひもきみをかけぬひはなし) ちはやぶる賀茂の社のゆふだすきひと日も君をかけぬ日はなし (わがこひはむなしきそらにみちぬらしおもひやれどもゆくかたもなし) 我が恋は虚しき空に満ちぬらし思ひやれどもゆく方もなし (たぎつせのなかにもよどはありてふをなどわがこひのふちせともなき) たぎつ瀬のなかにも淀はありてふをなど我が恋の淵瀬ともなき (やまたかみしたゆくみずのしたにのみながれてこひむこひはしぬとも) 山高み下行く水の下にのみ流れて恋ひむ恋は死ぬとも (なつなればやどにふすぶるかやりびのいつまでわがみしたもえをせむ) 夏なれば宿にふすぶる蚊遣火のいつまで我が身下燃えをせむ (こひせじとみたらしがわにせしみそぎかみはうけずぞなりにけらしも) 恋せじと御手洗河にせし禊神は受けずぞなりにけらしも (いせのうみのあまのつりなわうちはへてくるしとのみやおもひわたらぬ) 伊勢の海の海人の釣り縄打ちはへてくるしとのみや思ひ渡らむ (しもとゆふかつらぎやまにふるゆきのまなくときなくおもほゆるかな) しもと結ふ葛城山に降る雪の間なく時なく思ほゆるかな (おふみよりあさたちくればうねののにたづぞなくなるあけぬこのよは) 近江より朝たち来ればうねの野に田鶴ぞ鳴くなるあけぬこの夜は (かみがきのみむろのやまのさかきばはかみのみまえにしげりあひにけり) 神垣のみむろの山の榊葉は神のみ前に茂りあひにけり (しもやたびおけどかれせぬさかきばのたちさかゆべきかみのきねかも) 霜やたび置けど枯れせぬ榊葉の立ち栄ゆべき神のきねかも (まきもくのあなしのやまのやまびとひともみるかにやまかづらせよ) 巻向の穴師の山の山人と人も見るかに山かづらせよ (みやまにはあられふるらしとやまなるまさきのかづらいろつきにけり) 深山には霰降るらし外山なるまさきの葛色つきにけり (みちのくのあだちのまゆみわがひかばすえさへよりこしのびしのびに) 陸奥の安達の真弓我が引かば末さへ寄り来しのびしのびに (ささのくまひのくまがわにこまとめてしばしみずかへかげをだにみむ) さ檜の隈檜の隈川に駒止めてしばし水飼へ影をだに見む (かわかぜのすずしくもあるかうちよするなみとともにやあきはたつらむ ) 河風の涼しくもあるかうちよする浪とともにや秋は立つらむ (わがせこがころものすそをふきかえしうらめづらしきあきのはつかぜ) 我が背子が衣のすそを吹返しうらめづらしき秋のはつ風 (きのうこそさなへとりしかいつのまにいなばそよぎてあきかぜのふく) 昨日こそ早苗取りしかいつのまに稲葉そよぎて秋風の吹く (あきかぜのふきにしひよりひさかたのあまのかわらにたたぬひはなし) 秋風の吹きにし日より久方の天の河原にたたぬ日はなし (あまのがわもみじをはしにわたせばやたなばたつめのあきをしもまつ) 天の河紅葉を橋に渡せばや七夕つ女の秋をしもまつ (こひこひてあふよはこよひあまのがわきりたちわたりあけずもあらなむ) 恋ひ恋ひて逢ふ夜はこよひ天の河霧立ちわたりあけずもあらなむ (あまのがわあさせしらなみたどりつつわたりはてねばあけぞしにける) 天の河浅瀬しら浪たどりつつ渡り果てねば明けぞしにける (ちぎりけむこころぞつらきたなばたのとしにひとたびあふはあふかは) 契りけむ心ぞつらき織女の年にひとたび逢ふは逢ふかは (としごとにあふとはすれどたなばたのぬるよのかずぞすくなかりける) 年ごとに逢ふとはすれど七夕の寝る夜の数ぞすくなかりける (たなばたにかしつるいとのうちはへてとしのをながくこひやわたらむ) 織女にかしつる糸の打ちはへて年のを長く恋ひや渡らむ (こよひこむひとにはあはじたなばたのひさしきほどにまちもこそすれ) 今宵こむ人には逢はじ七夕のひさしきほどに待ちもこそすれ (いまはとてわかるるときはあまのがわわたらぬさきにそでぞひじぬる) 今はとてわかるる時は天の河わたらぬさきに袖ぞひぢぬる (けふよりはいまこむとしのきのふこそいつしかとのみまちわたるべき) 今日よりは今こむ年の昨日をぞいつしかとのみ待ち渡るべき (このまよりもりくるつきのかげみればこころづくしのあきはきにけり) 木の間より漏りくる月の影見れは心づくしの秋は来にけり (ひとりぬるとこはくさばにあらねどもあきくるよひはつゆけかりけり) ひとり寝る床は草葉にあらねども秋くる宵は露けかりけり (いつはとはときはわかねどあきのよぞものおもふことのかぎりなりける) いつはとは時はわかねど秋の夜ぞ物思ふ事のかぎりなりける (さよなかとよはふけぬらしかりがねのきこゆるそらにつきわたるみゆ) さ夜中と夜は更けぬらし雁が音の聞こゆる空に月渡る見ゆ (おもひつつぬればやひとのみえつらむゆめとしりせばさめざらましを) 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢としりせは覚めざらましを (うたたねにこひしきひとをみてしよりゆめてふものはたのみそめてき) うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふ物は思みそめてき (いとせめてこひしきときはむばたまのよるのころもをかへしてぞきる) いとせめて恋ひしき時はむばたまの夜の衣を返してぞきる (あきかぜのみにさむければつれもなきひとをぞたのむくるるよごとに) 秋風の身に寒ければつれもなき人をぞたのむ暮るる夜ごとに (つつめどもそでにたまらぬしらたまはひとをみぬめのなみだなりけり) つつめども袖にたまらぬ白玉は人を見ぬめの涙なりけり (おろかなるなみだぞそでにたまはなすわれはせきあへずたぎつせなれば) おろかなる涙ぞ袖に玉はなす我はせきあへずたぎつ瀬なれば (こひわびてうちねるなかにゆきかよふゆめのただじはうつつならなむ) 恋ひわびてうち寝る中に行きかよふ夢の直路はうつつならなむ (わがこひはみやまがくれのくさなれやしげさまされどしるひとのなき) 我が恋は深山隠れの草なれやしげさまされど知る人のなき (よひのまもはかなくみゆるなつむしにまよひまされるこひもするかな) 宵の間もはかなく見ゆる夏虫に迷ひまされる恋もするかな (ゆふさればほたるよりけにもゆれどもひかりみねばやひとのつれなき) 夕されば蛍よりけに燃ゆれども光見ねばや人のつれなき (ささのはにおくしもよりもひとりぬるわがころもでぞさえまさりける) 笹の葉におく霜よりも一人寝るわが衣手ぞさえまさりける (しぬるいのちいきもやするとこころみにたまのをばかりあはむといはなむ) 死ぬる命生きもやすると心みに玉の緒ばかり逢はむといはなむ (こひしきにわびてたましひまよひなばむなしきからのなにやのこらむ) 恋しきにわびてたましひ迷ひなばむなしきからのなにや残らむ (あをやぎをかたいとによりてうぐいすのぬふてふかさはうめのはながさ) 青柳を片糸に縒りて鶯の縫ふてふ笠は梅の花笠 (まがねふくきびのなかやまおびにせるほそたにがわのおとのさやけさ) 真金吹く吉備の中山帯にせる細谷河の音のさやけさ (あふみのやかがみのやまをたてたればかねてぞみゆるきみがよはひは) 近江のや鏡の山を立てたればかねてぞ見ゆる君が千歳は (あぶくまにきりたちくもりあけぬともきみをばやらじまてばすべなし) 阿武隈に霧立ちくもりあけぬとも君をばやらじ待てばすべなし (もがみがわのぼればくだるいなふねのいなにはあらずこのつきばかり) 最上河上れば下る稲舟の否にはあらずこの月ばかり (こころからはなのしづくにそぼちつつうくひずとのみとりのなくらむ) 心から花のしづくにそぼちつつうくひずとのみ鳥のなくらむ (くべきほどときすぎぬれやまちわびてなくなるこえのひとをとよむる) 来べきほどときすぎぬれや待ちわびてなくなるこゑの人をとよむる (あなうめにつねなるべくもみえぬかなこひしかるべきかはにほひつつ) あなうめに常なるべくも見えぬかな恋ひしかるべき香はにほひつつ (かづけどもなみのなかにはさぐられてかぜふくごとにうきしづむたま) かづけども浪のなかにはさぐられて風吹くごとにうきしづむたま (いまいくかはるしなければうぐひすもものはながめておもふべらなり) 今いくか春しなければうぐひすもものはながめて思ふべらなり (あきはきぬいまやまがきのきりぎりすよなよななかむかぜのさむさに) 秋は来ぬいまやまがきのきりぎりす夜な夜な鳴かむ風の寒さに (かくばかりあふひのまれになるひとをいかがつらしとおもはざるべき) かくばかりあふひのまれになる人をいかがつらしとおもはざるべき (をぐらやまみねたちならしなくしかのへにけむあきをしるひとぞなき) 小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋をしる人ぞなき (たつたがわにしきおりかくかみなづきしぐれのあめをたてぬきにして) 竜田河綿おりかく神無月しぐれの雨をたてぬきにして (おほぞらのつきのひかりしきよければかげみしみずぞまづこほりける) おほぞらの月のひかりし清ければ影見し水ぞまづ凍りける (いまよりはつぎてふらなむわがやどのすすきおしなみふれるしらゆき) 今よりはつぎて降らなむ我が宿のすすきおしなみ降れる白雪 (ふるゆきはかつぞけぬらしあしびきのやまのたぎつせおとまさるなり) 降る雪はかつぞ消ぬらしあしびきの山のたぎつ瀬音まさるなり (このかわにもみぢばながるおくやまのゆきげのみずぞいままさるらし) この河にもみぢ葉流る奥山の雪消の水ぞ今まさるらし (ふるさとはよしののやましちかければひとひもみゆきふらぬひはなし) ふるさとは吉野の山し近ければひと日もみ雪降らぬ日はなし (ゆきふればふゆごもりせるくさもきもはるにしられぬはなぞさきける) 雪ふれば冬ごもりせる草も木も春に知られぬ花ぞ咲きける (しらゆきのところもわかずふりしけばいはほにもさくはなとこそみれ) 白雪のところもわかず降りしけば巌にも咲く花とこそ見れ (ふくからにあきのくさきのしをるればむべやまかぜをあらしといふらむ) 吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ (もみじせぬときはのやまはふくかぜのおとにやあきをききわたるらむ) 紅葉せぬ常緑の山は吹く風の音にや秋を聞きわたるらむ (かみなづきしぐれもいまだふらなくにかねてうつろふかみなびのもり) 神無月時雨もいまだ降らなくにかねてうつろふ神奈備の杜 (ちはやぶるかみなびやまのもみぢばにおもひはかけじうつろふものを) ちはやぶる神奈備山の紅葉葉に思ひはかけじ移ろふものを (おなじえをわきてこのはのうつろふはにしこそあきのはじめなりけれ) 同じ枝をわきて木の葉の移ろふは西こそ秋のはじめなりけれ (あきかぜのふきにしひよりおとはやまみねのこずえもいろづきにけり) 秋風の吹きにし日より音羽山峰の梢も色づきにけり (あきのよのつゆをばつゆとおきながらかりのなみだやのべをそむらむ) 秋の夜の露をば露と置きながら雁の涙や野辺を染むらむ (あきのつゆいろいろことにおけばこそやまのこのはのちぐさなるらめ) 秋の露いろいろことに置けばこそ山の木の葉のちぐさなるらめ (あめふれどつゆももらじをかさどりのやまはいかでかもみぢそめけむ) 雨ふれど露も漏らじを笠取の山はいかでか紅葉染めけむ
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