朱隠し

(まほらのとにたつうぶすなへ)

まほらの戸に立つ　産土(ウブスナ)へ

(たむけるはつばきはな)

手向けるは　椿花

(ゆめじのやしろのそのおくに)

夢路の社の　其の奥に

(よもすがらさきにおう)

よもすがら　咲き匂う

(ねじれのまちかどゆうぐれに)

捻れの街角　夕暮れに

(かげぼうしだれをおもう)

影法師　誰を想う

(からからまわるはかざぐるま)

からから廻るは　風車

(いざなわれきみをおもう)

誘われ　君を想う

(ないしょないしょきこえくるのは)

ないしょ　ないしょ　きこえくるのは

(よいのさかいのかぐらうた)

よいの　さかいの　かぐらうた

(うたえ)

うたえ

(あかやあかしやあやかしの)

あかやあかしやあやかしの

(とりいこえたそのむこう)

鳥居　越えたその向こう

(ゆがみゆがんだこのこころ)

歪み歪んだこの心

(すべてあいしてくらいましょう)

すべてあいして　喰らいましょう

(あかやあかしやあやかしの)

あかやあかしやあやかしの

(ゆれるきつねびあざやかに)

ゆれる狐火　あざやかに

(ゆがみゆがんだこのきずな)

歪み歪んだこの絆

(すべてあいしてくらいましょう)

すべてあいして　喰らいましょう

(ひふみよいむなやこともちろらね)

ひふみよいむなや　こともちろらね

(しきるゆいつわぬそをたはくめか)

しきるゆゐつわぬそをたはくめか

(うおえにさりへてのますあせえほれけ)

うおゑにさりへて　のますあせえほれけ

(しらずかずらのあかねもり)

不知花(シラズカズラ)の茜森(アカネモリ)

(てまねくはまぼろしか)

手招くは　まぼろしか

(えらびえらばれゆくすえは)

選び選ばれ　行く末は

(いとしかなしのあかかくし)

いとしかなしの　朱隠し(アカカクシ)

(さかしまのまちはつぎはぎに)

逆しまの街は　ツギハギに

(ねじれのいんががはびこりて)

捻れの因果が　蔓延(ハビコ)りて

(いたみのれんさはつぎつぎに)

悼(イタ)みの連鎖は　ツギツギに

(つぎはどのことおいかける)

次はどの児(コ)と　追いかける

(あかやあかしやあやかしの)

あかやあかしやあやかしの

(ねがいかつえたそのはてに)

願い餓(カツ)えた　その果てに

(つなぎつなげたこのおもい)

繋ぎ繋げた　この想い

(すべてあいしてゆるしましょう)

すべてあいして　赦しましょう

(かみのますとりいにいれば)

かみのますとりいにいれば

(このみよりひつぎのみやとやすらげくす)

このみよりひつぎのみやとやすらげくす