海野十三 蠅男52

投稿者nyokesi プレイ回数208
難易度(4.5) 4394打 長文 長文モード可 タグ長文 小説 文豪



※➀に同じくです。


順位名前スコア称号打鍵/秒正誤率時間(秒)打鍵数ミス問題日付
1 Yuu 7731 8.0 96.2% 540.9 4352 170 79 2020/06/07
2 HAKU 6989 S++ 7.2 96.2% 603.8 4391 171 79 2020/06/01
3 subaru 6983 S++ 7.3 94.8% 592.0 4371 237 79 2020/06/01
4 berry 6968 S++ 7.2 96.0% 598.3 4350 181 79 2020/05/31
5 おっ 6868 S++ 7.2 95.4% 605.5 4368 209 79 2020/06/01

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問題文

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(すなぶろのいへん)

◇砂風呂の異変◇

(ならへいとほむらとは、おそるおそるそのしんべっぷおんせんぷーるのいりぐちへきっぷをだしてみた。)

楢平と帆村とは、恐る恐るその新別府温泉プールの入口へ切符を出してみた。

(ぷーるでは、なんとおもったか、たいへんていちょうにふたりのにゅうらいをかんしゃしてくれた。)

プールでは、なんと思ったか、たいへん鄭重に二人の入来を感謝してくれた。

(それもいちにとうぞうおやぶんのいりょくのせいであろうとおもわれた。)

それも一に藤三親分の偉力のせいであろうと思われた。

(はだかになってよくじょうへあしをいれてみると、なるほどこれは、)

裸になって浴場へ足を入れてみると、なるほどこれは、

(にゅうよくずきのおおさかじんでなければ、ちょっとできそうもないこうだいなる)

入浴好きの大阪人でなければ、ちょっと出来そうもない広大なる

(きょうどうよくじょうであった。そのちゅうおうに、だいりせきではりめぐらされたちょっけいじゅうめーとるの)

共同浴場であった。その中央に、大理石で張り巡らされた直径十メートルの

(えんけいのぷーるがつくってあった。そのまわりもひろいだいりせきのあらいばになっていて、)

円形のプールが作ってあった。そのまわりも広い大理石の洗い場になっていて、

(そこにに、さんにんのひとたちがひろびろとりょうてりょうあしをなげだして、ゆにのぼせたからだを)

そこに二、三人の人たちが広々と両手両足を投げ出して、湯にのぼせた身体を

(ひやしていた。)

ひやしていた。

(どこがしんべっぷなんだろう。ぷーるはべつにべっぷらしくもなんともないじゃないか)

「どこが新別府なんだろう。プールは別に別府らしくも何ともないじゃないか」

(とほむらがいうと、ならへいはゆびをさして、)

と帆村が云うと、楢平は指をさして、

(しんべっぷちゅうのは、このおくにあるすなぶろのことや。そのわりに)

「新別府ちゅうのは、この奥にある砂風呂のことや。そのわりに

(はやってえへんけれどなあ。よかったらいってみなはれ。)

流行ってえへんけれどなあ。よかったら行ってみなはれ。

(ええじょしがおって、あんじょうすなをかけてくれるがなといった。)

ええ女子がおって、あんじょう砂をかけてくれるがな」といった。

(ほむらはみょうなきになった。)

帆村は妙な気になった。

(こんやからいよいよしとうだとかくごしていたのに、それがこんなふうに)

今夜からいよいよ死闘だと覚悟していたのに、それがこんな風に

(のんきによくじょうにはいってあせをながせるなんて、ゆめのようなはなしではないか。)

吞気に浴場に入って汗を流せるなんて、夢のような話ではないか。

(しかしじつをいえば、ほむらもまたおおさかじんにまけぬくらいふろずきであった。)

しかし実をいえば、帆村もまた大阪人に負けぬくらい風呂好きであった。

(べっぷしきのすなぶろときいては、もうじっとしていられなかった。)

別府式の砂風呂と聞いては、もうじっとしていられなかった。

など

(ならへいをぷーるにのこしておいて、かれはそのすなぶろのあるべっかんのほうへ)

楢平をプールに残しておいて、彼はその砂風呂のある別館の方へ

(てぬぐいかたてにのこのことあるいていった。)

手拭い片手にノコノコと歩いていった。

(なるほどべっかんだてのこのすなぶろは、おもったよりおそまつだが、ともかくも)

なるほど別館建てのこの砂風呂は、思ったよりお粗末だが、ともかくも

(べっぷをもほうして、およそにじゅうじょうじきくらいのいっしつぜんぶをきれいなすなで)

別府を模倣して、およそ二十畳敷きくらいの一室全部を綺麗な砂で

(みたしてあった。そして、なかにはゆげがもやもやとたれこめていて、)

充たしてあった。そして、中には湯気がモヤモヤとたれこめていて、

(でんとうがほのぐらかった。)

電灯がほの暗かった。

(なかはがらんとしていた。)

中はガランとしていた。

(ただひとり、あまりじょうずではないなにわぶしを、あたまのてっぺんからでるようなこえで)

ただ一人、あまり上手ではない浪花節を、頭のてっぺんから出るような声で

(うたっているきゃくがあるきりだった。)

うたっている客があるきりだった。

(ーーわざとよろめきたちあがり、こころはあとにうしろがみ、)

「ーーわざとよろめき立ち上がり、心は後にうしろ髪、

(とってひかるるきはすれどお。きをはげましたくらのすけえ、ーー)

取って引かるる気はすれどオ。気を励ました内蔵助エ、ーー」

(と、うたうはなんぶざかゆきのわかれのいっせつだった。このふしは、)

と、うたうは南部坂雪の別れの一節だった。この節は、

(すこぶるふるいふしまわしだった。このうたいては、すなのなかからくびだけだして、)

頗る古い節まわしだった。このうたい手は、砂の中から首だけ出して、

(むこうのかべにむいたまま、まっかになってうなっているのだった。)

向こうの壁に向いたまま、真っ赤になって唸っているのだった。

(ほむらは、これもおくへよったところをえらび、りょうてですなをほってあなをこしらえて)

帆村は、これも奥へよったところを選び、両手で砂を掘って穴をこしらえて

(いった。すなをほると、あとからゆがどんどんわいてきた。かれはほどよいあなを)

いった。砂を掘ると、あとから湯がどんどん湧いてきた。彼はほどよい穴を

(つくると、そのなかにぼちゃんとからだをつけた。なかなかいいきもちであった。)

つくると、そのなかにボチャンと身体をつけた。なかなかいい気持ちであった。

(あいきゃくはまだなにわぶしをうなりつづけていた。)

相客はまだ浪花節を唸り続けていた。

(ほむらはからだをごそごそうごかして、そのあいきゃくとおなじようにむねのあたりに)

帆村は身体をゴソゴソ動かして、その相客と同じように胸のあたりに

(しきりにすなをかきよせた。)

しきりに砂を掻き寄せた。

(そのときひとりのおんなが、しつないにはいってきたのをかんじた。かすりのきものを、)

そのとき一人の女が、室内に入ってきたのを感じた。絣の着物を、

(みじかくしりはしょりをして、しろいゆもじをみじかくはいていた。)

短く尻はしょりをして、白い湯文字を短くはいていた。

(そのおんなはいきなりほむらのほうへやってきて、)

その女はいきなり帆村の方へやって来て、

(おいでやす。もっとうまいことすなをかけてあげまひょうか)

「おいでやす。もっとうまいこと砂をかけてあげまひょうか」

(といって、かれのうしろにまわり、かたのところへすなをばさばさかけてくれた。)

といって、彼の後ろにまわり、肩のところへ砂をバサバサかけてくれた。

(ありがとう。もういいよ)

「ありがとう。もういいよ」

(とほむらがいった。おんなはだまって、なおもすなをほむらのくびのほうにまでつんでいった。)

と帆村がいった。女は黙って、なおも砂を帆村の頸の方にまで積んでいった。

(おんなはさっきのあいそわらいににず、きゅうにむくちのようになって、ほむらのくびのあたりに、)

女はさっきの愛想笑いに似ず、急に無口のようになって、帆村の頸のあたりに、

(みょうなぐあいにりょうてをからませるのであった。)

妙な具合に両手を絡ませるのであった。

((へんだぞお)とおもったそのせつな、それまでほむらのくびのまわりを)

(変だぞオ)と思ったその刹那、それまで帆村の頸のまわりを

(たわむれのようにからんではとけ、とけてはまたからみついてきたおんなのしなやかなゆびが、)

戯れのように絡んでは解け、解けてはまた絡みついてきた女のしなやかな指が、

(いたきれのようなつよさでもって、ほむらのくびをぐっとしめつけた。かれはおどろいて)

板片のような強さでもって、帆村の頸をグッと絞めつけた。彼は愕いて

(すなのなかからたちあがろうとしたが、おんなはばんじゃくのようにうえからおしつけていて、)

砂の中から立ち上がろうとしたが、女は盤石のように上から押し付けていて、

(ほむらのじゆうにならない。そのうえ、おんなのゆびはくびをぎゅうぎゅうしめつけてくる。)

帆村の自由にならない。その上、女の指は頸をギュウギュウ絞めつけてくる。

(むこうのあいきゃくにたすけをもとめようとしたが、こえのでるべきのどがこのありさまで、)

向こうの相客に助けを求めようとしたが、声の出るべき咽喉がこの有様で、

(うなることさえできなかった。そのときむかいのうしろむきになっていたおとこが、)

呻ることさえ出来なかった。そのとき向かいの後ろ向きになっていた男が、

(きゅうにぴたりとなにわぶしをやめた。)

急にピタリと浪花節をやめた。

(やれ、きがついてくれたかとおもってよろこんだのは、ほんのいっしゅんかんであった。)

「やれ、気がついてくれたか」と思って悦んだのは、ほんの一瞬間であった。

(あいきゃくはすなのなかに、そのながいくびをぐっとまげて、ほむらのほうをながめた。)

相客は砂の中に、その長い頸をグッと曲げて、帆村の方を眺めた。

(かれはすべてをのみこんでいるというふうににやにやとわらっているのだった。)

彼はすべてを呑みこんでいるという風にニヤニヤと笑っているのだった。

(ながいかお、そしておおきなくちびる。そのかお!)

長い顔、そして大きな唇。その顔!

(おお、きさまははえおとこだな)

「おお、貴様は蠅男だな」

(ほむらはくちのなかであっとさけんだ。)

帆村は口の中であッと叫んだ。

(すなのなかからでているのは、はえおとこのくびだったのである。あくぎゃくざんにん、)

砂の中から出ているのは、蠅男の頸だったのである。悪逆残忍、

(たとえるにものなきさつじんま・はえおとこのくびにほかならなかった。)

たとえるに物なき殺人魔・蠅男の頸に外ならなかった。

(おりゅう、しっかりおさえていろ)

「お竜、しっかり圧えていろ」

(はえおとこはそこぢからのあるひくいこえでどなった。)

蠅男は底力のある低い声で怒鳴った。

(おりゅう!するといまほむらのくびをおさえつけているのは、はえおとこのじょうふの)

お竜! するといま帆村の頸を圧えつけているのは、蠅男の情婦の

(おりゅうだったのだ。)

お竜だったのだ。

(よくもここまでほむらをひきずりこんだものである。いや、これははえおとこが)

よくもここまで帆村を引きずりこんだものである。いや、これは蠅男が

(いっぽさきのさきまわりをして、ここにかんせいをもうけておいたものであろう。ほむらの)

一歩先の先廻りをして、ここに陥穽を設けておいたものであろう。帆村の

(そうぞうしていたとおり、てんのうじこうえんふきんにはえおとこはかくれていて、そこをなわばりとする)

想像していた通り、天王寺公園付近に蠅男は隠れていて、そこを縄張りとする

(なかまのだれかれと、きんみつなれんらくをとっていたものらしい。)

仲間の誰彼と、緊密な連絡を取っていたものらしい。

(ほむらはいまやふうぜんのともしびであった。おりゅうがこのうえぐっとてにちからをいれるか、)

帆村はいまや風前の灯火であった。お竜がこの上グッと手に力を入れるか、

(それともはえおとこがすなのなかからとびついてくれば、もうおしまいだった。)

それとも蠅男が砂の中から飛びついてくれば、もうおしまいだった。

(ほむらいっしょうのふかくだった。)

帆村一生の不覚だった。

(かれはくびをしめつけられるあまり、だんだんもうろうとなってくるいしきのなかで、)

彼は頸を締めつけられるあまり、だんだん朦朧となってくる意識の中で、

(なんとかしてこのきなんからのがれるくふうはないものかと、はたらかぬずのうに)

なんとかしてこの危難からのがれる工夫はないものかと、働かぬ頭脳に

(ひっしのむちをうちつづけた。)

必死の鞭をうち続けた。

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