詩人 石垣りん ③

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問題文

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(おやにめいわくをかけずじぶんがすきなしをかくためにしゅうにゅうをもちたいとかんがえた。)

親に迷惑をかけず自分が好きな詩を書くために収入を持ちたいと考えた。

(1968ねん(ぼしん)48さい、12がつにしちょうしゃよりかんこうされたしょせき「ひょうさつなど」。)

1968年(戊申)48歳、12月に思潮社より刊行された書籍「表札など」。

(よくねん、hししょうをじゅしょうしている。そのなかのひょうだいさくである「ひょうさつ」をとりあげる。)

翌年、H氏賞を受賞している。その中の表題作である「表札」を取り上げる。

(し「ひょうさつ」じぶんのすむところには/じぶんでひょうさつをだすにかぎる。)

詩「表札」自分の住むところには/自分で表札を出すにかぎる。

(じぶんのねとまりするばしょに/たにんがかけてくれるひょうさつは/いつもろくなことは)

自分の寝泊まりする場所に/他人がかけてくれる表札は/いつもろくなことは

(ない。びょういんへにゅういんしたら/びょうしつのなふだにはいしがきりんさまと/さまがついた。)

ない。病院へ入院したら/病室の名札には石垣りん様と/様が付いた。

(りょかんにとまっても/へやのそとになまえはでないが/やがてやきばのおけにはいると)

旅館に泊まっても/部屋の外に名前は出ないが/やがて焼場の鑵にはいると

(とじたとびらのうえに/いしがきりんどのとふだがさがるだろう/そのときわたしがこばめるか?)

とじた扉の上に/石垣りん殿と札が下がるだろう/そのとき私がこばめるか?

(さまも/どのも/ついてはいけない、じぶんのすむところには)

様も/殿も/付いてはいけない、自分の住む所には

(じぶんのてでひょうさつをかけるにかぎる。せいしんのありばしょも)

自分の手で表札をかけるに限る。精神の在り場所も

(はたからひょうさつをかけられてはならない/いしがきりん/それでよい。(りょう))

ハタから表札をかけられてはならない/石垣りん/それでよい。(了)

(さくしゃがかたる「ひょうさつ」。いしがきりんじしんはほんさくについて「たちばのあるし」では、)

作者が語る「表札」。石垣りん自身は本作について「立場のある詩」では、

(ひょうさつはただたんじゅんに、ひょうさつについてだけかいたしですが、きもちのしたじきとして、)

表札はただ単純に、表札についてだけ書いた詩ですが、気持ちの下敷きとして、

(わたしをささやかにとりまくじょうせいがあり、それがまったくかんけいのないひょうさつのきおくと)

私をささやかにとりまく状勢があり、それがまったく関係のない表札の記憶と

(ふいにむすびついたときしになりました、とかたった。「ひょうさつのうしろ」において、)

不意に結びついたとき詩になりました、と語った。「表札のうしろ」において、

(おとなしいなわばりせんげん、としている。なわばりとはてりとりーのことである。)

おとなしいナワバリ宣言、としている。ナワバリとはテリトリーのことである。

(まず、だいめいになっている「ひょうさつ」とはなにだろうか。)

まず、題名になっている「表札」とは何だろうか。

(ひょうさつとは、きょじゅうしゃのしめいをしるしてもんやとぐちなどにかかげるみずからのなをあらわすみぢかな)

表札とは、居住者の氏名を記して門や戸口などに掲げる自らの名を表わす身近な

(ものである。かたちやいろやひょうきなどさまざまなものがあり、にほんではきょじゅうしゃのなまえをしるす)

ものである。形や色や表記など様々なものがあり、日本では居住者の名前を記す

(ことがいっぱんてきである。ひょうさつはかめいをあらわすので、いえのしょうちょうといえる。)

ことが一般的である。表札は家名を表すので、家の象徴と言える。

など

(ひょうさつにじょせいがじぶんのなまえをかくことはなかった。いっぱんてきにじょせいは、けっこんまえはちちの)

表札に女性が自分の名前を書くことはなかった。一般的に女性は、結婚前は父の

(みょうじ、けっこんごはおっとのみょうじをなのる。けっこんまえのいえにはちちのなまえがひょうさつにかけられ、)

名字、結婚後は夫の名字を名乗る。結婚前の家には父の名前が表札にかけられ、

(けっこんごのいえにはおっとのなまえがかけられている。)

結婚後の家には夫の名前がかけられている。

(だいにれんでは、じぶんのねとまりするばしょに/たにんがかけてくれるひょうさつは/いつも)

第二連では、自分の寝泊まりする場所に/他人がかけてくれる表札は/いつも

(ろくなことはないとあるように、いしがきりんはたにんがかけてくれるひょうさつ、つまり、)

ろくなことはないとあるように、石垣りんは他人がかけてくれる表札、つまり、

(かちょうであるちちやおっとのひょうさつはいえせいどとつよくむすびついており、じょせいのじゆうをそくばくする)

家長である父や夫の表札は家制度と強く結びついており、女性の自由を束縛する

(ものであるととらえている。さくしゃはじぶんのいえやかぞくにたいしてどのようなかんじょうを)

ものであると捉えている。作者は自分の家や家族に対してどのような感情を

(いだいていたのだろうか。いしがきりんには「いえ」というしがあります。)

抱いていたのだろうか。石垣りんには「家」という詩があります。

(「いえって、なあに?はんしんふずいのちちが/よんどめのつまにあまえてくらす)

「家って、なあに?半身不随の父が/四度目の妻に甘えてくらす

(このやりきれないいえ/しょくのないおとうととちのうのおくれたぎていがわたしとともにすむいえ。)

このやりきれない家/職のない弟と知能のおくれた義弟が私と共に住む家。

(はしらがおれそうになるほど/わたしのせなかにおもいいえ。ろくじゅうをすぎたちちとぎぼは)

柱が折れそうになるほど/私の背中に重い家。六十を過ぎた父と義母は

(むつまじくくらしている/わがままをいいながら/もんくをいいあいながら)

むつまじく暮している/わがままをいいながら/文句をいい合いながら

(わたしのわたすとぼしいきんがくのなかから」「このいえ/わたしをいらだたせ)

私の渡す乏しい金額のなかから」「この家/私をいらだたせ

(わたしのかおをそむけさせる」「ふるいにほんのいえいえにある/あくしゅうふんぷんとしたべんじょ」)

私の顔をそむけさせる」「古い日本の家々にある/悪臭ふんぷんとした便所」

(また、「ふうふ」というしでは、ちちやぎぼのすがたをみて、)

また、「夫婦」という詩では、父や義母の姿を見て、

(「なんとかおをそむけたくなるうとましさ」「しゅうあくさ」「このふかしぎなあいのじょうじゅの)

「何と顔をそむけたくなるうとましさ」「醜悪さ」「この不可思議な愛の成就の

(ために」「むすめのわたしはきょうもはたらきにでる、とぼしいかてをえるためにはたらきにでる」)

ために」「娘の私は今日も働きに出る、乏しい糧を得るために働きに出る」

(とよんでいる。ちちはおいてやみ、ぎぼもおいており、ひとりのおとうとはしょくがなく、)

と詠んでいる。父は老いて病み、義母も老いており、一人の弟は職がなく、

(もうひとりのぎていはちのうがおくれている。いっかはさくしゃにたよっているにもかかわらず、)

もう一人の義弟は知能が遅れている。一家は作者に頼っているにも拘わらず、

(わがままをいい、もんくをいっている。そんなやりきれないいえやちちやぎぼのすがたに)

わがままを言い、文句を言っている。そんなやりきれない家や父や義母の姿に

(たいして、ぞうお、いらだちやけんおかんをいだいており、いえやかぞくへのていこうをしめしている。)

対して、憎悪、苛立ちや嫌悪感を抱いており、家や家族への抵抗を示している。

(「いえでのすすめ」「じぶんのしたいことがしたくて」「しょうじょのころ、しょうわじゅうねんだい)

「家出のすすめ」「自分のしたいことがしたくて」「少女の頃、昭和十年代

((りん15さい~25さい)、しをかき、ぶんがくをこのむむすめをもったおやはさいなんであった。)

(りん15歳~25歳)、詩を書き、文学を好む娘を持った親は災難であった。

(それだけよぶんなしんぱいをしなければならなかったからです」とかたっている。)

それだけ余分な心配をしなければならなかったからです」と語っている。

(「わたしはわたしでおやのいうことをきかないならそれだけのかくごがひつようとかんがえ、じぶんから)

「私は私で親の言うことを聞かないならそれだけの覚悟が必要と考え、自分から

(はたらきにでました」「がっこうのべんきょうより、じぶんのすきなことがしたかったので、)

働きに出ました」「学校の勉強より、自分の好きなことがしたかったので、

(まずはたらき、おかねがはいったらそのおかねでじぶんのしたいことをしようとかんがえた」)

まず働き、お金がはいったらそのお金で自分のしたいことをしようと考えた」

(じこじつげんするためにみずからばたらきにでたいというじりつへのがんぼうをもっていた。)

自己実現するためにみずから働きに出たいという自立への願望を持っていた。

(そのねがいをかなえるためにかのじょはじぶんだけのりょういき、くうかんをききゅうするようになる。)

その願いを叶えるために彼女は自分だけの領域、空間を希求するようになる。

(いきることのほんしつをえがいたしじん、りんとしたふうぼう、しょうがいどくしんだった。)

生きることの本質を描いた詩人、凛とした風貌、生涯独身だった。

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