卒業24
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問題文
(ていきえんそうかいがぶじおわり、ぶしつにみんながそろった。)
定期演奏会が無事終わり、部室にみんながそろった。
(ぶちょうから)
部長から
(「みんな、としひこにてーぷのてがみをおくらないか?」)
「みんな、俊彦にテープの手紙を送らないか?」
(だれもはんたいするひとはいなかった、それよりぶいんいがいの)
誰も反対する人はいなかった、それより部員以外の
(としひこくんのくらすのひともいれてくれといってきた。)
俊彦君のクラスの人も入れてくれと言ってきた。
(みんなでとしひこくんのすきなうた「ゆうきがあれば」を)
みんなで俊彦君の好きな歌『勇気があれば』を
(うたってゆうきづけようということになった。)
歌って勇気づけようということになった。
(つぎのひほうかごぶしつにあつまってみんなでうたった。)
次の日放課後部室に集まってみんなで歌った。
(「こばやし、おまえしってたのか、やましたのびょうきのこと。」)
「小林、お前知ってたのか、山下の病気の事。」
(「はい、はなさなくてすみません。」)
「はい、話さなくてすみません。」
(「おまえよくがんばったな。」)
「お前よく頑張ったな。」
(「つよくならないといけないって、ないたてしまったら)
「強くならないといけないって、泣いたてしまったら
(ちりょうにせんねんできなくなるっておもって。」)
治療に専念できなくなるって思って。」
(「てーぷのおわり、すこしまだよゆうがあるんだ、)
「テープの終わり、少しまだ余裕があるんだ、
(のこりはこばやしのじゆうにつかってくれ。」)
残りは小林の自由に使ってくれ。」
(「ぶちょう・・・・・。」)
「部長・・・・・。」
(ぶちょうはぶしつにわたしをのこしてでていった。)
部長は部室に私を残して出て行った。
(だれもいなくなったぶしつでひとりわたしはせっとのろくおんぼたんをおした。)
誰もいなくなった部室で一人私はセットの録音ボタンを押した。
(としひこくん、えんそうかいぶじおわったよ。)
―俊彦君、演奏会無事終わったよ。
(わたしは、としひこくんのぱーとをわたしがふいたの、)
私は、俊彦君のパートを私が吹いたの、
(うまくできたかどうかわからないけど、)
うまくできたかどうかわからないけど、
(せいいっぱいやったよ。)
精一杯やったよ。
(にっきよんだよじぶんできいたんだね、)
日記呼んだよ自分で聞いたんだね、
(わたしならとてもできない。)
私ならとても出来ない。
(としひこくんはゆうきあるよ。)
俊彦君は勇気あるよ。
(またふたりですいぞくかんやりょこうにもいきたいね。)
また二人で水族館や旅行にも行きたいね。
(としひこくんにすきだっていわれたあのひから)
俊彦君に好きだって言われたあの日から
(ずっとわたしはまもられてたんだよね。)
ずっと私は守られてたんだよね。
(としひこくんはわたしになにもしてやれなかったっていうけど)
俊彦君は私に何もしてやれなかったって言うけど
(ひがしこうこうにうかったのもあなたがいたから、)
東高校に受かったのもあなたがいたから、
(こんなにじゅうじつしたまいひをおくれるのも)
こんなに充実した毎日を送れるのも
(あなたがわたしをまもってくれているから。)
あなたが私を守ってくれているから。
(らいねんはいっしょにえんそうかいのぶたいにたとうね。)
来年は一緒に演奏会の舞台に立とうね。
(ちりょうがんばって、またびょういんにあいにいくね。)
治療頑張って、また病院に会いに行くね。
(だいすきだよとしひこくん)
大好きだよ俊彦君―
(ろくおんぼたんをとめるとなみだがあふれた。)
録音ボタンを止めると涙が溢れた。
(なかないでさいごまでいえたことにあんしんした。)
泣かないで最後まで言えたことに安心した。
(このてーぷはしゅうさんにとどけてもらった。)
このテープは修さんに届けてもらった。
(おおつごもり。)
大晦日。
(ことしのはつもうではおさむさんとわたし、あかねさんの3にんででかけた。)
今年の初詣は修さんと私、茜さんの三人で出かけた。
(としひこくんのびょうきかいふくただひとつのねがい。)
俊彦君の病気回復ただ一つの願い。
(らいねんはまた3にんでおまいりできますように・・・。)
来年はまた三人でお参りできますように・・・・。
(じょやのかねがめずらしくゆきがまうまちにひびいていた。)
除夜の鐘が珍しく雪が舞う街に響いていた。
(ねんがあけてわたしはあるばいとのひをふやしてもらった。)
年が明けて私はアルバイトの日を増やしてもらった。
(1がつおわり。)
一月終わり。
(おさむさんがけっそうをかえててんにはいってきた。)
修さんが血相を変えて店に入ってきた。
(「めぐみちゃんすぐしたくしてびょういんにいこう、としひこがあぶない!!」)
「恵ちゃんすぐ支度して病院に行こう、俊彦が危ない!!」
(わたしはからだのちのけがひくのがわかった。)
私は体の血の気が引くのがわかった。
(おさむさんのくるまでびょういんへいそいだ。)
修さんの車で病院へ急いだ。
(むきんしつのまえではとしひこくんのおかあさんが、てをあわせながらなかをみていた。)
無菌室の前では俊彦君のお母さんが、手を合わせながら中を見ていた。
(せんせいとかんごしさんがとしひこくんのまわりをとりかこんで、てんてきにちゅうしゃをいれている)
先生と看護師さんが俊彦君の周りを取り囲んで、点滴に注射を入れている
(わたしはそのばにたっているのがやっとだった。)
私はその場に立っているのがやっとだった。
(「こばやしさんですか?」)
「小林さんですか?」
(としひこくんのおかあさんがわたしにこえをかけた。)
俊彦君のお母さんが私に声をかけた。
(「こばやしめぐみです。」)
「小林恵です。」
(「あのこのそばにいってやってくれませんか?」)
「あの子のそばに行ってやってくれませんか?」
(としひこくんのおかあさんはびょういんのせんせいにはなしていた。)
俊彦君のお母さんは病院の先生に話していた。
(わたしはかんごしさんにむきんしつへはいるためのぼうごふくをもらい)
私は看護師さんに無菌室へ入るための防護服をもらい
(べやへはいった。)
部屋へ入った。
(べっどのうえにはちからなくめととじているとしひこくんのすがたがあった。)
ベッドの上には力なく目と閉じている俊彦君の姿があった。
(「としひこくん・・・、めぐみだよ、あいにきたよ。」)
「俊彦君・・・、恵だよ、会いに来たよ。」
(すると、としひこくんのめがあいた。)
すると、俊彦君の目が開いた。
(「め・・ぐ・・み・・?」)
「め・・ぐ・・み・・?」
(「めぐみだよ、しっかりして、いっしょにすいぞくかんいくんでしょ?」)
「恵だよ、しっかりして、一緒に水族館行くんでしょ?」
(「あー、そう・・だよな。」)
「あー、そう・・だよな。」
(わたしはとしひこくんのてをしっかりとにぎった。)
私は俊彦君の手をしっかりと握った。
(にぎりかえすてにちからはもうない・・・。)
握り返す手に力はもう無い・・・・。
(としひこくんのかおがいっしゅんゆがんだ。)
俊彦君の顔が一瞬歪んだ。
(「め・・めぐみ・・・。あり・・が・・とうな」)
「め・・恵・・・。あり・・が・・とうな」
(「なにいってるの?いっしょにえんそうするんでしょ?」)
「何言ってるの?一緒に演奏するんでしょ?」
(「あー・・・め・・・、」)
「あー・・・・め・・・、」
(せんせいにうしろにさげられたわたし、)
先生に後ろに下げられた私、
(としひこくんのすがたがみえかくれする。)
俊彦君の姿が見え隠れする。
(あわただしくうごくかんごしさん。)
慌ただしく動く看護師さん。
(しばらくすると、せんせいが。)
しばらくすると、先生が。
(「てをつくしましたがごりんじゅうです。」)
「手を尽くしましたがご臨終です。」
(そういってあたまをさげた。)
そう言って頭を下げた。
(「いや~!!!!としひこくん!!!」)
「いや~!!!!俊彦君!!!」
(おさむさんがわたしのからだをささえた。)
修さんが私の体を支えた。
(としひこくんのからだからてんてきのはりがぬかれ、)
俊彦君の体から点滴の針が抜かれ、
(しんでんずのせんがはなされ、さんそますくもはずされた。)
心電図の線が話され、酸素マスクも外された。
(「やましたくんよくがんばったわね、くるしいけんさもがんばったものね、)
「山下君よく頑張ったわね、苦しい検査も頑張ったものね、
(もうゆっくりやすんでね。」)
もうゆっくり休んでね。」
(そんなこうけいをわたしはただみつめていた。)
そんな光景を私はただ見つめていた。
(「おさむくん、いままでありがとうね、)
「修君、いままでありがとうね、
(としひこもきっといいおにいさんだっておもってるとおもうわ。」)
俊彦もきっといいお兄さんだって思ってると思うわ。」
(おさむさんくびをよこにふってしたをむいた。)
修さん首を横に振って下を向いた。
(ないているようにもみえた。)
泣いているようにも見えた。
(としひこくんの17ねんのみじかいじんせいがいままくをとじた。)
俊彦君の17年の短い人生が今幕を閉じた。