銀河鉄道の夜 7

宮沢賢治 作
「みんながぼくにあうとそれをいうよ。ひやかすようにいうんだ。」
「おまえに悪口をいうの。」
「うん、けれどもカムパネルラなんか決していわない。」
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問題文
(「おとうさんはこのつぎはおまえにらっこのうわぎをもってくるといったねえ。」)
「お父さんはこのつぎはおまえにラッコの上着をもってくるといったねえ。」
(「みんながぼくにあうとそれをいうよ。ひやかすようにいうんだ。」)
「みんながぼくにあうとそれをいうよ。ひやかすようにいうんだ。」
(「おまえにわるくちをいうの。」)
「おまえに悪口をいうの。」
(「うん、けれどもかむぱねるらなんかけっしていわない。)
「うん、けれどもカムパネルラなんか決していわない。
(かむぱねるらはみんながそんなことをいうときは)
カムパネルラはみんながそんなことをいうときは
(きのどくそうにしているよ。」)
気の毒そうにしているよ。」
(「あのひとはうちのおとうさんとは)
「あの人はうちのお父さんとは
(ちょうどおまえたちのように、ちいさいときからのおともだちだったそうだよ。」)
ちょうどおまえたちのように、小さいときからのお友だちだったそうだよ。」
(「ああ、だからおとうさんはぼくをつれて)
「ああ、だからお父さんはぼくをつれて
(かむぱねるらのうちへもつれていったよ。)
カムパネルラのうちへもつれて行ったよ。
(あのころはよかったな。ぼくはがっこうからかえるとちゅう)
あのころはよかったな。ぼくは学校から帰る途中
(たびたびかむぱねるらのうちによった。)
たびたびカムパネルラのうちに寄った。
(かむぱねるらのうちには、あるこーるらむぷではしるきしゃがあったんだ。)
カムパネルラのうちには、アルコールラムプで走る汽車があったんだ。
(れーるをななつくみあわせるとまるくなって、)
レールを七つ組み合わせるとまるくなって、
(それにでんちゅうやしんごうひょうもついていて、しんごうひょうのあかりは)
それに電柱や信号標もついていて、信号標のあかりは
(きしゃがとおるときだけあおくなるようになっていたんだ。)
汽車が通るときだけ青くなるようになっていたんだ。
(いつかあるこーるがなくなったときせきゆをつかった、)
いつかアルコールがなくなったとき石油をつかった、
(かんがすっかりすすけたよ。」)
缶がすっかりすすけたよ。」
(「そうかねえ。」)
「そうかねえ。」
(「いまもまいあさしんぶんをまわしにいくよ。)
「いまも毎朝新聞をまわしに行くよ。
(けれどもいつでもいえじゅうまだしぃいんとしているからな。」)
けれどもいつでも家中まだしぃいんとしているからな。」
(「はやいからねえ。」)
「早いからねえ。」
(「ざうえるといういぬがいるよ。しっぽがまるでほうきのようだ。)
「ザウエルという犬がいるよ。しっぽがまるでほうきのようだ。
(ぼくがいくとはなをならしてついてくるよ。)
ぼくが行くと鼻を鳴らしてついてくるよ。
(ずうっとまちのかどまでついてくる。もっとついてくることもあるよ。)
ずうっと町の角までついてくる。もっとついてくることもあるよ。
(こんやはみんなでからすうりのあかりをかわへながしにいくんだって。)
今夜はみんなでカラスウリの灯りを川へ流しに行くんだって。
(きっといぬもついていくよ。」)
きっと犬もついて行くよ。」
(「そうだ。こんばんはぎんがのおまつりだねえ。」)
「そうだ。今晩は銀河のお祭りだねえ。」
(「うん。ぼくぎゅうにゅうをとりながらみてくるよ。」)
「うん。ぼく牛乳をとりながら見てくるよ。」
(「ああいっておいで。かわへははいらないでね。」)
「ああ行っておいで。川へは入らないでね。」
(「ああぼくきしからみるだけなんだ。いちじかんでいってくるよ。」)
「ああぼく岸から見るだけなんだ。一時間で行ってくるよ。」
(「もっとあそんでおいで。かむぱねるらさんといっしょならしんぱいないから。」)
「もっと遊んでおいで。カムパネルラさんといっしょなら心配ないから。」
(「ああきっといっしょだよ。おかあさん、まどをしめておこうか。」)
「ああきっといっしょだよ。お母さん、窓をしめておこうか。」
(「ああ、どうか。もうすずしいからね。」)
「ああ、どうか。もう涼しいからね。」
(じょばんにはたってまどをしめ、おさらやぱんのふくろをかたづけると)
ジョバンニは立って窓をしめ、お皿やパンの袋を片づけると
(いきおいよくくつをはいて、)
勢いよく靴をはいて、
(「ではいちじかんはんでかえってくるよ。」)
「では一時間半で帰ってくるよ。」
(といいながらくらいとぐちをでました。)
といいながら暗い戸口を出ました。