聖少女領域

(まだいわないでじゅもんめいたそのことば)

まだ云わないで　呪文めいたその言葉

(あいなんてはねのようにかるい)

”愛”なんて羽のように軽い

(ささやいてぱぱよりやさしいてのーるで)

囁いて　パパより優しいテノールで

(うばうかくごがあるのならば)

奪う覚悟があるのならば

(ひゃくまんのばらのべっどにうもれみるゆめよりも)

百万の薔薇の寝台(ベッド)に　埋もれ見る夢よりも

(かぐわしくわたしはいきてるの)

馨(かぐわ)しく私は生きてるの

(どうすればみにくいものがはびこったこのせかい)

どうすれば醜いものが　蔓延ったこの世界

(けがれずにはばたいていけるのか)

汚れずに羽搏いて行けるのか

(ひとりまゆのなかまなびつづけても)

ひとり繭の中　学びつづけても

(すいしょうのほしぞらはとおすぎるの)

水晶の星空は　遠すぎるの

(まだふれないでそのふるえるゆびさきは)

まだ触れないで　その慄(ふる)える指先は

(はなぬすびとのあまいためらい)

花盗人の甘い躊躇い

(ふれてもいいこのふかいむねのおくにまで)

触れてもいい　この深い胸の奥にまで

(とどくじしんがあるのならば)

届く自身があるのならば

(はくばのおうじさまなんてしんじてるわけじゃない)

白馬の王子様なんて　信じてるわけじゃない

(ひびわれたがらすけえすにかざられたじゅんけつは)

罅割れた硝子ケエスに　飾られた純潔は

(ほろびゆくてんしたちのしんぞう)

滅びゆく天使たちの心臓

(またあすもめざめるたびにひゃくねんのときをしる)

また明日も目覚めるたびに　百年の刻(とき)を知る

(ねむれないたましいのいばらひめ)

眠れない魂の荊姫

(くいこむかんむりひとしずくのちに)

くい込む冠　一雫の血に

(ああいまがしんじつとおもいしるの)

ああ現実(いま)が真実と　思い知るの

(まだいかないでつきあかりのけっかいで)

まだ行かないで　月光(ツキアカリ)の結界で

(あやまちにきづいてしまいそう)

過ちに気づいてしまいそう

(やすらかなぬくもりにだかれ)

安らかなぬくもりに抱かれ

(こわれたいわたしはつみのこなのでしょうか)

壊れたい私は　罪の子なのでしょうか

(そっとこぼれてくるなみだのいみさえわからない)

そっと零れてくる　涙の意味さえわからない

(もういわないでじゅもんめいたそのことば)

もう云わないで　呪文めいたその言葉

(あいなんてくさりのようにおもい)

”愛”なんて鎖のように重い

(ささやいてぱぱよりやさしいてのーるで)

囁いて　パパより優しいテノールで

(どんなかくごもできるならば)

どんな覚悟もできるならば

(さあちかってよそのふるえるくちびるで)

さあ誓ってよ　その震える唇で

(みつをつむかりうどのときめき)

蜜を摘む狩人のときめき

(さらっていいこのふかいむねのおくそこを)

攫っていい　この深い胸の奥底を

(いぬくゆうきがあるのならば)

射抜く勇気があるのならば

(あなたつかまえたらけしてにがさないようにして)

貴方、捕まえたらけして　逃がさないようにして