半七捕物帳 勘平の死7

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第三話

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問題文

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(じゅうえもんにさそわれて、はんしちはきんじょのうなぎやへはいった。こぢんまりしたみなみむきの)

十右衛門に誘われて、半七は近所の鰻屋へはいった。小ぢんまりした南向きの

(にかいのえんがわにはもうはるらしいひかげがやわらかにながれこんで、そこらに)

二階の縁側にはもう春らしい日影がやわらかに流れ込んで、そこらに

(ならべてあるはちうえのうめのおもしろいえだぶりを、あかるいしょうじへすみえのように)

ならべてある鉢植えの梅のおもしろい枝振りを、あかるい障子へ墨絵のように

(うつしていた。あつらえのさかなのくるあいだにふたりはさしむかいで)

映していた。あつらえの肴の来るあいだに二人は差し向かいで

(ちょこのやりとりをはじめた。)

猪口の献酬を始めた。

(「おやぶんもおやくめがらでもうなにもかもごしょうちでございましょうが、いずみやのせがれも)

「親分もお役目柄でもう何もかも御承知でございましょうが、和泉屋の伜も

(とんだことになりまして・・・・・・。じつはわたくしはいずみやのにょうぼうのあにでございます。)

飛んだことになりまして……。実はわたくしは和泉屋の女房の兄でございます。

(こんどのことにつきまして、しんだものはいまさらいたしかたもございませんが、)

今度のことに就きまして、死んだ者は今さら致し方もございませんが、

(さてそのごのひょうばんでございますが・・・・・・。ひとのくちはまことにうるさいもので、)

さて其の後の評判でございますが……。人の口はまことにうるさいもので、

(いもうともたいへんしんぱいしておりますので・・・・・・」)

妹もたいへん心配して居りますので……」

(じゅうえもんはおもいあまったようにいった。かくたろうのへんしについてはうみのおやの)

十右衛門は思い余ったように云った。角太郎の変死については生みの親の

(もじきよばかりでなく、そのひみつをうすうすしっているでいりのもののうちには、)

文字清ばかりでなく、その秘密を薄々知っている出入りの者のうちには、

(やはりおなじようなうたがいのめのひかりをおかみさんのうえになげているものも)

やはり同じような疑いの眼の光りをおかみさんの上に投げている者も

(あるらしい。じゅうえもんはそれをくにやんで、きょうもちょうないのかしらのところへ)

あるらしい。十右衛門はそれを苦に病んで、きょうも町内の鳶頭のところへ

(そうだんにいったのであった。)

相談に行ったのであった。

(「どうしてほんみのかたなとすりかわっていたか、ないないそれをしらべてもらいたいと)

「どうして本身の刀と掏り替っていたか、内々それを調べて貰いたいと

(ぞんじまして・・・・・・。まんいちつまらないうわさなどをたてられますと、いもうとがじつに)

存じまして……。万一つまらない噂などを立てられますと、妹が実に

(かわいそうでございます。あにのくちからこうもうすもいかがでございますが、)

可哀そうでございます。兄の口から斯う申すもいかがでございますが、

(あれはまったくしょうじきなおとなしいおんなでございまして、かくたろうをうみのこのように)

あれはまったく正直なおとなしい女でございまして、角太郎を生みの子のように

(たいせつにしておりましたのに・・・・・・。それをなにかせけんにありふれた)

大切にして居りましたのに……。それを何か世間にありふれた

など

(ままははこんじょうのようにでもおもわれますのは、いかにもしんがいで・・・・・・。ともかくも)

継母根性のようにでも思われますのは、いかにも心外で……。ともかくも

(とむらいはきのうすみましたから、これからなんとかいたしてそのまちがいの)

葬式はきのう済みましたから、これから何とか致してその間違いの

(おこったすじみちをせんぎいたしたいとぞんじておるのでございます。そのすじみちが)

起った筋道を詮議いたしたいと存じて居るのでございます。その筋道が

(よくわかりませんで、いもうとがなにかのうたがいでもうけますようでございますと、)

よく判りませんで、妹が何かの疑いでも受けますようでございますと、

(いもうとはきのちいさいおんなですから、あんまりしんぱいしてきちがいにでもなりかねません。)

妹は気の小さい女ですから、あんまり心配して気違いにでもなり兼ねません。

(それがふびんでございまして・・・・・・」と、じゅうえもんははながみをだしてはなをかんだ。)

それが不憫でございまして……」と、十右衛門は鼻紙を出して洟をかんだ。

(もじきよもきちがいになりかかっている。いずみやのおかみさんもきちがいに)

文字清も気違いになりかかっている。和泉屋のおかみさんも気違いに

(なるかもしれないという。もじきよのはなしがほんとうであるか、じゅうえもんのはなしが)

なるかも知れないと云う。文字清の話がほんとうであるか、十右衛門の話が

(いつわりであるか。さすがのはんしちにもよういにははんだんがつかなかった。)

いつわりであるか。さすがの半七にも容易には判断がつかなかった。

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