「こころ」1-16 夏目漱石
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | どんぐり | 6054 | A++ | 6.5 | 93.4% | 265.6 | 1730 | 122 | 32 | 2024/10/02 |
2 | kaf pecc | 5409 | B++ | 5.7 | 94.6% | 303.9 | 1742 | 98 | 32 | 2024/10/08 |
3 | mame | 5183 | B+ | 5.4 | 96.0% | 318.3 | 1721 | 71 | 32 | 2024/11/03 |
4 | ぶす | 4624 | C++ | 4.9 | 93.1% | 344.7 | 1720 | 126 | 32 | 2024/10/19 |
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問題文
(ふたりがかえるときあるきながらのちんもくがいっちょうもにちょうもつづいた。)
二人が帰るとき歩きながらの沈黙が一丁も二丁もつづいた。
(そのあとでとつぜんせんせいがくちをききだした。)
その後で突然先生が口を利き出した。
(「わるいことをした。おこってでたからさいはさぞしんぱいをしているだろう。)
「悪い事をした。怒って出たから妻はさぞ心配をしているだろう。
(かんがえるとおんなはかわいそうなものですね。)
考えると女は可哀そうなものですね。
(わたしのさいなどはわたしよりほかにまるでたよりにするものがないんだから」)
私の妻などは私より外にまるで頼りにするものがないんだから」
(せんせいのことばはちょっとそこでとぎれたが、べつにわたくしにへんじをきたいするようすもなく、)
先生の言葉はちょっとそこで途切れたが、別に私に返事を期待する様子もなく、
(すぐそのつづきへうつっていった。)
すぐその続きへ移って行った。
(「そういうと、おっとのほうはいかにもこころじょうぶのようですこしこっけいだが。)
「そういうと、夫の方はいかにも心丈夫のようで少し滑稽だが。
(きみ、わたしはきみのめにどううつりますかね。)
君、私は君の眼にどう映りますかね。
(つよいひとにみえますか、よわいひとにみえますか」)
強い人に見えますか、弱い人に見えますか」
(「ちゅうぐらいにみえます」とわたくしはこたえた。)
「中位に見えます」と私は答えた。
(このこたえはせんせいにとってすこしあんがいらしかった。)
この答えは先生にとって少し案外らしかった。
(せんせいはまたくちをとじて、むごんであるきだした。)
先生はまた口を閉じて、無言で歩き出した。
(せんせいのうちへかえるにはわたくしのげしゅくのついそばをとおるのがじゅんろであった。)
先生の宅へ帰るには私の下宿のつい傍を通るのが順路であった。
(わたくしはそこまできて、まがりかどでわかれるのがせんせいにすまないようなきがした。)
私はそこまで来て、曲り角で分れるのが先生に済まないような気がした。
(「ついでにおたくのまえまでおともしましょうか」といった。)
「ついでにお宅の前までお伴しましょうか」といった。
(せんせいはたちまちてでわたくしをさえぎった。)
先生は忽ち手で私を遮った。
(「もうおそいからはやくかえりたまえ。わたしもはやくかえってやるんだから、)
「もう遅いから早く帰りたまえ。私も早く帰ってやるんだから、
(さいくんのために」)
妻君のために」
(せんせいがさいごにつけくわえた「さいくんのために」ということばは)
先生が最後に付け加えた「妻君のために」という言葉は
(みょうにそのときのわたくしのこころをあたたかにした。)
妙にその時の私の心を暖かにした。
(わたくしはそのことばのために、かえってからあんしんしてねることができた。)
私はその言葉のために、帰ってから安心して寝る事ができた。
(わたくしはそのごもながいあいだ「さいくんのために」ということばをわすれなかった。)
私はその後も長い間「妻君のために」という言葉を忘れなかった。
(せんせいとおくさんのあいだにおこったはらんが、たいしたものでないことはこれでもわかった。)
先生と奥さんの間に起った波瀾が、大したものでない事はこれでも解った。
(それがまためったにおこるげんしょうでなかったことも、そのごたえずでいりをしてきた)
それがまた滅多に起る現象でなかった事も、その後絶えず出入りをして来た
(わたくしにはほぼすいさつができた。それどころかせんせいはあるときこんなかんそうすら)
私にはほぼ推察ができた。それどころか先生はある時こんな感想すら
(わたくしにもらした。)
私に洩らした。
(「わたくしはよのなかでおんなというものをたったひとりしかしらない。)
「私は世の中で女というものをたった一人しか知らない。
(さいいがいのおんなはほとんどおんなとしてわたしにうったえないのです。)
妻以外の女はほとんど女として私に訴えないのです。
(さいのほうでも、わたしをてんかにただひとりしかないおとことしておもってくれています。)
妻の方でも、私を天下にただ一人しかない男として思ってくれています。
(そういういみからいって、わたしたちはもっともこうふくにうまれたにんげんの)
そういう意味からいって、私たちは最も幸福に生れた人間の
(いっついであるべきはずです」)
一対であるべきはずです」