「こころ」1-51 夏目漱石
関連タイピング
-
1問だけど超長いです
プレイ回数5.8万 長文かな316打 -
ブルーアーカイブvol.finalのED
プレイ回数2902 歌詞かな1125打 -
Mrs.GREEN APPLEの青と夏です!
プレイ回数15万 歌詞1030打 -
M!LKのイイじゃん (フル)
プレイ回数2713 歌詞120秒 -
テトリスサビ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
プレイ回数13万 歌詞かな167打 -
長文を打つ練習ができます。
プレイ回数35万 長文786打 -
タイピング練習に関する長文です
プレイ回数23万 長文1159打 -
5分間の速度部門の模擬試験です。打つ速度で級が決まります
プレイ回数93万 長文300秒
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(「あなたはほんとうにまじめなんですか」)
「あなたは本当に真面目なんですか」
(とせんせいがねんをおした。)
と先生が念を押した。
(「わたしはかこのいんがで、ひとをうたぐりつけている。だからじつはあなたもうたぐっている。)
「私は過去の因果で、人を疑りつけている。だから実はあなたも疑っている。
(しかしどうもあなただけはうたぐりたくない。あなたはうたぐるにはあまりにたんじゅんすぎる)
しかしどうもあなただけは疑りたくない。あなたは疑るにはあまりに単純すぎる
(ようだ。わたしはしぬまえにたったひとりでいいから、ひとをしんようしてしにたいと)
ようだ。私は死ぬ前にたった一人で好いから、他を信用して死にたいと
(おもっている。あなたはそのたったひとりになれますか。なってくれますか。)
思っている。あなたはそのたった一人になれますか。なってくれますか。
(あなたははらのそこからまじめですか」)
あなたははらの底から真面目ですか」
(「もしわたくしのいのちがまじめなものなら、わたくしのいまいったこともまじめです」)
「もし私の命が真面目なものなら、私の今いった事も真面目です」
(わたくしのこえはふるえた。)
私の声は震えた。
(「よろしい」とせんせいがいった。)
「よろしい」と先生がいった。
(「はなしましょう。わたしのかこをのこらず、あなたにはなしてあげましょう。)
「話しましょう。私の過去を残らず、あなたに話して上げましょう。
(そのかわり・・・。いやそれはかまわない。しかしわたしのかこはあなたにとって)
その代り…。いやそれは構わない。しかし私の過去はあなたに取って
(それほどゆうえきでないかもしれませんよ。きかないほうがましかもしれませんよ。)
それほど有益でないかも知れませんよ。聞かない方が増かも知れませんよ。
(それから、ーーいまははなせないんだから、そのつもりでいてください。)
それから、ーー今は話せないんだから、そのつもりでいて下さい。
(てきとうのじきがこなくっちゃはなさないんだから」)
適当の時機が来なくっちゃ話さないんだから」
(わたくしはげしゅくへかえってからもいっしゅのあっぱくをかんじた。)
私は下宿へ帰ってからも一種の圧迫を感じた。
(わたくしのろんぶんはじぶんがひょうかしていたほどに、きょうじゅのめにはよくみえなかったらしい。)
私の論文は自分が評価していたほどに、教授の眼にはよく見えなかったらしい。
(それでもわたくしはよていどおりきゅうだいした。)
それでも私は予定通り及第した。
(そつぎょうしきのひ、わたくしはかびくさくなったふるいふゆふくをこうりのなかからだしてきた。)
卒業式の日、私は黴臭くなった古い冬服を行李の中から出して着た。
(しきじょうにならぶと、どれもこれもみなあつそうなかおばかりであった。)
式場にならぶと、どれもこれもみな暑そうな顔ばかりであった。
など
(わたくしはかぜのとおらないあつらしゃのしたにみっぷうされたじぶんのからだをもてあました。)
私は風邪の通らない厚羅紗の下に密封された自分の身体を持て余した。
(しばらくたっているうちにてにもったはんけちがぐしょぐしょになった。)
しばらく立っているうちに手に持ったハンケチがぐしょぐしょになった。
(わたくしはしきがすむとすぐかえってはだかになった。)
私は式が済むとすぐ帰って裸体になった。
(げしゅくのにかいのまどをあけて、とおめがねのようにぐるぐるまいたそつぎょうしょうしょのあなから、)
下宿の二階の窓をあけて、遠眼鏡のようにぐるぐる巻いた卒業証書の穴から、
(みえるだけのよのなかをみわたした。)
見えるだけの世の中を見渡した。
(それからそのそつぎょうしょうしょをつくえのうえにほうりだした。)
それからその卒業証書を机の上に放り出した。
(そうしてだいのじなりになって、へやのまんなかにねそべった。)
そうして大の字なりになって、室の真中に寝そべった。
(わたくしはねながらじぶんのかこをかえりみた。またじぶんのみらいをそうぞうした。)
私は寝ながら自分の過去を顧みた。また自分の未来を想像した。
(するとそのあいだにたってひとくぎりをつけているこのそつぎょうしょうしょなるものが、)
するとその間に立って一区切りを付けているこの卒業証書なるものが、
(いみのあるような、またいみのないようなへんなかみにおもわれた。)
意味のあるような、また意味のないような変な紙に思われた。