『妖怪博士』江戸川乱歩49
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 315 | 6126 | A++ | 6.3 | 97.1% | 720.2 | 4547 | 135 | 98 | 2024/12/18 |
2 | ヌオー | 5620 | A | 6.0 | 92.8% | 740.5 | 4512 | 350 | 98 | 2024/12/17 |
3 | ぶす | 4585 | C++ | 4.8 | 94.1% | 919.3 | 4496 | 281 | 98 | 2024/12/17 |
4 | baru | 4221 | C | 4.7 | 89.9% | 959.7 | 4563 | 512 | 98 | 2024/12/04 |
5 | はち | 3784 | D++ | 3.9 | 95.7% | 1153.0 | 4566 | 203 | 98 | 2024/12/19 |
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問題文
(「しょうねんたんていだんにしかえしをしたいとおもっていたが、)
「少年探偵団に仕返しをしたいと思っていたが、
(そのねんがんをいまやっとはたしたのだ。このきょだいこうもりが)
その念願を今やっと果たしたのだ。この巨大コウモリが
(すがたをあらわしたときの、きみたちのおどろきかたったら。ははは、)
姿を現した時の、きみたちの驚き方ったら。ハハハ、
(しょうねんたんていだんなんてなまいきなことをいっていたって、)
少年探偵団なんて生意気なことを言っていたって、
(おばけにゃあかなわないか。おれはむねがすーっと)
オバケにゃあ敵わないか。おれは胸がスーッと
(したよ。ははは、だが、まだあんしんするのははやすぎる。)
したよ。ハハハ、だが、まだ安心するのは早すぎる。
(おれのふくしゅうは、これでおしまいじゃないのだ。)
おれの復讐は、これでおしまいじゃないのだ。
(こんなこどもだましのいたずらでまんぞくする、おれ)
こんな子供だましのイタズラで満足する、おれ
(じゃない。ほんとうのふくしゅうは、これからなのだ。うふふ、)
じゃない。本当の復讐は、これからなのだ。ウフフ、
(こわいかね。きみたちは、もういっしょうがい、このどうくつのなか)
怖いかね。きみたちは、もう一生涯、この洞窟の中
(からでることはできないのだ。それが、おれのふくしゅう)
から出ることは出来ないのだ。それが、おれの復讐
(だよ。いいかね、きみたちはみちしるべのひもを)
だよ。いいかね、きみたちは道しるべのヒモを
(なくしたので、このくらやみのめいろのなかでまいごになって)
なくしたので、この暗闇の迷路の中で迷子になって
(しまったのだ。そのうえ、このおおきなあなは、どんな)
しまったのだ。その上、この大きな穴は、どんな
(ことをしたってこせやしないから、きみたちはもとの)
ことをしたって越せやしないから、きみたちは元の
(みちにもどることもできない。とおか、はつかたっても、)
道に戻ることも出来ない。十日、二十日経っても、
(きみたちはしほうはっぽうにわかれているめいろを、うろつき)
きみたちは四方八方に分かれている迷路を、うろつき
(まわるのだ。そのうちにはかいちゅうでんとうのでんちもつきて)
まわるのだ。そのうちには懐中電灯の電池も尽きて
(しまうだろう。いや、そのまえにはらがへってくる。)
しまうだろう。いや、その前に腹が減ってくる。
(うえとかわきにひめいをあげながらだんだん、ちからがつきてくる)
飢えと渇きに悲鳴をあげながら段々、力が尽きてくる
(のだ。そしてきみたちじゅういちにんは、このくらやみのどうくつの)
のだ。そしてきみたち十一人は、この暗闇の洞窟の
(なかで、ひさんなさいごをとげるのだ。とうきょうから、たすけに)
中で、悲惨な最期を遂げるのだ。 東京から、助けに
(きてくれるかな。ふふふ、そいつはむりだよ。)
来てくれるかな。フフフ、そいつは無理だよ。
(このきょだいこうもりのばけものがとちゅうでまちかまえて、)
この巨大コウモリのバケモノが途中で待ち構えて、
(ぜんいんをおっぱらってしまうからな。ふふふ」こんなふうに)
全員を追っ払ってしまうからな。フフフ」こんな風に
(いうと、にんげんのすがたをしたにじゅうめんそうが、しゃべっている)
言うと、人間の姿をした二十面相が、しゃべっている
(ようですが、むろんそうではないのです。きょだい)
ようですが、無論そうではないのです。巨大
(こうもりが、しろいきばのはえたまっかなくちをひらいて、)
コウモリが、白い牙の生えた真っ赤な口をひらいて、
(ちのそこからでもひびいてくるような、ぶきみなこえで)
地の底からでも響いてくるような、不気味な声で
(いっているのです。あたりはすみをながしたようなやみ)
言っているのです。 あたりは墨を流したような闇
(です。そのなかに、あかるいかいちゅうでんとうのひかりでてらし)
です。その中に、明るい懐中電灯の光で照らし
(だされた、きかいなきょだいこうもりのかおのみがうき)
出された、奇怪な巨大コウモリの顔のみが浮き
(あがって、それがいんきなこえでものをいっているのです。)
上って、それが陰気な声で物を言っているのです。
(あいてのしょうたいはにじゅうめんそうとわかっていても、その)
相手の正体は二十面相と分かっていても、その
(きみわるさはじんじょうではありません。「いや、それだけ)
気味悪さは尋常ではありません。「いや、それだけ
(ではない。おれのけいかくには、まだそのおくがあるのだ。)
ではない。おれの計画には、まだその奥があるのだ。
(ほかでもない、きみたちのせんせいのあけちこごろうだよ。)
他でもない、きみたちの先生の明智小五郎だよ。
(おれは、あいつもここへおびきよせて、きみたちと)
おれは、あいつもここへおびき寄せて、きみたちと
(おなじめにあわせてやるつもりだ。いいかね。)
同じ目にあわせてやるつもりだ。いいかね。
(きみたちがここからかえらなければ、とうきょうではおおさわぎに)
きみたちがここから帰らなければ、東京では大騒ぎに
(なる。けいかんもやってくるだろうが、でしおもいの)
なる。警官もやって来るだろうが、弟子思いの
(あけちこごろうはまっさきにここへ、きみたちをさがしに)
明智小五郎は真っ先にここへ、きみたちを探しに
(くるにきまっている。おれはそれをまちかまえていて、)
来るに決まっている。おれはそれを待ち構えていて、
(あけちもおなじめにあわせてやるのだ。このくらやみのどうくつの)
明智も同じ目にあわせてやるのだ。この暗闇の洞窟の
(なかで、うえじにさせてやるのだ。おれはちをみるのが)
中で、飢え死にさせてやるのだ。 おれは血を見るのが
(きらいだ。ひとごろしをしたことはない。だが、あけちや)
嫌いだ。人殺しをしたことはない。だが、明智や
(きみたちが、このどうくつのみちにまよって、かってにがしする)
きみたちが、この洞窟の道に迷って、勝手に餓死する
(のは、おれのしったことじゃないからね。にじゅうめんそうの)
のは、おれの知ったことじゃないからね。二十面相の
(じゃまをした、きみたちのじごうじとくというものだよ。)
邪魔をした、きみたちの自業自得というものだよ。
(ははは」きょだいこうもりのにじゅうめんそうは、とどめをさす)
ハハハ」巨大コウモリの二十面相は、とどめを刺す
(ように、おそろしいけいかくをうちあけて、ここちよさげに)
ように、恐ろしい計画を打ち明けて、心地良さげに
(あざけりわらうのです。すると、そのこえがどうくつにこだま)
あざけり笑うのです。すると、その声が洞窟に木霊
(して、まるでおおぜいのひとがあちこちでわらっている)
して、まるで大勢の人があちこちで笑っている
(ように、だんだんかすかになりながら、いつまでもつづいて)
ように、段々かすかになりながら、いつまでも続いて
(いるのでした。)
いるのでした。
(「りょうしとめいたんてい」)
「猟師と名探偵」
(おはなしはとんで、そのよくよくじつのおひるごろのことです。)
お話は飛んで、その翌々日のお昼頃のことです。
(しょうにゅうどうちかくにある、おいたりょうしのいえに、ひとりのしんしが)
鍾乳洞近くにある、老いた猟師の家に、一人の紳士が
(たずねてきました。はんちんぐぼうにりょこうふくすがたの、)
たずねてきました。ハンチング帽に旅行服姿の、
(めいたんていあけちこごろうです。しょうねんたんていだんいんたちの)
名探偵明智小五郎です。少年探偵団員たちの
(おとうさんとおかあさんが、こどもらのしゅっぱつしたよくじつ、)
お父さんとお母さんが、子供らの出発した翌日、
(ひがくれてもかえらなかったので、あけちたんていにそうだんした)
日が暮れても帰らなかったので、明智探偵に相談した
(のでした。たんていはよるがあけるのをまって、けいかんよりも)
のでした。探偵は夜が明けるのを待って、警官よりも
(はやく、ひとりでしょうにゅうどうへでかけたのです。じゅういちにんの)
早く、一人で鍾乳洞へ出かけたのです。十一人の
(だんいんのおとうさんたちにかわって、しょうねんたちのゆくえを)
団員のお父さんたちに換わって、少年たちの行方を
(そうさくするためです。おいたりょうしのいえをたずねると、)
捜索するためです。老いた猟師の家をたずねると、
(ちょうどよくもんぺすがたのろうじんといあわせて、だがし)
ちょうどよくモンペ姿の老人と居合わせて、駄菓子
(などがならべてあるみせさきへでてきました。「しょうにゅうどうの)
などが並べてある店先へ出てきました。「鍾乳洞の
(ごけんぶつですか」ろうじんは、しょうねんたちがどうくつへとじこめ)
ご見物ですか」老人は、少年たちが洞窟へ閉じこめ
(られているのをしらないとみえて、のんきにたずね)
られているのを知らないとみえて、のんきにたずね
(ました。「いや、けんぶつじゃないのです。あんたは)
ました。「いや、見物じゃないのです。あんたは
(しょうにゅうどうのあんないにんですか」「はい、そうですよ」)
鍾乳洞の案内人ですか」「はい、そうですよ」
(「ぼくはとうきょうのあけちというものですが、おとといここへ、)
「ぼくは東京の明智と言う者ですが、一昨日ここへ、
(ちゅうがくせいとしょうがくせい、けいじゅういちにんのこどもたちがけんぶつにきた)
中学生と小学生、計十一人の子どもたちが見物に来た
(はずだが、あんたはみかけなかったかね」あけちたんていが)
はずだが、あんたは見かけなかったかね」明智探偵が
(そういってめいしをだすと、じいさんはじがよめない)
そう言って名刺を出すと、じいさんは字が読めない
(らしく、それをみようともしないでこたえました。)
らしく、それを見ようともしないで答えました。
(「はい、おおぜいきました。それがどうかしたのですか」)
「はい、大勢来ました。それがどうかしたのですか」
(「そのこどもたちは、しょうにゅうどうのなかへはいっただろうね」)
「その子どもたちは、鍾乳洞の中へ入っただろうね」
(「はいりましたとも。あんないにんはいらねえといって、)
「入りましたとも。案内人はいらねえと言って、
(げんきではいっていきました」「で、あんたはその)
元気で入って行きました」「で、あんたはその
(こどもたちが、しょうにゅうどうからでてくるのをみたかね」)
子どもたちが、鍾乳洞から出て来るのを見たかね」
(「いんや、それはみてねえです。ふもとにようが)
「いんや、それは見てねえです。ふもとに用が
(あって、やまをくだっていたのでね。みてねえが、)
あって、山を下っていたのでね。見てねえが、
(あのしょうねんたちがかえったのは、まちがいねえですよ。)
あの少年たちが帰ったのは、間違いねえですよ。
(まさか、しょうにゅうどうのなかでねとまりはしねえだろ。)
まさか、鍾乳洞の中で寝泊まりはしねえだろ。
(わはは」「ところがけさになっても、こどもたちが)
ワハハ」「ところが今朝になっても、子どもたちが
(とうきょうへかえらないのだよ。ここへくるみちでも、えきいんや)
東京へ帰らないのだよ。ここへ来る道でも、駅員や
(じどうしゃのうんてんしゅなどにもたずねてみたが、だれも)
自動車の運転手などにもたずねてみたが、だれも
(こどもたちがかえるのを、みかけなかったというのだ。)
子どもたちが帰るのを、見かけなかったと言うのだ。
(だからひょっとすると、しょうにゅうどうのなかでみちにまよって、)
だからひょっとすると、鍾乳洞の中で道に迷って、
(でられなくなっているのじゃないかとしんぱいしている)
出られなくなっているのじゃないかと心配している
(のだが」「へー、かえらなかったのか。そいつは)
のだが」「ヘー、帰らなかったのか。そいつは
(おかしい。わしは、じゅうろくねんというもの、ここの)
おかしい。わしは、十六年というもの、ここの
(あんないにんをやっているが、みちにまよってでられなくなった)
案内人をやっているが、道に迷って出られなくなった
(なんて、きいたこともねえです。あのしょうねんたち、)
なんて、聞いたこともねえです。あの少年たち、
(げんきにまかせて、ふかくはいったんじゃねえかな」)
元気に任せて、深く入ったんじゃねえかな」
(じいさんはうでぐみをして、こくびをかたむけました。)
じいさんは腕組みをして、小首をかたむけました。