紫式部 源氏物語 明石 4 與謝野晶子訳

順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | おもち | 7984 | 神 | 8.1 | 97.9% | 362.6 | 2958 | 63 | 44 | 2025/02/02 |
2 | subaru | 7707 | 神 | 7.9 | 96.6% | 369.1 | 2947 | 102 | 44 | 2025/02/04 |
3 | berry | 7443 | 光 | 7.5 | 98.2% | 387.3 | 2934 | 51 | 44 | 2025/03/05 |
4 | ヤス | 7252 | 光 | 7.7 | 94.4% | 384.3 | 2960 | 173 | 44 | 2025/02/03 |
5 | はく | 6905 | S++ | 7.3 | 94.1% | 403.9 | 2972 | 183 | 44 | 2025/03/03 |
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問題文
(なぎさのほうにちいさなふねをよせて、に、さんにんがげんじのいえのほうへあるいてきた。)
渚のほうに小さな船を寄せて、二、三人が源氏の家のほうへ歩いて来た。
(だれかとさんそうのものがとうてみると、あかしのうらからさきのはりまのかみにゅうどうが)
だれかと山荘の者が問うてみると、明石の浦から前播磨守入道が
(ふねでたずねてきていて、そのつかいとしてきたものであった。)
船で訪ねて来ていて、その使いとして来た者であった。
(「げんしょうなごんさんがいられましたら、おめにかかって、おたずねいたしましたりゆうを)
「源少納言さんがいられましたら、お目にかかって、お訪ねいたしました理由を
(もうしあげます」 とつかいはにゅうどうのことばをのべた。おどろいていたよしきよは、)
申し上げます」 と使いは入道の言葉を述べた。驚いていた良清は、
(「にゅうどうははりまでのちじんで、ずっといぜんからしっておりますが、わたくしとのあいだには)
「入道は播磨での知人で、ずっと以前から知っておりますが、私との間には
(そうほうでかんじょうのがいされていることがあって、かくべつにつきあいをしなくなっております。)
双方で感情の害されていることがあって、格別に交際をしなくなっております。
(それがふうはのがいのあったさいになにをいってきたのでしょう」)
それが風波の害のあった際に何を言って来たのでしょう」
(といってわけがわからないふうであった。げんじはさくやのゆめのことがきょうちゅうにあって、)
と言って訳がわからないふうであった。源氏は昨夜の夢のことが胸中にあって、
(「はやくあってやれ」 といったので、よしきよはふねへいってにゅうどうにめんかいした。)
「早く逢ってやれ」 と言ったので、良清は船へ行って入道に面会した。
(あんなにはげしいてんきのあとでどうしてふねがだされたのであろうと)
あんなにはげしい天気のあとでどうして船が出されたのであろうと
(よしきよはまずふしぎにおもった。 「このつきついたちのよるにみましたゆめでいぎょうのものから)
良清はまず不思議に思った。 「この月一日の夜に見ました夢で異形の者から
(おつげをうけたのです。しんじがたいこととはおもいましたが、じゅうさんにちがくれば)
お告げを受けたのです。信じがたいこととは思いましたが、十三日が来れば
(めいりょうになる、ふねのしたくをしておいて、かならずあめかぜがやんだらすまのげんじのきみの)
明瞭になる、船の仕度をしておいて、必ず雨風がやんだら須磨の源氏の君の
(すまいへゆけというようなおつげがありましたから、こころみにふねのよういをして)
住居へ行けというようなお告げがありましたから、試みに船の用意をして
(まっていますと、たいへんなあめかぜでしょう、そしてかみなりでしょう、しななどでも)
待っていますと、たいへんな雨風でしょう、そして雷でしょう、支那などでも
(ゆめのつげをしんじてそれでこくなんをすくうことができたりしたれいもあるのですから、)
夢の告げを信じてそれで国難を救うことができたりした例もあるのですから、
(こちらさまではおしんじにならなくても、しめしのあったじゅうさんにちにはこちらへうかがって)
こちら様ではお信じにならなくても、示しのあった十三日にはこちらへ伺って
(おはなしだけはもうしあげようとおもいまして、ふねをだしてみますと、)
お話だけは申し上げようと思いまして、船を出してみますと、
(とくべつなようなかぜがほそく、わたくしのふねだけをふきおくってくれますようなふうで)
特別なような風が細く、私の船だけを吹き送ってくれますような風で
(こちらへつきましたが、やはりかみさまのごあんないだったとおもいます。なにかこちらでも)
こちらへ着きましたが、やはり神様の御案内だったと思います。何かこちらでも
(かみのつげというようなことがなかったでしょうか、ともうすことをしつれいですが)
神の告げというようなことがなかったでしょうか、と申すことを失礼ですが
(あなたからおとりつぎくださいませんか」 とにゅうどうはいうのである。)
あなたからお取り次ぎくださいませんか」 と入道は言うのである。
(よしきよはそっとげんじへこのことをつたえた。げんじはゆめもげんじつもしずかでなく、)
良清はそっと源氏へこのことを伝えた。源氏は夢も現実も静かでなく、
(なにかのあんじらしいてんのおおかったことをおもって、せけんのそしりなどばかりをきにかけ)
何かの暗示らしい点の多かったことを思って、世間の譏りなどばかりを気にかけ
(かみのみょうじょにそむくことをすれば、またこれいじょうのくるしみをみるひが)
神の冥助にそむくことをすれば、またこれ以上の苦しみを見る日が
(くるであろう、にんげんをおこらせることすらけっかはそうとうにおそろしいのである、)
来るであろう、人間を怒らせることすら結果は相当に恐ろしいのである、
(きのすすまぬこともじぶんよりねんちょうしゃであったり、うえのちいにいるひとのことばには)
気の進まぬことも自分より年長者であったり、上の地位にいる人の言葉には
(したがうべきである。のいてとがなしとむかしのけんじんもいった、)
随うべきである。退いて咎なしと昔の賢人も言った、
(あくまでけんそんであるべきである。もうじぶんはいのちのあぶないほどのめを)
あくまで謙遜であるべきである。もう自分は生命の危いほどの目を
(いくつもみせられた、おくびょうであったといわれることを)
幾つも見せられた、臆病であったと言われることを
(ふめいよだとかんがえるひつようもない。ゆめのなかでもちちみかどはすみよしのかみのことを)
不名誉だと考える必要もない。夢の中でも父帝は住吉の神のことを
(おおせられたのであるから、うたがうことはひとつものこっていないとおもって、)
仰せられたのであるから、疑うことは一つも残っていないと思って、
(げんじはあかしへきょをうつすけっしんをして、にゅうどうへつたえさせた。)
源氏は明石へ居を移す決心をして、入道へ伝えさせた。
(「しるべのないところへきまして、いろいろなさいやくにあっていましても、)
「知るべのない所へ来まして、いろいろな災厄にあっていましても、
(きょうのほうからはみまいをいいおくってくれるものもありませんから、)
京のほうからは見舞いを言い送ってくれる者もありませんから、
(ただおおぞらのつきひだけをむかしなじみのものとおもってながめているのですが、)
ただ大空の月日だけを昔馴染のものと思ってながめているのですが、
(きょうふねをわたくしのためによせてくだすってありがたくおもいます。)
今日船を私のために寄せてくだすってありがたく思います。
(あかしにはわたくしのいんせいにてきしたばしょがあるでしょうか」)
明石には私の隠栖に適した場所があるでしょうか」
(にゅうどうはもうしいれのうけられたことをひじょうによろこんで、きょうしゅくのいをひょうしてきた。)
入道は申し入れの受けられたことを非常によろこんで、恐縮の意を表してきた。
(ともかくよがあけきらぬうちにふねへおのりになるがよいということになって、)
ともかく夜が明けきらぬうちに船へお乗りになるがよいということになって、
(れいのし、ごにんだけがげんじをまもってじょうせんした。にゅうどうのはなしのような)
例の四、五人だけが源氏を護って乗船した。入道の話のような
(きよいすずしいかぜがふいてきて、ふねはとぶようにあかしへついた。)
清い涼しい風が吹いて来て、船は飛ぶように明石へ着いた。
(それはほんのみじかいじかんのことであったがふしぎなかいじょうのきであった。)
それはほんの短い時間のことであったが不思議な海上の気であった。