日本国憲法　第三章(後編)

(ちんぎん、しゅうぎょうじかん、きゅうそくそのたのきんろうじょうけんにかんするきじゅんは、)

賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、

(ほうりつでこれをさだめる。)

法律でこれを定める。

(じどうは、これをこくししてはならない。)

児童は、これを酷使してはならない。

(だいにじゅうはちじょう)

第二十八条

(きんろうしゃのだんけつするけんりおよびだんたいこうしょうそのたのだんたいこうどうをするけんりは、)

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、

(これをほしょうする。)

これを保障する。

(だいにじゅうきゅうじょう)

第二十九条

(ざいさんけんは、これをおかしてはならない。)

財産権は、これを侵してはならない。

(ざいさんけんのないようは、こうきょうのふくしにてきごうするやうに、ほうりつでこれをさだめる。)

財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

(しゆうざいさんは、せいとうなほしょうのもとに、これをこうきょうのためにもちひることができる。)

私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

(だいさんじゅうじょう)

第三十条

(こくみんは、ほうりつのさだめるところにより、のうぜいのぎむをおふ。)

国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

(だいさんじゅういちじょう)

第三十一条

(なんぴとも、ほうりつのさだめるてつづきによらなければ、)

何人も、法律の定める手続によらなければ、

(そのせいめいもしくはじゆうをうばはれ、またはそのたのけいばつをかせられない。)

その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

(だいさんじゅうにじょう)

第三十二条

(なんぴとも、さいばんしょにおいてさいばんをうけるけんりをうばはれない。)

何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

(だいさんじゅうさんじょう)

第三十三条

(なんぴとも、げんこうはんとしてたいほされるばあいをのぞいては、)

何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、

(けんげんをゆうするしほうかんけんがはっし、)

権限を有する司法官憲が発し、

(かつりゆうとなつているはんざいをめいじするれいじょうによらなければ、)

且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、

(たいほされない。)

逮捕されない。

(だいさんじゅうよんじょう)

第三十四条

(なんぴとも、りゆうをただちにつげられ、かつ、)

何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、

(ただちにべんごにんにいらいするけんりをあたへられなければ、よくりゅうまたはこうきんされない。)

直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。

(また、なんぴとも、せいとうなりゆうがなければ、こうきんされず、)

又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、

(ようきゅうがあれば、そのりゆうは、)

要求があれば、その理由は、

(ただちにほんにんおよびそのべんごにんのしゅっせきするこうかいのほうていでしめされなければならない。)

直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

(だいさんじゅうごじょう)

第三十五条

(なんぴとも、そのじゅうきょ、しょるいおよびしょじひんについて、)

何人も、その住居、書類及び所持品について、

(しんにゅう、そうさくおよびおうしゅうをうけることのないけんりは、)

侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、

(だいさんじゅうさんじょうのばあいをのぞいては、せいとうなりゆうにもとづいてはっせられ、)

第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、

(かつそうさくするばしょおよびおうしゅうするものをめいじするれいじょうがなければ、おかされない。)

且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

(そうさくまたはおうしゅうは、けんげんをゆうするしほうかんけんがはっするかくべつのれいじょうにより、)

捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、

(これをおこなふ。)

これを行ふ。

(だいさんじゅうろくじょう)

第三十六条

(こうむいんによるごうもんおよびざんぎゃくなけいばつは、ぜったいにこれをきんずる。)

公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

(だいさんじゅうしちじょう)

第三十七条

(すべてけいじじけんにおいては、)

すべて刑事事件においては、

(ひこくにんは、こうへいなさいばんしょのじんそくなこうかいさいばんをうけるけんりをゆうする。)

被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

(けいじひこくにんは、すべてのしょうにんにたいしてしんもんするきかいをじゅうぶんにあたへられ、)

刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、

(また、こうひでじこのためにきょうせいてきてつづきによりしょうにんをもとめるけんりをゆうする。)

又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

(けいじひこくにんは、いかなるばあいにも、)

刑事被告人は、いかなる場合にも、

(しかくをゆうするべんごにんをいらいすることができる。)

資格を有する弁護人を依頼することができる。

(ひこくにんがみずからこれをいらいすることができないときは、くにでこれをふする。)

被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

(だいさんじゅうはちじょう)

第三十八条

(なんぴとも、じこにふりえきなきょうじゅつをきょうようされない。)

何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

(きょうせい、ごうもんもしくはきょうはくによるじはくまたは)

強制、拷問若しくは脅迫による自白又は

(ふとうにながくよくりゅうもしくはこうきんされたあとのじはくは、)

不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、

(これをしょうことすることができない。)

これを証拠とすることができない。

(なんぴとも、じこにふりえきなゆいいつのしょうこがほんにんのじはくであるばあいには、)

何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、

(ゆうざいとされ、またはけいばつをかせられない。)

有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

(だいさんじゅうきゅうじょう)

第三十九条

(なんぴとも、じっこうのときにてきほうであつたこういまたは)

何人も、実行の時に適法であつた行為又は

(すでにむざいとされたこういについては、けいじじょうのせきにんをとはれない。)

既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。

(また、どういつのはんざいについて、かさねてけいじじょうのせきにんをとはれない。)

又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

(だいよんじゅうじょう)

第四十条

(なんぴとも、よくりゅうまたはこうきんされたあと、むざいのさいばんをうけたときは、)

何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、

(ほうりつのさだめるところにより、くににそのほしょうをもとめることができる。)

法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。