紫式部 源氏物語 関屋 1 與謝野晶子訳

背景
投稿者投稿者文吾いいね0お気に入り登録
プレイ回数60順位2478位  難易度(4.5) 2381打 長文 長文モードのみ
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7855 7.9 98.5% 294.3 2347 35 32 2025/03/21
2 ヤス 7248 7.7 94.2% 307.1 2372 146 32 2025/03/21
3 はく 7140 7.3 96.7% 321.4 2374 79 32 2025/03/24

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(おうさかはせきのしみづもこいびとのあつきなみだもな がるるところ       (あきこ))

逢坂は関の清水も恋人のあつき涙もな がるるところ       (晶子)

(いぜんのいよのすけはいんがおかくれになったよくねんひたちのすけになってにんちへくだったので、)

以前の伊予介は院がお崩れになった翌年常陸介になって任地へ下ったので、

(むかしのははきぎもつれていった。げんじがすまへひきこもったうわさも、とおいくにできいて、)

昔の帚木もつれて行った。源氏が須磨へ引きこもった噂も、遠い国で聞いて、

(かなしくおもいやらないのではなかったが、おんしんをするたよりすらなくて、つくばおろしに)

悲しく思いやらないのではなかったが、音信をする便すらなくて、筑波おろしに

(おちつかぬこころをいだきながらしょうそくのたえたねんげつをうつせみはかさねたのである。)

落ち着かぬ心を抱きながら消息の絶えた年月を空蝉は重ねたのである。

(げんていされたこくしのにんきとはちがって、いつをかぎりともよそうされなかったげんじの)

限定された国司の任期とは違って、いつを限りとも予想されなかった源氏の

(ほうろうのたびもおわって、ききょうしたよくねんのあきにひたちのすけはくにをたってきた。いっこうが)

放浪の旅も終わって、帰京した翌年の秋に常陸介は国を立って来た。一行が

(おうさかのせきをこえようとするひは、ぐうぜんにもげんじがいしやまでらへがんほどきに)

逢坂の関を越えようとする日は、偶然にも源氏が石山寺へ願ほどきに

(さんけいするひであった。きょうからいぜんきいのかみであったむすこそのたのひとがむかえに)

参詣する日であった。京から以前紀伊守であった息子その他の人が迎えに

(きていてげんじのいしやまもうでをつげた。とちゅうがこんざつするであろうから、こちらははやく)

来ていて源氏の石山詣でを告げた。途中が混雑するであろうから、こちらは早く

(おうさかやまをこえておこうとして、ひたちのすけはよあけにおうみのやどをたって)

逢坂山を越えておこうとして、常陸介は夜明けに近江の宿を立って

(みちをいそいだのであるが、おんなぐるまがおおくてはかがゆかない。うちでのはまをくるころに、)

道を急いだのであるが、女車が多くてはかがゆかない。打出の浜を来るころに、

(げんじはもうあわたやまをこえたということで、ぜんくをつとめているものがむすうにひがしへ)

源氏はもう粟田山を越えたということで、前駆を勤めている者が無数に東へ

(むかってきた。みちをゆずるくらいではすまないにんずうなのであったから、)

向って来た。道を譲るくらいでは済まない人数なのであったから、

(せきやまでひたちのいっこうはみなげばしてしまって、あちらこちらのすぎのしたにくるまなどを)

関山で常陸の一行は皆下馬してしまって、あちらこちらの杉の下に車などを

(かつぎおろして、きのあいだにかしこまりながらげんじのつうかをもくそうしようとした。)

舁ぎおろして、木の間にかしこまりながら源氏の通過を目送しようとした。

(おんなぐるまもいちぶぶんはあとへのこし、いちぶぶんはさきへやりなどしてあったのであるが、)

女車も一部分はあとへ残し、一部分は先へやりなどしてあったのであるが、

(なおそれでもぞくるいのおおいはでなちほうちょうかんのいちもんとみえた。そこにはじゅうだいほどの)

なおそれでも族類の多い派手な地方長官の一門と見えた。そこには十台ほどの

(くるまがあって、そとにだしたそでのいろのこのみはいなかびずにきれいであった。)

車があって、外に出した袖の色の好みは田舎びずにきれいであった。

(さいぐうのげこうのひにでるものみぐるまがおもわれた。げんじのひかりがまたはっきされるじだいに)

斎宮の下向の日に出る物見車が思われた。源氏の光がまた発揮される時代に

など

(なっていて、きぼうしてきたたすうのずいじゅうしゃはひたちのいっこうにみなめをとめてすぎた。)

なっていて、希望して来た多数の随従者は常陸の一行に皆目を留めて過ぎた。

(くがつのさんじゅうにちであったから、やまのもみじはこくうすくべにをかさねたあいだに、しもがれの)

九月の三十日であったから、山の紅葉は濃く淡く紅を重ねた間に、霜枯れの

(くさのきがまじってみわたされるおうさかやまのせきのくちから、またさっといちどにでてきた)

草の黄が混じって見渡される逢坂山の関の口から、またさっと一度に出て来た

(あおすがたのさむらいたちのりょそうのあつおりものやくくりぞめなどはいっしゅのびをなしていた。)

襖姿の侍たちの旅装の厚織物やくくり染めなどは一種の美をなしていた。

(げんじのくるまはみすがおろされていた。いまはうえもんのすけになっているむかしのこぎみをちかくへ)

源氏の車は簾がおろされていた。今は右衛門佐になっている昔の小君を近くへ

(よんで、 「きょうこうしてせきむかえをしたわたくしをねえさんはむかんしんにもみまいね」)

呼んで、 「今日こうして関迎えをした私を姉さんは無関心にも見まいね」

(などといった。こころのうちにはいろいろなおもいがうかんできて、こいしいひとと)

などと言った。心のうちにはいろいろな思いが浮かんで来て、恋しい人と

(ちょくせつことばがかわしたかったげんじであるが、ひとめのおおいばしょでは)

直接言葉がかわしたかった源氏であるが、人目の多い場所では

(どうしようもないことであった。おんなもかなしかった。むかしがきのうのようにおもわれて、)

どうしようもないことであった。女も悲しかった。昔が昨日のように思われて、

(はんもんもそれにつづいたはんもんがされた。 )

煩悶もそれに続いた煩悶がされた。

(ゆくとくとせきとめがたきなみだをやたえぬしみづとひとはみるらん )

行くと来とせきとめがたき涙をや絶えぬ清水と人は見るらん

(じぶんのこのこころもちはおしりにならないであろうとおもうとはかなまれた。)

自分のこの心持ちはお知りにならないであろうと思うとはかなまれた。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

文吾のタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード