プール -2-(完)

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7790 7.8 98.7% 339.4 2679 35 58 2025/04/01
2 subaru 7686 8.0 95.5% 333.3 2687 125 58 2025/03/29
3 はく 7545 7.8 95.7% 343.8 2714 120 58 2025/03/25
4 kuma 3973 D++ 4.2 93.8% 631.7 2687 177 58 2025/03/26

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問題文

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(たしかにふたりともしんぶんはとっているし、ろーかるじょうほうばんぐみも)

確かに二人とも新聞はとっているし、ローカル情報番組も

(わりとみているほうだとおもう。おりこみちらしでもみたおぼえがないので、)

わりと見ている方だと思う。折り込みチラシでも見た覚えがないので、

(さいきんぷーるのしんきおーぷんはあまりげんじつてきではないようにおもえてきた。)

最近プールの新規オープンはあまり現実的ではないように思えてきた。

(なによりぷーるのまどぐちのおばちゃんがこくびをかしげていたではないか。)

なによりプールの窓口のおばちゃんが小首を傾げていたではないか。

(「およぎながらしゃべるからですよ」とこえをはりあげてやると、)

「泳ぎながら喋るからですよ」と声を張り上げてやると、

(ししょうはかるくせきこみながらくろーるのままくるりとたーんをする。)

師匠は軽く咳き込みながらクロールのままクルリとターンをする。

(みあげると、はるかじょうくうをとりがおよいでいる。)

見上げると、遥か上空を鳥が泳いでいる。

(そのそらのしたにししょうがたてるみずおとだけがひびく。)

その空の下に師匠が立てる水音だけが響く。

(だれいもいないぷーるはどこかげんじつかんがきはくで、じりじりとやけつくたいようのひかりも)

誰いもいないプールはどこか現実感が希薄で、ジリジリと焼け付く太陽の光も

(からだのひょうめんをなめるばかりでたましいのおくそこまではとどかないかんじがする。)

身体の表面を舐めるばかりで魂の奥底までは届かない感じがする。

(そろそろおよごうかな、とからだをおこそうとしたときだ。)

そろそろ泳ごうかな、と身体を起こそうとしたときだ。

(しかいのはしに、みずのなかからぷーるさいどへ、ざばりとあがるひとかげがめにはいった。)

視界の端に、水の中からプールサイドへ、ざばりと上る人影が目に入った。

(なんだ、ひとりいたじゃん。)

なんだ、一人いたじゃん。

(やけにあおじろいせなかをみながらそうおもったしゅんかんだ。)

やけに青白い背中を見ながらそう思った瞬間だ。

(そんなことはありえないことにきづく。)

そんなことはありえないことに気づく。

(ぼくはしきちのすべてがみとおせるばしょのいて、)

僕は敷地のすべてが見通せる場所のいて、

(だれもいないことはずっとみていたはずなのだ。)

誰もいないことはずっと見ていたはずなのだ。

(ぼくらがぷーるさいどにあしをふみいれてから)

僕らがプールサイドに足を踏み入れてから

(ずっとみずのなかにもぐっててでもいないかぎり。)

ずっと水の中に潜っててでもいない限り。

(ぞくぞくとからだのなかからきゅうげきにひえはじめた。)

ゾクゾクと身体の中から急激に冷え始めた。

など

(そんなはずはない。)

そんなはずはない。

(なまみでさんじゅっぷんいじょうもぐっていられるにんげんなんているはずがない。)

生身で三十分以上潜っていられる人間なんているはずがない。

(がっこうしていのようなすいえいぱんつをはいて、あたまにはあおいきゃっぷ。)

学校指定のような水泳パンツをはいて、頭には青いキャップ。

(うしろすがただけみているとこがらなおとこのこのようだ。)

後ろ姿だけ見ていると小柄な男の子のようだ。

(そのせなかが、ふりかえりもせずいりぐちのほうへとおざかっていく。)

その背中が、振り返りもせず入り口の方へ遠ざかっていく。

(ゆらゆらとゆれながら。)

ゆらゆらと揺れながら。

(ぼくはからだをおこそうとしたそのしせいのままこうちょくして、)

僕は身体を起こそうとしたその姿勢のまま硬直して、

(のどだけがひくひくとうごいていた。)

喉だけがひくひくと動いていた。

(「・・・・・あ、あれ」)

「・・・・・あ、あれ」

(ようやくことばをはっすると、みずしぶきをはでにあげていたししょうが)

ようやく言葉を発すると、水しぶきを派手に上げていた師匠が

(ぴたりととまってぼくのしせんのさきをみた。)

ピタリと止まって僕の視線の先を見た。

(ゆれるせなかがかいだんへきえていくところだった。)

揺れる背中が階段へ消えていく所だった。

(すーっとししょうがぼくのほうへよってくる。)

スーッと師匠が僕の方へ寄ってくる。

(「やっとあきらめたか」)

「やっと諦めたか」

(なにをいっているのかわからず、「はあ」とききかえした。)

なにを言っているのかわからず、「はあ」と聞き返した。

(「さっきから、ずっとみずのなかであしをひっぱってきてたんだ」)

「さっきから、ずっと水の中で足を引っ張ってきてたんだ」

(ぷーるさいどにひじをのせてししょうはそういった。)

プールサイドに肘を乗せて師匠はそう言った。

(もうおとこのこのすがたはみえない。)

もう男の子の姿は見えない。

(「ちょっとみずのんじまったけど、かんぺきむししてやったらついにあきらめたらしいな」)

「ちょっと水飲んじまったけど、完璧無視してやったらついに諦めたらしいな」

(にやにやとそこいじのわるそうなかおをする。)

ニヤニヤと底意地の悪そうな顔をする。

(このひとは、ずっとあのこのそんざいにきづいていて、)

この人は、ずっとあの子の存在に気づいていて、

(なおかつこのぼくとぷーるにひとがいないことについてむだぐちをたたいていたのか。)

なおかつこの僕とプールに人がいないことについて無駄口を叩いていたのか。

(あぜんとしてにのくがつげなかった。)

唖然として二の句が継げなかった。

(「ここでしんだこどものれいかなにかだろう。)

「ここで死んだ子どもの霊かなにかだろう。

(で、きょうはめいにちってとこじゃないか。)

で、今日は命日ってとこじゃないか。

(そうとうやばいやつらしいな。しゅうへんじゅうみんのしんそういしきのなかに、)

そうとうヤバイやつらしいな。周辺住民の深層意識の中に、

(きょうはぷーるにいきたくないっていうしんりをすりこむほどに」)

今日はプールに行きたくないっていう心理を刷り込むほどに」

(ぷーるががらがらだったのは、みんなのむいしきのじこぼうえいほんのうだというのか。)

プールがガラガラだったのは、みんなの無意識の自己防衛本能だというのか。

(だったらきょうきているぼくらはなんだ。)

だったら今日来ている僕らはなんだ。

(おとこのこのさっていったほうこうに、みずがしたたったあとがのびている。)

男の子の去っていった方向に、水が滴った跡が伸びている。

(そこからかげろうがゆらめきたっているようにみえた。)

そこから陽炎が揺らめき立っているように見えた。

(「そんなこともわからないのか」)

「そんなこともわからないのか」

(とししょうはわらいながらいった。)

と師匠は笑いながら言った。

(そのとき、なんだかこのなつは、ぼくのしっているなつではないという、)

そのとき、なんだかこの夏は、僕の知っている夏ではないという、

(かくしんにもにたよかんがむねのうちにわいてきたのだった。)

確信にも似た予感が胸のうちにわいてきたのだった。

(「とっくにふみだしてんだよ」)

「とっくに踏み出してんだよ」

(ししょうはそういうと、はいめんでみずのなかにとびこんでいった。)

師匠はそう言うと、背面で水の中に飛び込んでいった。

(ばしゃん、というおとがみみをうち、ついで「たのしいぞぉ」というこえがそらにはじけた。)

バシャン、という音が耳を打ち、ついで「楽しいぞぉ」という声が空に弾けた。

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