犬の目

(「くすりにつけすぎてふやけておおきくなりすぎたんだ。ひかげにほしておけばだいじょうぶ」)

「薬に漬けすぎてふやけて大きくなりすぎたんだ。日陰に干しておけば大丈夫」

(じょしゅがめをはなしたすきに、だいじなめだまがなくなってしまった)

助手が目を離したスキに、大事な目玉がなくなってしまった

(「いつもいっているだろう、きどをあけておくからいぬがはいってきて、)

「いつも言っているだろう、木戸を開けておくから犬が入ってきて、

(たべてしまったんだ。こまったな。・・・だいじょうぶだ。)

食べてしまったんだ。困ったな。・・・大丈夫だ。

(このいぬをしっかりおさえておけよ」)

この犬をしっかり押さえておけよ」

(そのすきにいぬのめだまをもらってしまった。ちょうどよいさいずであった。)

そのスキに犬の目玉をもらってしまった。丁度良いサイズであった。

(いぬがかわいそうです。)

犬が可愛そうです。

(「いぬのはらにめだまがはいったから、はるになったらめ（め）をだすだろう。)

「犬の腹に目玉が入ったから、春になったら芽（目）を出すだろう。

(５がつになればめーでーといってめがでるよ」。)

５月になればメーデーと言って目が出るよ」。

(いぬのめをおとこにいれるとぴったり、しかしなにもみえない。)

犬の目を男に入れるとピッタリ、しかし何も見えない。

(「どれどれ、めがうらがえしだ」。いれなおすとはっきりとみえた。)

「どれどれ、目が裏返しだ」。入れ直すとハッキリと見えた。

(おれいであたまをさげるとめがおちるから)

お礼で頭を下げると目が落ちるから

(こんばんもうえをむいてねなさいとちゅういされた。)

今晩も上を向いて寝なさいと注意された。

(あさってにきなさい。けいかをみたいから・・・。)

明後日に来なさい。経過を見たいから・・・。

(「せんせいありがとうございました。いままでいじょうにとおめがよくみえます。)

「先生アリガトウございました。今まで以上に遠目がよく見えます。

(そして、いままでよりよくなりました。しかも、よるもひるまのようによくみえます」。)

そして、今までより良くなりました。しかも、夜も昼間のようによく見えます」

(「なにかかわったことでもありますか」)

「何か変わったことでもありますか」

(「ねつきがもともとわるいのですが、めをつむるとすっとねられるんです。)

「寝付きがもともと悪いのですが、目をつむるとスッと寝られるんです。

(でも、なにかおとがするとぱっとめがひらくんです」)

でも、何か音がするとパッと目が開くんです」

(「ようじんがよいから、よかったな」)

「用心が良いから、良かったな」

(「でもひとつこまったことがあります」)

「でも一つ困ったことがあります」

(「それはなんだ？」)

「それは何だ？」

(「でんちゅうをみるとしょうべんがしたくなるのです」)

「電柱を見ると小便がしたくなるのです」