藁人形(わらにんぎょう)
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問題文
(かんだのぬかどんや「えんしゅうや」のびじんでひとりむすめおくまはいまはみをもちくずして)
神田のぬか問屋「遠州屋」の美人で一人娘お熊は今は身を持ち崩して
(せんじゅのわかまつでいたがしらをはっている。)
千住の若松で板頭を張っている。
(まいにち、おもてをとおるせんじゅかわらちょうにすむさいねんというこじきぼうずを)
毎日、表を通る千住河原町に住む西念と言う乞食坊主を
(ちちおやのめいにちだからくようしてくれとよびこみ、)
父親の命日だから供養してくれと呼び込み
(へやにあげしんせつにしてあげる。)
部屋に上げ親切にしてあげる。
(ちちおやにいきうつしだから、ちちおやがわりにおやこうこうをしたいとのはなし。)
父親に生き写しだから、父親代わりに親孝行をしたいとの話。
(「でもののいえがあるのだが、さいねんさんといっしょにすみたいので、うちきんをうちたいが、)
「出物の家があるのだが、西念さんと一緒に住みたいので内金を打ちたいが、
(だんながたびにでていてとうざのかねがない。てごろないえなのだが)
旦那が旅に出ていて当座の金がない。手頃な家なのだが
(このままではつぎのかいてがついてしまう。)
このままでは次の買い手が付いてしまう。
(なんとかしたいがわたしももちあわせがないのであきらめてくれ」、とのはなし。)
何とかしたいが私も持ち合わせがないので諦めてくれ」、との話。
(さいねんは「わたしがなんとかしますから」ということで)
西念は「私が何とかしますから」と言う事で
(かくしためたぜんざいさん30りょうをおくまにわたしてしまう。)
隠し貯めた全財産30両をお熊に渡してしまう。
(さいねんはからだをこわしそとにでられなくてこぜにがなくなった。)
西念は身体をこわし外に出られなくて小銭が無くなった。
(おくまのところにいって1ぶをむしんしたがことわられた。)
お熊の所に行って1分(1/4両)を無心したが断られた。
(「30りょうはもらったかねなので、さいねんにはなにもしてあげられないし、)
「30両はもらった金なので、西念には何もしてあげられないし、
(あれはさいねんのもちがねをとりあげられるかどうか)
あれは西念の持ち金を取り上げられるかどうか
(なかまとかけしてわたしがかったのさ」とうそぶくおくまであった。)
仲間と掛けして私が勝ったのさ」とうそぶくお熊であった。
(さいねんははじめてかたりとられたことにきがついた。)
西念は初めて語り取られた事に気が付いた。
(むしゃぶりつくがわかいしゅうがかけつけて)
むしゃぶりつくが若い衆が駆けつけて
(ななじゅうのとしをこえたからだにけがまでさせて、おいかえしてしまう、おくまであった。)
七十の歳を越えた身体に怪我までさせて、追い返してしまう、お熊であった。
(ぜつぼうしながやにかえったさいねんはそとにもでずにすごすのをながやのじゅうみんもしんぱいしていると)
絶望し長屋に帰った西念は外にも出ずに過ごすのを長屋の住民も心配していると
(おいのじんきちがたずねてきた。)
甥の甚吉が訪ねて来た。
(「だれだ」)
「誰だ」
(「とよしまちょうのじんきちだ」)
「豊島町の甚吉だ」
(なかにはいるとさいねんがひとりつかれたようにいた。)
中に入ると西念が一人憑かれたようにいた。
(「これからはおれがめんどうみてやるからな」)
「これからは俺が面倒見てやるからな」
(はなしのとちゅうでしょうようにたつさいねんが「なべのなかだけはみるな」といつけた。)
話の途中で小用に立つ西念が「鍋の中だけは見るな」と言付けた。
(みるなといわれればみたいのがにんじょう、なべのなかはわらにんぎょうをあぶらでにていた。)
見るなと言われれば見たいのが人情、鍋の中は藁人形を油で煮ていた。
(そこにもどったさいねんがふたがまがっているからみただろうと、といつめ)
そこに戻った西念が蓋が曲がっているから見ただろうと、問い詰め
(「そうか。おれはくやしい。これでのろいがきかなくなった」とかたをおとして)
「そうか。俺はクヤシイ。これで呪いが効かなくなった」と肩を落として
(じんきちにいちぶしじゅうかたった。)
甚吉に一部始終語った。
(じんきちはのろいをかけるなら5すんくぎにわらにんぎょうだろうというと)
甚吉は呪いをかけるなら5寸釘に藁人形だろうと言うと
(「くぎじゃーきかねーんだ。あいつはぬかやのむすめだ」。)
「釘じゃーきかねーんだ。あいつは"ぬか屋"の娘だ」。