中島敦「セトナ王子」2
PCⅡタイピング練習です。
中島敦「セトナ王子」の続きです。
「ヌーとは何か?」という疑問から頭が離れないセトナ王子は、文献を読み漁ったり、高僧などの賢人に聞いてみたりするのだが…
「ヌーとは何か?」という疑問から頭が離れないセトナ王子は、文献を読み漁ったり、高僧などの賢人に聞いてみたりするのだが…
関連タイピング
-
中島敦の中編小説です
プレイ回数302 長文1116打 -
プレイ回数25 長文60秒
-
中島敦の中編小説です
プレイ回数298 長文6366打 -
PCⅡタイピング練習です。
プレイ回数39 長文180秒 -
中島敦の中編小説です
プレイ回数355 長文6532打 -
中島敦って1回打つだけ
プレイ回数205 13打 -
PCⅢのタイピング練習
プレイ回数71 長文90秒 -
中島敦の中編小説です
プレイ回数467 長文6328打
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(なにをばかばかしい、とはじめはわらいすてよう)
何を馬鹿馬鹿しい、とはじめはわらいすてよう
(としたせとなおうじも、しばらくかんがえているなかに、)
としたセトナ王子も、しばらく考えている中に、
(このぎもんがけっしてばかにならないのにきがついた。)
この疑問が決して馬鹿にならないのに気がついた。
(ばかにならないどころか、このうたがいは、はるのぬまべのみずくさのねのように、)
馬鹿にならないどころか、この疑いは、春の沼辺の水草の根の様に、
(みるみる、かれのこころのなかにねをはりえだをのばしていく。)
見る見る、彼の心の中に根を張り枝を伸ばして行く。
(せかいかいびゃくせつについてばかりではない。)
世界開闢説についてばかりではない。
(にちじょうめにするすべてのことに、このうたがいが、からみつく。)
日常目にするすべてのことに、この疑いが、からみつく。
(えちおぴあのきんしへびのながいおのように、なぜあったか。)
エチオピアの金糸蛇の長い尾のように、なぜあったか。
(なくてもよかったろうに。なぜあるか、なくてもよいだろうに。)
無くても良かったろうに。なぜあったか、無くても良いだろうに。
(せとなおうじはいままでのべんきょうにわをかけて、こもんじょやぼひめいを)
セトナ皇子は今までの勉強に輪をかけて、古文書や墓碑銘を
(ねっしんにあさりだした。それらのなかにこのうたがいをとくかぎを)
熱心に漁り出した。それ等の中にこの疑いを解く鍵を
(みだそうとしたのである。かれのどりょくはむだであった。)
見出そうとしたのである。彼の努力は無駄であった。
(がんぺきのどうけつにおこないすますこうめいなまじゅつしも、)
岸壁の洞穴に行いすます高名な魔術師も、
(としおいてあもんらーのこころをたいしたといわれるこうそうも、)
年老いてアモン・ラーの心を体したといわれる高僧も、
(おうじのといにこたえることができない。)
王子の問に答えることが出来ない。
(おうじはしだいにわらわなくなった。)
王子は次第に笑わなくなった。
(いつも、ゆうぐれのみずうみのべにづるのように、しょんぼりとかんがえこんでいる。)
いつも、夕暮の湖の紅鶴のように、しょんぼりと考えこんでいる。
(ひたぞくのくにからつれかえったおんなきょくげいしのえんぎももはやかれのこころをひかなくなり、)
ヒタ族の国から連れ帰った女曲芸師の演技も最早彼の心を惹かなくなり、
(あみのあとにぷんとくにからとうらいのたえなるこうゆをぬることもとめてしまった。)
浴の後にプント国から到来の妙なる香油を塗ることも止めてしまった。
(じらい、はなとさきほこったてーべのきゅうていはやみとなった。)
爾来、花と咲誇ったテーベの宮廷は闇となった。