優しい記憶～evalasting Ⅱ～

(おじいちゃんはいってた)

おじいちゃんは言ってた

(このとしになっても)

この歳になっても

(ひととわかりあうことは)

人とわかりあうことは

(とてもむずかしいと)

とても難しいと

(おじいちゃんはこぼした)

おじいちゃんはこぼした

(このとしになっても)

この歳になっても

(ひととわかれることは)

人と別れることは

(とてもこわいと)

とても怖いと

(いすにふかくこしかけて)

椅子に深く腰掛けて

(とおくをながめる)

遠くを眺める

(めのおくでゆれるさびしさは)

目の奥で揺れる淋しさは

(おじいちゃんだけのもの)

おじいちゃんだけのもの

(でもぼくにもわかるよ)

でも僕にもわかるよ

(すこしだけなら)

少しだけなら

(ぼくもいつかそのくらい)

僕もいつかそのくらい

(ふかくだれかをあいしたい)

深く誰かを愛したい

(あなたがいちずに)

あなたが一途に

(おばあちゃんをあいしたように)

おばあちゃんを愛したように

(おとうさんはいってた)

お父さんは言ってた

(おとこのこはね)

男の子はね

(どんなことがあっても)

どんなことがあっても

(おんなのこをまもるのさ)

女の子を守るのさ

(それからこうつづけた)

それからこう続けた

(おとうさんがね)

お父さんがね

(いないときはおまえが)

いない時はおまえが

(おかあさんをまもるんだと)

お母さんを守るんだと

(こえをあらげたりせず)

声を荒げたりせず

(けしてりくつはならべず)

決して理屈は並べず

(しずかなみずうみのように)

静かな湖のように

(すがたでおしえた)

姿で教えた

(いまぼくにもわかるよ)

いま僕にもわかるよ

(すこしだけなら)

少しだけなら

(だいじにおもうことは)

大事に想うことは

(だいじにすることとはちがうと)

大事にすることとは違うと

(あなたがしずかに)

あなたが静かに

(ぼくらをあいしてくれたから)

僕らを愛してくれたから

(おやこにしましても)

親子にしましても

(だんじょにしましても)

男女にしましても

(あいとはともにすばらしい)

愛とは共に素晴らしい

(きおくをのこすことなのかもね)

記憶を残すことなのかもね

(そんなきおくなんてわたしにはないと)

そんな記憶なんて私にはないと

(ゆうのであればいまから)

ゆうのであれば今から

(えがいてみませんか)

描いてみませんか

(まだまっさらなあしたに)

まだまっさらな明日に

(きぼうのえのぐをのせて)

希望の絵の具をのせて