鹿鳴館ブギウギ

(このてをさあおとりあそばせ)

この手をさあ　お取りあそばせ

(ともにすべりこむ)

共に滑り込む

(かどりーるはよあけがきても)

カドリールは　黎明(よあけ)が来ても

(おわることない)

終わることない

(つぎつぎかわるおあいてめがまわりそうだわくらくら)

次々変わるお相手　目が廻りそうだわクラクラ

(こころうつりいくどまでゆるされて？)

心移り幾度まで許されて？

(まつりごとはよごとにねられる)

祭り事は　夜毎に練られる

(しんそうのけたいのながいすで)

深窓の懈怠(けたい)の長椅子で

(さかせよたいりんのきくを)

咲かせよ　大輪(たいりん)の菊を

(ひとのねたみをみにあび)

民(ひと)の妬みを身に浴び

(はめつをおそれるほどいのちみじかし)

破滅を恐れるほど命　短し

(つづけましょわるつはふぁるす)

続けましょ　ワルツは笑劇(ファルス)

(おくにそだちがけんちょで)

お国育ちが顕著で

(はくらいのおいしょうのみなさませめて)

舶来のお衣裳の皆様せめて

(ごじぶんのおみあしでおどりなさいませ)

ご自分の御足(おみあし)で　踊りなさいませ

(えんたくにはあかぶどうしゅときんだんのかじつ)

円卓には　赤葡萄酒と禁断の果実

(だれもおもうあすのことなどどうでもよいわ)

誰も思う　明日のことなど　どうでもよいわ

(こんなふうにゆうびなときが)

こんなふうに優美な刻(とき)が

(すぎてくのならあんたい)

過ぎてくのなら安泰(あんたい)

(すべてはわたくしたちだけのために)

すべてはわたくしたちだけの為に

(せいりゃくももはんもちゃばんげき)

政略も模範も茶番劇

(いぬにでもくわせてしまいましょ)

犬にでも　食わせてしまいましょ

(あふれるいちりんにかべん)

あふれる　一輪に花弁

(たじょうのそうにみはうき)

多情の相に身は浮き

(やんごとなきうまれゆえさちはかるし)

止ん事無き生まれゆえ幸は軽し

(かめんなしでもますかれいど)

仮面なしでもマスカレイド

(ほんねどこにかくしても)

本音どこに隠しても

(みえすいたせじじょうずあなたはどうぞ)

見え透いた世辞上手　あなたはどうぞ

(ごじしんのおことばでくどきあそばして)

ご自身の御言葉で　口説きあそばして

(さかせよたいりんのきくを)

咲かせよ　大輪(たいりん)の菊を

(ひとのにくしみみにうけ)

民(ひと)の憎しみ身に受け

(かれいなるいちぞくのいのちうるわし)

華麗なる一族の命　麗し

(つづけましょわるつはふぁるす)

続けましょ　ワルツは笑劇(ファルス)

(おくになまりがけんちょで)

お国訛りが顕著で

(はくらいのれいふくのみなさませめて)

舶来の礼服の皆様せめて

(ごじぶんのおみあしでおたちなさいまし)

ご自分の御足(おみあし)で　お立ちなさいまし