星の王子さま 21② (24/32)
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問題文
(あくるひ、おうじさまは、またやってきました。)
あくる日、王子さまは、またやってきました。
(すると、きつねがいいました。)
すると、キツネがいいました。
(「いつも、おなじじこくにやってくるほうがいいんだ。)
「いつも、おなじ時刻にやってくるほうがいいんだ。
(あんたがごごよじにやってくるとすると、おれ、さんじには、もう、)
あんたが午後四時にやってくるとすると、おれ、三時には、もう、
(うれしくなりだすというものだ。)
うれしくなりだすというものだ。
(そして、じこくがたつにつれて、おれはうれしくなるだろう。)
そして、時刻がたつにつれて、おれはうれしくなるだろう。
(よじには、もう、おちおちしていられなくなって、)
四時には、もう、おちおちしていられなくなって、
(おれは、こうふくのありがたさをみにしみておもう。)
おれは、幸福のありがたさを身にしみて思う。
(だけど、もし、あんたが、いつでもかまわずやってくるんだと、)
だけど、もし、あんたが、いつでも構わずやってくるんだと、
(いつ、あんたをまつきもちになっていいのか、てんでわかりっこないからな・・・)
いつ、あんたを待つ気もちになっていいのか、てんで判りっこないからな・・・
(きまりがいるんだよ」)
きまりがいるんだよ」
(「きまりって、それ、なにかい?」 と、おうじさまがいいました。)
「きまりって、それ、なにかい?」 と、王子さまがいいました。
(「そいつがまた、とかくいいかげんにされているやつだよ」)
「そいつがまた、とかくいい加減にされているやつだよ」
(と、きつねがいいました。)
と、キツネがいいました。
(「そいつがあればこそ、ひとつのひが、ほかのひとちがうんだし、)
「そいつがあればこそ、ひとつの日が、ほかの日と違うんだし、
(ひとつのじかんが、ほかのじかんとちがうわけさ。)
ひとつの時間が、ほかの時間とちがうわけさ。
(おれをおっかけるかりうどにだって、やっぱりきまりがあるよ。)
おれを追っかけるかりうどにだって、やっぱりきまりがあるよ。
(もくようびは、むらのむすめたちとおどるんだから、)
木曜日は、村の娘たちと踊るんだから、
(もくようびってやつが、おれには、すばらしいひなんだ。)
木曜日ってやつが、おれには、すばらしい日なんだ。
(そのひになると、おれは、ぶどうばたけまでのしてでるよ。)
その日になると、おれは、ブドウ畑までのして出るよ。
(だけど、かりうどたちが、いつだってかまわず、おどるんだったら、)
だけど、かりうどたちが、いつだってかまわず、踊るんだったら、
(どんなひもみんなおんなじで、おれは、きゅうかなんてものがなくなっちまうんだ」)
どんな日もみんなおんなじで、おれは、休暇なんてものがなくなっちまうんだ」
(おうじさまは、こんなはなしをしあっているうちに、きつねとなかよしになりました。)
王子さまは、こんな話をしあっているうちに、キツネと仲良しになりました。
(だけれど、おうじさまが、わかれていくじこくがちかづくと、きつねがいいました。)
だけれど、王子さまが、わかれていく時刻が近づくと、キツネがいいました。
(「ああ!・・・きっと、おれ、ないちゃうよ」)
「ああ!・・・きっと、おれ、泣いちゃうよ」
(「そりゃ、きみのせいだよ。)
「そりゃ、きみのせいだよ。
(ぼくは、きみにちっともわるいことしようとはおもわなかった。)
ぼくは、きみにちっとも悪いことしようとは思わなかった。
(だけどきみは、ぼくになかよくしてもらいたがったんだ・・・」)
だけどきみは、ぼくに仲よくしてもらいたがったんだ・・・」
(「そりゃ、そうだ」 と、きつねがいいました。)
「そりゃ、そうだ」 と、キツネがいいました。
(「でも、きみは、ないちゃうんだろ!」 と、おうじさまがいいました。)
「でも、きみは、泣いちゃうんだろ!」 と、王子さまがいいました。
(「そりゃ、そうだ」 と、きつねがいいました。)
「そりゃ、そうだ」 と、キツネがいいました。
(「じゃ、なんにもいいことはないじゃないか」)
「じゃ、なんにもいいことはないじゃないか」
(「いや、ある。 むぎばたけのいろが、あるからね」)
「いや、ある。 麦ばたけの色が、あるからね」
(それからきつねは、また、こうもいいました。)
それからキツネは、また、こうもいいました。
(「もういちど、ばらのはなをみにいってごらんよ。)
「もう一度、バラの花を見にいってごらんよ。
(あんたのはなが、よのなかにひとつしかないことがわかるんだから。)
あんたの花が、世の中に一つしかないことがわかるんだから。
(それから、あんたがおれにさよならをいいに、もういちど、ここにもどってきたら、)
それから、あんたがおれにさよならをいいに、もう一度、ここに戻ってきたら、
(おれはおみやげに、ひとつ、ひみつをおくりものにするよ」)
おれはおみやげに、ひとつ、秘密をおくりものにするよ」
(おうじさまは、もういちどばらのはなをみにいきました。 そして、こういいました。)
王子さまは、もう一度バラの花を見に行きました。 そして、こういいました。
(「あんたたち、ぼくのばらのはなとは、まるっきりちがうよ。)
「あんたたち、ぼくのバラの花とは、まるっきりちがうよ。
(それじゃ、たださいてるだけじゃないか。)
それじゃ、ただ咲いてるだけじゃないか。
(だあれも、あんたたちとはなかよくしなかったし、)
だあれも、あんたたちとは仲よくしなかったし、
(あんたたちのほうでも、だれともなかよくしなかったんだからね。)
あんたたちのほうでも、だれとも仲よくしなかったんだからね。
(ぼくがはじめてでくわしたじぶんのきつねとおんなじさ。)
ぼくがはじめて出くわした時分のキツネとおんなじさ。
(あのきつねは、はじめ、じゅうまんものきつねとおんなじだった。)
あのキツネは、はじめ、十万ものキツネとおんなじだった。
(だけど、いまじゃ、もう、ぼくのともだちになってるんだから、)
だけど、いまじゃ、もう、ぼくの友だちになってるんだから、
(このよにいっぴきしかいないきつねなんだよ」)
この世に一ぴきしかいないキツネなんだよ」
(そういわれて、ばらのはなたちは、たいそうきまりわるがりました。)
そういわれて、バラの花たちは、たいそうきまり悪がりました。
(「あんたたちはうつくしいけど、たださいてるだけなんだね。)
「あんたたちは美しいけど、ただ咲いてるだけなんだね。
(あんたたちのためには、しぬきなんかなれないよ。)
あんたたちのためには、死ぬ気なんかなれないよ。
(そりゃ、ぼくのばらのはなも、なんでもなく、そばをとおってゆくひとがみたら、)
そりゃ、ぼくのバラの花も、なんでもなく、そばを通ってゆく人が見たら、
(あんたたちとおんなじはなだとおもうかもしれない。)
あんたたちとおんなじ花だと思うかもしれない。
(だけど、あのいちりんのはなが、ぼくには、あんたたちみんなよりも、たいせつなんだ。)
だけど、あの一輪の花が、ぼくには、あんたたちみんなよりも、大切なんだ。
(だって、ぼくがみずをかけたはななんだからね。)
だって、ぼくが水をかけた花なんだからね。
(おおいがらすもかけてやったんだからね。)
覆いガラスもかけてやったんだからね。
(ついたてで、かぜにあたらないようにしてやったんだからね。)
ついたてで、風にあたらないようにしてやったんだからね。
(けむしをーーーふたつ、みっつはちょうになるようにころさずにおいたけどーーー)
ケムシをーーー二つ、三つはちょうになるように殺さずにおいたけどーーー
(ころしてやったはななんだからね。)
殺してやった花なんだからね。
(ふへいもきいてやったし、じまんばなしもきいてやったし、だまっているならいるで、)
不平もきいてやったし、じまん話もきいてやったし、黙っているならいるで、
(ときには、どうしたのだろうと、ききみみをたててやったはななんだからね。)
時には、どうしたのだろうと、きき耳をたててやった花なんだからね。
(ぼくのものになったはななんだからね」)
ぼくのものになった花なんだからね」
(ばらのはなたちにこういって、おうじさまは、きつねのところにもどってきました。)
バラの花たちにこういって、王子さまは、キツネのところに戻ってきました。
(「じゃ、さよなら」 と、おうじさまはいいました。)
「じゃ、さよなら」 と、王子さまはいいました。
(「さよなら」 と、きつねがいいました。)
「さよなら」 と、キツネがいいました。
(「さっきのひみつをいおうかね。 なに、なんでもないことだよ。)
「さっきの秘密をいおうかね。 なに、なんでもないことだよ。
(こころでみなくちゃ、ものごとはよくみえないってことさ。)
心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
(かんじんなことは、めにみえないんだよ」)
かんじんなことは、目に見えないんだよ」
(「かんじんなことは、めにはみえない」)
「かんじんなことは、目には見えない」
(と、おうじさまは、わすれないようにくりかえしました。)
と、王子さまは、忘れないようにくりかえしました。
(「あんたが、あんたのばらのはなをとてもたいせつにおもってるのはね、)
「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、
(そのばらのはなのために、じかんをむだにしたからだよ」)
そのバラの花のために、時間をむだにしたからだよ」
(「ぼくが、ぼくのばらのはなを、とてもたいせつにおもってるのは・・・」)
「ぼくが、ぼくのバラの花を、とてもたいせつに思ってるのは・・・」
(と、おうじさまは、わすれないようにいいました。)
と、王子さまは、忘れないようにいいました。
(「にんげんっていうものは、このたいせつなことをわすれてるんだよ。)
「人間っていうものは、このたいせつなことを忘れてるんだよ。
(だけど、あんたは、このことをわすれちゃいけない。)
だけど、あんたは、このことを忘れちゃいけない。
(めんどうみたあいてには、いつまでもせきにんがあるんだ。)
面倒みた相手には、いつまでも責任があるんだ。
(まもらなけりゃならないんだよ、ばらのはなとのやくそくをね・・・」)
まもらなけりゃならないんだよ、バラの花との約束をね・・・」
(と、きつねがいいました。)
と、キツネがいいました。
(「ぼくは、あのばらのはなとのやくそくをまもらなけりゃいけない・・・」)
「ぼくは、あのバラの花との約束をまもらなけりゃいけない・・・」
(と、おうじさまは、わすれないようにくりかえしました。)
と、王子さまは、忘れないようにくりかえしました。