銀河鉄道の夜 59

(サザンクロス 4/4)
さっきの女の子や青年たちがその前の白い渚にまだひざまずいているのか、それともどこか方角もわからない、その天上へ行ったのか、ぼんやりして見分けられませんでした。
関連タイピング
-
自作小説
プレイ回数97長文1512打 -
この有名映画てんこ盛りのこのゲームやりませんか?
プレイ回数41881430打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第九話
プレイ回数481長文2431打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第九話
プレイ回数501長文2779打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数911長文4700打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数827長文4511打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数948長文4776打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数953長文4433打
問題文
(そのときすうっときりがはれかかりました。)
そのときすうっと霧がはれかかりました。
(どこかへいくかいどうらしく)
どこかへ行く街道らしく
(ちいさなでんとうのいちれつについたとおりがありました。)
小さな電燈の一列についた通りがありました。
(それはしばらくせんろにそってすすんでいました。)
それはしばらく線路にそって進んでいました。
(そしてふたりがそのあかしのまえをとおっていくときは、)
そしてふたりがそのあかしの前を通って行くときは、
(そのちいさなまめいろのひはちょうどあいさつでもするようにぽかっときえ、)
その小さな豆いろの火はちょうど挨拶でもするようにぽかっと消え、
(ふたりがすぎていくときまたつくのでした。)
ふたりが過ぎて行くときまた点くのでした。
(ふりかえってみるとさっきのじゅうじかはすっかりちいさくなってしまい、)
ふりかえって見るとさっきの十字架はすっかり小さくなってしまい、
(ほんとうにもうそのままむねにもつるされそうになり、)
ほんとうにもうそのまま胸にもつるされそうになり、
(さっきのおんなのこやせいねんたちが)
さっきの女の子や青年たちが
(そのまえのしろいなぎさにまだひざまずいているのか、)
その前の白い渚にまだひざまずいているのか、
(それともどこかほうがくもわからない、そのてんじょうへいったのか)
それともどこか方角もわからない、その天上へ行ったのか
(ぼんやりしてみわけられませんでした。)
ぼんやりして見分けられませんでした。
(じょばんにはああとふかくいきしました。)
ジョバンニはああと深く息しました。
(「かむぱねるら、またぼくたちふたりきりになったねえ、)
「カムパネルラ、またぼくたちふたりきりになったねえ、
(どこまでもどこまでもいっしょにいこう。)
どこまでもどこまでもいっしょに行こう。
(ぼくはもうあのさそりのように)
ぼくはもうあのさそりのように
(ほんとうにみんなのしあわせのためならば)
ほんとうにみんなのしあわせのためならば
(ぼくのからだなんかひゃっぺんやいてもかまわない。」)
ぼくのからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
(「うん。ぼくだってそうだ。」)
「うん。ぼくだってそうだ。」
(かむぱねるらのめにはきれいななみだがうかんでいました。)
カムパネルラの目にはきれいな涙がうかんでいました。
(「けれどもほんとうのさいわいはいったいなんだろう。」)
「けれどもほんとうのさいわいは一体なんだろう。」
(じょばんにがいいました。)
ジョバンニがいいました。
(「ぼくわからない。」)
「ぼくわからない。」
(かむぱねるらがぼんやりいいました。)
カムパネルラがぼんやりいいました。
(「ぼくたちしっかりやろうねえ。」)
「ぼくたちしっかりやろうねえ。」
(じょばんにがむねいっぱいあたらしいちからがわくように)
ジョバンニが胸いっぱい新しい力が湧くように
(ふうといきをしながらいいました。)
ふうと息をしながらいいました。