半七捕物帳 勘平の死5

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第三話

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問題文

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(「へええ。そんないきさつがあるんですかい。わたしはちっともしらなかった」)

二 「へええ。そんな内情があるんですかい。わたしはちっとも知らなかった」

(と、はんしちはのみかけていたきせるをぽんとたたいた。「それにしても、)

と、半七は喫みかけていた煙管をぽんと叩いた。「それにしても、

(わかだんなのしんだのはふじのさいなんで、だれをうらむというわけにもいくめえと)

若旦那の死んだのは不時の災難で、誰を怨むというわけにも行くめえと

(おもうが・・・・・・。それともそこにはなにかりくつがありますかえ」)

思うが……。それとも其処にはなにか理窟がありますかえ」

(「はい、わかっております。おかみさんがころしたにそういございません」)

「はい、判って居ります。おかみさんが殺したに相違ございません」

(「おかみさんが・・・・・・。まあおちついてわけをきかしておくんなせえ。)

「おかみさんが……。まあ落ち着いて訳を聞かしておくんなせえ。

(わかだんなをころすほどならば、さいしょからじぶんのほうへひきとりもしめえとおもうが・・・・・・」)

若旦那を殺すほどならば、最初から自分の方へ引き取りもしめえと思うが……」

(きくひとのむちをあざけるように、もじきよはなみだのあいだにすごいえがおをみせた。)

訊く人の無智を嘲るように、文字清は涙のあいだに凄い笑顔を見せた。

(「かくたろうがいずみやへもらわれてからごねんめに、いまのおかみさんのはらに)

「角太郎が和泉屋へ貰われてから五年目に、今のおかみさんの腹に

(おんなのこができました。おてるといってことしじゅうごになります。ねえ、おやぶん。)

女の子が出来ました。お照といって今年十五になります。ねえ、親分。

(おかみさんのりょうけんになったら、かくたろうがかわいいでしょうか。じぶんのうみのむすめが)

おかみさんの料簡になったら、角太郎が可愛いでしょうか。自分の生みの娘が

(かわいいでしょうか。かくたろうにかとくをゆずりたいでしょうか。)

可愛いでしょうか。角太郎に家督を譲りたいでしょうか。

(おてるにそうぞくさせたいでしょうか。ふだんはいくらよいかおをしていても、)

お照に相続させたいでしょうか。ふだんは幾ら好い顔をしていても、

(にんげんのこころはおにです。じゃまになるかくたろうをどうしてなきものにしようかくらいのことは)

人間の心は鬼です。邪魔になる角太郎をどうして亡き者にしようか位のことは

(かんがえつこうじゃありませんか。ましてかくたろうはだんなのかくしごですもの、)

考え付こうじゃありませんか。まして角太郎は旦那の隠し子ですもの、

(はらのそこにはおんなのねたみもきっとまじっていましょう。そんなことを)

腹の底には女の嫉みもきっとまじっていましょう。そんなことを

(いろいろかんがえると、おかみさんがじぶんでしたかひとにやらせたか、)

いろいろ考えると、おかみさんが自分でしたか人にやらせたか、

(がくやのごたごたしているすきをみて、ほんもののかたなとすりかえておいたにそういないと、)

楽屋のごたごたしている隙をみて、本物の刀と掏り替えて置いたに相違ないと、

(わたくしがうたぐるのがむりでしょうか。それはわたくしのじゃすいでしょうか。)

わたくしが疑ぐるのが無理でしょうか。それはわたくしの邪推でしょうか。

(おやぶん、おまえさんはなんとおおもいです」)

親分、お前さんは何とお思いです」

など

(いずみやのむすこにこうしたひみつがあることは、はんしちはいままでまるでしらなかった。)

和泉屋の息子にこうした秘密があることは、半七は今までまるで知らなかった。

(なるほどもじきよのいうとおり、かくたろうはままこである。しかもしゅじんのかくしごである。)

なるほど文字清のいう通り、角太郎は継子である。しかも主人の隠し子である。

(たといひょうめんはうつくしくじぶんのうちへひきとっても、おかみさんのむねのおくに)

たとい表面は美しく自分の家へ引取っても、おかみさんの胸の奥に

(つめたいしこりののこっていることはいなまれない。ましてそののちにじぶんのじっしが)

冷たい凝塊の残っていることは否まれない。まして其の後に自分の実子が

(できたいじょう、かくたろうにしんだいをわたしたくないとおもうのもおんなのじょうとしては)

出来た以上、角太郎に身代を渡したくないと思うのも女の情としては

(むりもない。それがこうじて、こんどのようなひじょうしゅだんをたくらむということも)

無理もない。それが嵩じて、今度のような非常手段を企むということも

(かならずないとはうけあえない。はんしちはこれまでしゅじゅのはんざいじけんをとりあつかっている)

必ず無いとは受け合えない。半七はこれまで種々の犯罪事件を取り扱っている

(けいけんから、にんげんのおそろしいということもよくしっていた。)

経験から、人間の恐ろしいということも能く識っていた。

(もじきよはむろん、いずみやのおかみさんがわがこのかたきと)

文字清は無論、和泉屋のおかみさんが我が子のかたきと

(いちずにおもいつめているらしかった。)

一途に思いつめて居るらしかった。

(「おやぶん、さっしてください。わたくしはくやしくって、くやしくって・・・・・・。)

「親分、察してください。わたくしは口惜しくって、口惜しくって……。

(いっそでばぼうちょうでももっていずみやへあばれこんで、あんちくしょうをずたずたに)

いっそ出刃庖丁でも持って和泉屋へ暴れ込んで、あん畜生をずたずたに

(きりころしてやろうかとおもっているんですが・・・・・・」)

切り殺してやろうかと思っているんですが……」

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