「こころ」1-21 夏目漱石

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(上)先生と私
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 kkk 7097 7.4 94.9% 287.7 2157 115 41 2024/08/27
2 berry 7038 7.1 97.9% 296.5 2131 44 41 2024/09/18
3 デコポン 6512 S+ 6.7 96.3% 316.0 2139 81 41 2024/09/06
4 だだんどん 6182 A++ 6.5 94.1% 324.6 2140 133 41 2024/08/26
5 タイピング君初級 5659 A 6.0 94.3% 357.8 2155 130 41 2024/08/13

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問題文

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(われわれはぐんしゅうのなかにいた。)

我々は群集の中にいた。

(ぐんしゅうはいずれもうれしそうなかおをしていた。)

群集はいずれも嬉しそうな顔をしていた。

(そこをとおりぬけて、はなもひともみえないもりのなかへくるまでは、)

そこを通り抜けて、花も人も見えない森の中へ来るまでは、

(おなじもんだいをくちにするきかいがなかった。)

同じ問題を口にする機会がなかった。

(「こいはざいあくですか」とわたくしがそのときとつぜんきいた。)

「恋は罪悪ですか」と私がその時突然聞いた。

(「ざいあくです。たしかに」とこたえたときのせんせいのごきはまえとおなじようにつよかった。)

「罪悪です。たしかに」と答えた時の先生の語気は前と同じように強かった。

(「なぜですか」)

「なぜですか」

(「なぜだかいまにわかります。いまにじゃない、もうわかっているはずです。)

「なぜだか今に解ります。今にじゃない、もう解っているはずです。

(あなたのこころはとっくのむかしからすでにこいでうごいているじゃありませんか」)

あなたの心はとっくの昔からすでに恋で動いているじゃありませんか」

(わたくしはいちおうじぶんのむねのうちをしらべてみた。けれどもそこはあんがいにくうきょであった。)

私は一応自分の胸の中を調べて見た。けれどもそこは案外に空虚であった。

(おもいあたるようなものはなんにもなかった。)

思いあたるようなものは何にもなかった。

(「わたしのむねのうちにこれというもくてきぶつはひとつもありません。)

「私の胸の中にこれという目的物は一つもありません。

(わたくしはせんせいになにもかくしてはいないつもりです」)

私は先生に何も隠してはいないつもりです」

(「もくてきぶつがないからうごくのです。あればおちつけるだろうとおもって)

「目的物がないから動くのです。あれば落ち付けるだろうと思って

(うごきたくなるのです」)

動きたくなるのです」

(「いまそれほどうごいちゃいません」)

「今それほど動いちゃいません」

(「あなたはものたりないけっかわたしのところにうごいてきたじゃありませんか」)

「あなたは物足りない結果私の所に動いて来たじゃありませんか」

(「それはそうかもしれません。しかしそれはこいとはちがいます」)

「それはそうかも知れません。しかしそれは恋とは違います」

(「こいにのぼるかいだんなんです。いせいとだきあうじゅんじょとして、)

「恋に上る階段なんです。異性と抱き合う順序として、

(まずどうせいのわたしのところへうごいてきたのです」)

まず同性の私の所へ動いて来たのです」

など

(「わたくしにはふたつのものがまったくせいしつをことにしているようにおもわれます」)

「私には二つのものが全く性質を異にしているように思われます」

(「いやおなじです。わたしはおとことしてどうしてもあなたにまんぞくをあたえられない)

「いや同じです。私は男としてどうしてもあなたに満足を与えられない

(にんげんなのです。それから、あるとくべつのじじょうがあって、)

人間なのです。それから、ある特別の事情があって、

(なおさらあなたにまんぞくをあたえられないでいるのです。)

なおさらあなたに満足を与えられないでいるのです。

(わたしはじっさいおきのどくにおもっています。あなたがわたしからよそへうごいていくのは)

私は実際お気の毒に思っています。あなたが私からよそへ動いて行くのは

(しかたがない。わたしはむしろそれをきぼうしているのです。しかし・・・」)

仕方がない。私はむしろそれを希望しているのです。しかし…」

(わたくしはへんにかなしくなった。)

私は変に悲しくなった。

(「わたくしがせんせいからはなれていくようにおおもいになればしかたありませんが、)

「私が先生から離れて行くようにお思いになれば仕方ありませんが、

(わたくしにそんなきのおこったことはまだありません」)

私にそんな気の起った事はまだありません」

(せんせいはわたくしのことばにみみをかさなかった。)

先生は私の言葉に耳を貸さなかった。

(「しかしきをつけないといけない。こいはざいあくなんだから。)

「しかし気を付けないといけない。恋は罪悪なんだから。

(わたしのところではまんぞくがえられないかわりにきけんもないが、)

私の所では満足が得られない代りに危険もないが、

(ーーきみ、くろいながいかみでしばられたときのこころもちをしっていますか」)

ーー君、黒い長い髪で縛られた時の心持を知っていますか」

(わたくしはそうぞうでしっていた。しかしじじつとしてはしらなかった。)

私は想像で知っていた。しかし事実としては知らなかった。

(いずれにしてもせんせいのいうざいあくといういみはもうろうとしてよくわからなかった。)

いずれにしても先生のいう罪悪という意味は朦朧としてよく解らなかった。

(そのうえわたくしはふゆかいになった。)

その上私は不愉快になった。

(「せんせい、ざいあくといういみをもっとはっきりいってきかしてください。)

「先生、罪悪という意味をもっと判然いって聞かして下さい。

(それでなければこのもんだいをここできりあげてください。)

それでなければこの問題をここで切り上げて下さい。

(わたくしじしんにざいあくといういみがはっきりわかるまで」)

私自身に罪悪という意味が判然解るまで」

(「わるいことをした。わたしはあなたにまことをはなしているきでいた。)

「悪い事をした。私はあなたに真実を話している気でいた。

(ところがじっさいは、あなたをじらしていたのだ。わたしはわるいことをした」)

ところが実際は、あなたを焦慮していたのだ。私は悪い事をした」

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