緋のエチュード 13

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タグ小説 文学
シャーロックホームズシリーズ第一弾

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問題文

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(「どうやってあなたがそれをしっているのか、けんとうもつきませんが。)

「どうやってあなたがそれを知っているのか、見当もつきませんが。

(わたしはとびらのまえまでいったとき、あまりにしずかでものさびしいので、)

私は扉の前まで行った時、あまりに静かで物寂しいので、

(やはりだれかといっしょにはいろうとかんがえました。)

やはり誰かと一緒に入ろうと考えました。

(わたしはこのよのことならなにもこわくないんですが、ふと、)

私はこの世のことなら何も怖くないんですが、ふと、

(あれはちょうちふすでしんだおとこがじぶんをころしたげすいを)

あれは腸チフスで死んだ男が自分を殺した下水を

(しらべているのかもしれないというかんがえがうかびました。)

調べているのかもしれないという考えが浮かびました。

(こうかんがえるとちょっときがかわって、)

こう考えるとちょっと気が変わって、

(わたしはまーちゃーのらんたんがみえないかをかくにんするために)

私はマーチャーのランタンが見えないかを確認するために

(もんのところまでもどりました。しかしまーちゃーばかりか、)

門のところまで戻りました。しかしマーチャーばかりか、

(ほかのだれのすがたもありませんでした」)

他の誰の姿もありませんでした」

(「とおりにはだれもいなかったのか?」)

「通りには誰もいなかったのか?」

(「ひとっこひとり、いぬさえもいませんでした。)

「人っ子一人、犬さえもいませんでした。

(それからわたしはゆうきをふりしぼってもどり、とびらをおしあけました。)

それから私は勇気を振り絞って戻り、扉を押し開けました。

(なかはどこもしずかでしたので、)

中はどこも静かでしたので、

(わたしはあかりがともっていたへやにはいりました。)

私は明かりが灯っていた部屋に入りました。

(まんとるぴーすのうえでろうそくがもえていました。)

マントルピースの上でロウソクが燃えていました。

(あかいろうそくです、そしてそのひかりでわたしはみました・・・」)

赤いロウソクです 、そしてその光で私は見ました・・・・」

(「けっこう、ぼくはきみがみたものはすべてしっている。)

「結構、僕は君が見たものは全て知っている。

(きみはなんしゅうかへやのなかをまわり、したいにひざまずき、)

君は何周か部屋の中を回り、死体にひざまずき、

(それからへやをとおってだいどころのとびらをあけようとした。そのあとで・・・」)

それから部屋を通って台所の扉を開けようとした。その後で・・・・」

など

(じょんらんせはぎょっとしたかおでさっとたちあがった。)

ジョン・ランセはギョッとした顔でさっと立ち上がった。

(うたがうようなめつきだった。「どこにかくれていちぶしじゅうをみていたんだ?」)

疑うような目つきだった。「どこに隠れて一部始終を見ていたんだ?」

(かれはさけんだ。「いくらなんでも、ちょっとしりすぎてやしないか」)

彼は叫んだ。「いくらなんでも、ちょっと知りすぎてやしないか」

(ほーむずはわらいだし、てーぶるのむこうのじゅんさにめいしをなげた。)

ホームズは笑い出し、テーブルの向こうの巡査に名刺を投げた。

(「ぼくをさつじんようぎでたいほしないでくれ」かれはいった。)

「僕を殺人容疑で逮捕しないでくれ」彼は言った。

(「ぼくはりょうけんだがおおかみではない。)

「僕は猟犬だが狼ではない。

(ぐれっぐそんかれすとれーどがほしょうしてくれる。さあ、)

グレッグソンかレストレードが保証してくれる。さあ、

(つづきをはなしてくれ。そのあとどうした?」)

続きを話してくれ。その後どうした?」

(らんせはすわりなおしたが、とまどったようなひょうじょうはそのままだった。)

ランセは座り直したが、戸惑ったような表情はそのままだった。

(「わたしはいりぐちにもどってふえをならしました。)

「私は入り口に戻って笛を鳴らしました。

(それでまーちゃーとほかにふたりがげんばにきました」)

それでマーチャーと他に二人が現場に来ました」

(「そのとき、とおりにはだれもいなかったのか?」)

「その時、通りには誰もいなかったのか?」

(「ええ、そうです。すくなくともやくにたつようなにんげんは」)

「ええ、そうです。少なくとも役に立つような人間は」

(「どういういみだ?」)

「どういう意味だ?」

(じゅんさはにやりとした。「じゅんかいちゅうによっぱらいはたくさんみていますが」)

巡査はにやりとした。「巡回中に酔っ払いは沢山見ていますが」

(かれはいった。「あいつほどべろべろによったやつはみたことがありません。)

彼は言った。「あいつほどベロベロに酔った奴は見たことがありません。

(わたしがでてきたとき、もんぴのそばのてすりにもたれかかり、)

私が出てきた時、門扉の側の手すりに持たれかかり、

(こえをかぎりにころんばいんのはやりうたかなにかをうたっていました。)

声を限りにコロンバインの流行り歌かなにかを歌っていました。

(このおとこはあしこしたたず、ぜんぜんたすけになりませんでした」)

この男は足腰立たず、全然助けになりませんでした」

(「どんなかんじのおとこだった?」しゃーろっくほーむずがきいた。)

「どんな感じの男だった?」シャーロックホームズが訊いた。

(じょんらんせはこのだっせんにちょっといらいらしたようすだった。)

ジョン・ランセはこの脱線にちょっとイライラした様子だった。

(「かれはこれいじょうないほどよっぱらっていたようです」かれはいった。)

「彼はこれ以上ないほど酔っ払っていたようです」彼は言った。

(「もしけいさつがひじょうにばたばたしていなかったら、)

「もし警察が非常にバタバタしていなかったら、

(りゅうちじょうでめをさましていたはずです」)

留置場で目を覚ましていたはずです」

(「かおやふくそうはちゃんとおぼえているのか?」)

「顔や服装はちゃんと覚えているのか?」

(ほーむずはいらいらしてわりこんだ。)

ホームズはイライラして割り込んだ。

(「もちろんです。まーちゃーとふたりでそのおとこをたたせたんですから。)

「もちろんです。マーチャーと二人でその男を立たせたんですから。

(せのたかいおとこでした。あからがおで、)

背の高い男でした。赤ら顔で、

(かおのしたはんぶんはまふらーがまいてありました・・・」)

顔の下半分はマフラーが巻いてありました・・・・」

(「もういい」かれはさけんだ。「そのおとこはそれからどうしたんだ?」)

「もういい」彼は叫んだ。「その男はそれからどうしたんだ?」

(「よっぱらいのめんどうをみるいわれはないでしょう」)

「酔っ払いの面倒を見るいわれはないでしょう」

(じゅんさはふまんそうなこえでいった。)

巡査は不満そうな声で言った。

(「ちゃんといえにかえるみちをみつけたとおもいます」)

「ちゃんと家に帰る道を見つけたと思います」

(「ふくそうはどんなだった?」)

「服装はどんなだった?」

(「ちゃいろいこーとをきていました」)

「茶色いコートを着ていました」

(「むちをてにもっていなかったか?」)

「鞭を手に持っていなかったか?」

(「むちですか、・・・いいえ」)

「鞭ですか、・・・・いいえ」

(「どこかにおいていたにちがいない」ほーむずはつぶやいた。)

「どこかに置いていたに違いない」ホームズはつぶやいた。

(「もしかしてそのあと、つじばしゃがとおるおとをきかなかったか?」)

「もしかしてその後、辻馬車が通る音を聞かなかったか?」

(「いいえ」)

「いいえ」

(「このはんそぶりんはきみのものだ」)

「この半ソブリンは君のものだ」

(ほーむずはたちあがってぼうしをとりながらいった。「ざんねんだが、)

ホームズは立ち上がって帽子を取りながら言った。「残念だが、

(らんせ、きみはけいさつでしゅっせしそうもないな。)

ランセ、君は警察で出世しそうもないな。

(そのあたまはかざりだけでなくつかうためのものだ。きみはさくや、)

その頭は飾りだけでなく使うためのものだ。君は昨夜、

(じゅんさぶちょうのそでしょうをもらえたかもしれないのだ。きみがてにしていたおとこは、)

巡査部長の袖章を貰えたかもしれないのだ。君が手にしていた男は、

(このじけんのてがかりをもったおとこだ。そしてわれわれがいまさがしているじんぶつだ。)

この事件の手がかりを持った男だ。そして我々が今探している人物だ。

(いまさらなにをいってもはじまらないが、そうだったということはいっておく。)

今更何を言っても始まらないが、そうだったということは言っておく。

(せんせい、いこう」)

先生、行こう」

(われわれはいっしょにつじばしゃにむかってでていった。)

我々は一緒に辻馬車に向かって出て行った。

(じょうほうていきょうしゃはうたがっているようだったが、)

情報提供者は疑っているようだったが、

(あきらかにおちつかないようすだった。)

明らかに落ち着かない様子だった。

(「おおばかものが!」ほーむずはわれわれのいえにかえるとちゅう、にがにがしげにいった。)

「大馬鹿者が!」ホームズは我々の家に帰る途中、苦々しげに言った。

(「かれがあんなせんざいいちぐうのこううんをしゅちゅうにしていたことをかんがえてみろ。)

「彼があんな千載一遇の幸運を手中にしていた事を考えてみろ。

(そしてそれをまったくいかせなかったことを」)

そしてそれをまったく生かせなかったことを」

(「わたしはまだけんとうがつかないが。たしかにそのおとこのがいけんは、)

「私はまだ見当がつかないが。確かにその男の外見は、

(きみがこのじけんでそうていしただいにのじんぶつとおなじだ。)

君がこの事件で想定した第二の人物と同じだ。

(しかしなぜかれはそこをさったあと、)

しかしなぜ彼はそこを去った後、

(もういちどあのいえにもどってくるひつようがあったのだ?)

もう一度あの家に戻ってくる必要があったのだ?

(はんざいしゃがそんなことをするはずがない」)

犯罪者がそんなことをするはずがない」

(「ゆびわだよ、あのゆびわ。あれがかれをよびもどしたのだ。)

「指輪だよ、あの指輪。あれが彼を呼び戻したのだ。

(もしほかにかれをつかまえるほうほうがなくても、)

もし他に彼を捕まえる方法がなくても、

(いつでもあのゆびわのせんでおびきよせることができる。)

いつでもあの指輪の線でおびき寄せることが出来る。

(ぜったいにつかまえてやる、せんせい、)

絶対に捕まえてやる、先生、

(ぼくはじぶんがつかまえるほうに2:1でかけてもいい。)

僕は自分が捕まえる方に2:1で賭けてもいい。

(きみにはれいをいわなければならない。きみがいなかったら、)

君には礼を言わなければならない。君がいなかったら、

(ぼくがこれまでであったなかでさいこうにすばらしいこのちょうさたいしょうを)

僕がこれまで出会った中で最高に素晴らしいこの調査対象を

(にがしていたかもしれない。ひいろのれんしゅうさくというのはどうだ?)

逃がしていたかもしれない。緋色の練習作というのはどうだ?

(ちょっとしたげいじゅつかのいんごをつかっていけないことはないだろう。)

ちょっとした芸術家の隠語を使っていけないことはないだろう。

(むしょくのじんせいのいとかせをさつじんというひいろのいとがとおっている。)

無色の人生の糸カセを殺人という緋色の糸が通っている。

(ぼくらのせきむはそれをほぐすことだ。そしてそれをぶんりし、)

僕らの責務はそれをほぐすことだ。そしてそれを分離し、

(すみからすみまでしょうたいをあかすことだ。ちゅうしょくのじかんだ。)

隅から隅まで正体を明かすことだ。昼食の時間だ。

(それからのーまんねるだだ。)

それからノーマン・ネルダだ。

(かのじょのおとのたちあがりとうんきゅうはすばらしい。)

彼女の音の立ち上がりと運弓は素晴らしい。

(かのじょがほんとうにすばらしくえんそうする、)

彼女が本当に素晴らしく演奏する、

(あのしょぱんのすばらしいきょくはなんだったかな。)

あのショパンの素晴らしい曲は何だったかな。

(とぅら~ら~ら~りあ~れぃ」)

トゥラ~ラ~ラ~リア~レィ」

(つじばしゃのしーとにもたれ、)

辻馬車のシートにもたれ、

(このあまちゅあたんていはひばりのようにたのしそうにうたった。そのあいだ、)

このアマチュア探偵はヒバリのように楽しそうに歌った。その間、

(わたしはにんげんのこころのためんせいにおもいをめぐらせていた。)

私は人間の心の多面性に思いをめぐらせていた。

(こうこくにほうもんしゃがある)

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