緋のエチュード 19

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タグ小説 文学
シャーロックホームズシリーズ第一弾

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問題文

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(しかしさきほどもうしあげたぼうきょにはかんにんぶくろのおがきれましたので、)

しかし先ほど申し上げた暴挙には堪忍袋の緒が切れましたので、

(でていくようにつうこくしました。かれがたちさったのはこれがりゆうです」」)

出て行くように通告しました。彼が立ち去ったのはこれが理由です』」

(「「それで?」」)

「『それで?』」

(「「かれがでていくのをみて、わたしのこころははれました。)

「『彼が出て行くのを見て、私の心は晴れました。

(むすこはいまちょうどきゅうかちゅうですが、)

息子は今ちょうど休暇中ですが、

(むすこにはこのことについてなにひとつふれませんでした。)

息子にはこのことについて何一つ触れませんでした。

(むすこははげしいせいかくで、いもうとがだいすきでした。)

息子は激しい性格で、妹が大好きでした。

(わたしはげしゅくにんをおくりだしてとびらをしめたとき、)

私は下宿人を送り出して扉を閉めた時、

(おもにをおろしたようにかんじました。なんと、)

重荷を下ろしたように感じました。何と、

(いちじかんとたたないうちにべるがなり、)

一時間とたたないうちにベルがなり、

(どればーさんがもどってきたことがわかりました。)

ドレバーさんが戻ってきたことが分かりました。

(かれはひじょうにこうふんしていました。)

彼は非常に興奮していました。

(そしてあきらかにひどくわるよいしていました。)

そして明らかにひどく悪酔いしていました。

(かれはむりやりわたしとむすめがくらしていたへやにあがりこみました。)

彼は無理やり私と娘が暮らしていた部屋に上がり込みました。

(れっしゃにのりおくれたとかなんとか、わけのわからないことをいっていました。)

列車に乗り遅れたとか何とか、訳のわからないことを言っていました。

(かれはそれからありすのほうをふりかえり、わたしのめのまえで、)

彼はそれからアリスの方を振り返り、私の目の前で、

(じぶんとかけおちしようといいました。「おまえはおとなだ」)

自分と駆け落ちしようと言いました。《お前は大人だ》

(かれはいいました。「きんしするほうりつはない。)

彼は言いました。《禁止する法律はない。

(おれはありあまるほどのかねをもっている。このおいぼれおんなはきにするな。)

俺はあり余るほどの金を持っている。この老いぼれ女は気にするな。

(すぐにおれといっしょにこい。おひめさまのようなくらしをさせてやる」)

すぐに俺と一緒に来い。お姫様のような暮らしをさせてやる》

など

(かわいそうにありすはひじょうにこわがってあとずさりしました。)

可哀想にアリスは非常に怖がって後ずさりしました。

(しかしかれはむすめのてくびをつかみ、)

しかし彼は娘の手首をつかみ、

(とぐちのところまでひっぱっていこうとしました。)

戸口のところまで引っ張って行こうとしました。

(わたしはさけびごえをあげました。そのしゅんかん、)

私は叫び声を上げました。その瞬間、

(むすこのあーさーがへやにはいってきました。)

息子のアーサーが部屋に入ってきました。

(そのあとなにがあったかしりません。)

その後何があったか知りません。

(ののしるこえととっくみあうようなおとがきこえました。)

罵る声と取っ組み合うような音が聞こえました。

(わたしはこわくてめをあげられませんでした。わたしがみあげたとき、)

私は怖くて目を上げられませんでした。私が見上げた時、

(あーさーがすてっきをてにしてわらいながら、)

アーサーがステッキを手にして笑いながら、

(とぐちにたっているのがみえました。)

戸口に立っているのが見えました。

(「あのごりっぱなじんぶつがおれたちをまたなやませるとはおもわんが」)

《あのご立派な人物が俺達をまた悩ませるとは思わんが》

(むすこはいいました。「あとをおってひとりでなにをしているかみてこよう」)

息子は言いました。《後を追って一人で何をしているか見てこよう》

(こういうと、むすこはぼうしをとってとおりにでていきました。)

こう言うと、息子は帽子を取って通りに出て行きました。

(つぎのあさわたしたちはどればーさんのふしぎなしをしりました」」)

次の朝私たちはドレバーさんの不思議な死を知りました』」

(「しゃるぱんてぃえふじんがこのきょうじゅつをしているとき、)

「シャルパンティエ夫人がこの供述をしている時、

(かのじょはなんどとなくあえいでいきをつまらせました。ときどき、)

彼女は何度となくあえいで息を詰まらせました。時々、

(かのじょのこえはひじょうにちいさくなって、)

彼女の声は非常に小さくなって、

(わたしはなにをいっているのかききとれませんでした。しかし、)

私は何を言っているのか聞き取れませんでした。しかし、

(わたしはかのじょのいったことをぜんぶそっきでかきとりましたので、)

私は彼女の言った事を全部速記で書きとりましたので、

(ききまちがいのかのうせいはありません」)

聞き間違いの可能性はありません」

(「なかなかおもしろいね」)

「なかなか面白いね」

(しゃーろっくほーむずはあくびをしながらいった。)

シャーロックホームズはあくびをしながら言った。

(「それからなにがあった?」)

「それから何があった?」

(「しゃるぱんてぃえふじんがはなしおえたとき」けいぶはつづけた。)

「シャルパンティエ夫人が話し終えた時」警部は続けた。

(「わたしはこのじけんぜんたいがいってんにかかっているとわかりました。)

「私はこの事件全体が一点にかかっていると分かりました。

(じょせいにたいしてはいつもこれがこうかてきとわかっているんですが、)

女性に対してはいつもこれが効果的と分かっているんですが、

(わたしはかのじょをじっとみながら、むすこがなんじにかえってきたかたずねました」)

私は彼女をじっと見ながら、息子が何時に帰ってきたか尋ねました」

(「「しりません」かのじょはこたえました」)

「『知りません』彼女は答えました」

(「「しらない?」」)

「『知らない?』」

(「「はい。むすこはかぎをもっています。じぶんでいえにはいりました」」)

「『はい。息子は鍵を持っています。自分で家に入りました』」

(「「あなたがしんしつにいったあとで?」」)

「『あなたが寝室に行った後で?』」

(「「そうです」」)

「『そうです』」

(「「なんじにしんしつにいきましたか?」」)

「『何時に寝室に行きましたか?』」

(「「じゅういちじごろです」」)

「『十一時頃です』」

(「「ではあなたのむすこさんはすくなくともにじかんは)

「『ではあなたの息子さんは少なくとも二時間は

(がいしゅつしていたのですね?」」)

外出していたのですね?』」

(「「そうです」」)

「『そうです』」

(「「もしかするとよじかんかごじかんかもしれない」」)

「『もしかすると四時間か五時間かもしれない』」

(「「そうです」」)

「『そうです』」

(「「そのあいだかれはなにをしていたのですか?」」)

「『その間彼は何をしていたのですか?』」

(「「しりません」かのじょはくちびるまでまっさおになりながらこたえました」)

「『知りません』彼女は唇まで真っ青になりながら答えました」

(「もちろんこれいじょうきくひつようはありません。)

「もちろんこれ以上訊く必要はありません。

(わたしはしゃるぱんてぃえちゅういのいばしょをみつけ、けいかんふたりをつれていき、)

私はシャルパンティエ中尉の居場所を見つけ、警官二人を連れて行き、

(かれをたいほしました。わたしがかれのかたにてをおいて、)

彼を逮捕しました。私が彼の肩に手を置いて、

(おとなしくついてこいというと、かれはずうずうしくもこうこたえました。)

おとなしくついて来いと言うと、彼はずうずうしくもこう答えました。

(「たぶんあのひれつなどればーのしにかんけいしてぼくをたいほするつもりだろう」)

『多分あの卑劣なドレバーの死に関係して僕を逮捕するつもりだろう』

(われわれはそれにかんしてなにもいっていませんでした。)

我々はそれに関して何も言っていませんでした。

(したがってかれがそのことにふれたのは、ひじょうにうたがわしいたいどです」)

したがって彼がその事に触れたのは、非常に疑わしい態度です」

(「ひじょうにな」ほーむずはいった。)

「非常にな」ホームズは言った。

(「かれはまだおもいすてっきをもっていました。)

「彼はまだ重いステッキを持っていました。

(かれがどればーをおいかけたとき、てにしていたとははおやがきょうじゅつしたつえです。)

彼がドレバーを追いかけた時、手にしていたと母親が供述した杖です。

(がっしりしたかしのつえでした」)

がっしりした樫の杖でした」

(「それで、きみのかんがえは?」)

「それで、君の考えは?」

(「わたしのかんがえではかれはどればーをぶりくすとんろーどまで)

「私の考えでは彼はドレバーをブリクストンロードまで

(おいかけていった。そのときそこで、ふたりはあらたにいいあいをはじめた。)

追いかけて行った。その時そこで、二人は新たに言い合いを始めた。

(そのさいちゅうどればーはすてっきでうたれた。たぶんみぞおちでしょう。)

その最中ドレバーはステッキで打たれた。多分みぞおちでしょう。

(それでかれはあとをのこさずしんだ。)

それで彼は痕を残さず死んだ。

(そのよるはおおあめがふっていたのであたりにはだれもいなかった。)

その夜は大雨が降っていたので辺りには誰もいなかった。

(それでしゃるぱんてぃえはぎせいしゃのいたいをあきやにひきずっていった。)

それでシャルパンティエは犠牲者の遺体を空家に引きずっていった。

(ろうそく、ち、かべのもじ、ゆびわは、ぜんぶ、)

ロウソク、血、壁の文字、指輪は、全部、

(けいかんをまちがったてがかりにみちびく、てのこんだけいりゃくです」)

警官を間違った手がかりに導く、手の込んだ計略です」

(「じょうできだ!」ほーむずはげきしょうするようなこえでいった。「ほんとうに、)

「上出来だ!」ホームズは激賞するような声で言った。「本当に、

(ぐれっぐそん、きみはしんぽしたな。)

グレッグソン、君は進歩したな。

(いずれきみはたかくひょうかされることになるだろう」)

いずれ君は高く評価されることになるだろう」

(「なかなかうまくやったなとじぶんでもおもっているんですよ」)

「なかなか上手くやったなと自分でも思っているんですよ」

(けいぶはほこらしげにこたえた。「あのせいねんはじぶんからきょうじゅつしました。)

警部は誇らしげに答えた。「あの青年は自分から供述しました。

(そのなかでかれは、しばらくどればーをおったが、どればーはかれにきづき、)

その中で彼は、しばらくドレバーを追ったが、ドレバーは彼に気付き、

(にげようとつじばしゃにのったとはなしました。かれはいえにもどるとちゅう、)

逃げようと辻馬車に乗ったと話しました。彼は家に戻る途中、

(ふるいせんいんなかまとあい、ながいあいだいっしょにさんぽをしたということです。)

古い船員仲間と会い、長い間一緒に散歩をしたということです。

(そのふるいせんいんなかまがどこにすんでいるかきかれて、)

その古い船員仲間がどこに住んでいるか訊かれて、

(かれはまんぞくいくかいとうができませんでした。)

彼は満足行く回答が出来ませんでした。

(わたしはこのじけんぜんたいがひじょうにうまくおさまったとおもいます。)

私はこの事件全体が非常に上手く収まったと思います。

(れすとれーどのことをかんがえるとゆかいになります。)

レストレードのことを考えると愉快になります。

(かれはまちがったてがかりをおいかけています。ざんねんながら、)

彼は間違った手がかりを追いかけています。残念ながら、

(たいしたことはぜったいにできないでしょう。おや、こりゃどうした。)

たいした事は絶対にできないでしょう。おや、こりゃどうした。

(ほんにんがここにきたぞ!」)

本人がここに来たぞ!」

(わたしたちがはなしをしているときにかいだんをあがってきて、)

私たちが話をしている時に階段を上がって来て、

(このときへやにはいってきたのはまちがいなくれすとれーどだった。しかし、)

この時部屋に入って来たのは間違いなくレストレードだった。しかし、

(ふだんかれのたいどやふくそうにあらわれているかくしんといきおいよさはきえていた。)

普段彼の態度や服装に表れている確信と勢いよさは消えていた。

(かれのかおはどうてんしてこまりはて、ふくはみだれてだらしなかった。)

彼の顔は動転して困り果て、服は乱れてだらしなかった。

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