東郷平八郎 聯合艦隊解散の辞 ③
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問題文
(けだしこのごときここんとうざいのいんかんはいせいのしからしむるものありしといえども、)
蓋し此の如き古今東西の殷鑑は為政の然らしむるものありしと雖も、
(しゅとしてぶじんがちにいてらんをわすれざるといなとにもとづけるしぜんのけっかたらざるはなし)
主として武人が治に居て乱を忘れざると否とに基ける自然の結果たらざるは無し
(われらせんごのぐんじんはふかくこれらのじつれいにかんがみ、)
我等戦後の軍人は深く此等の實例に鑒み、
(きゆうのれんまにくわうるにせんえきのじっけんをもってし、)
既有の練磨に加ふるに戦役の実験を以てし、
(さらにしょうらいのしんぽをはかりてじせいのはってんにおくれざるをきせざるべからず。)
更に将来の進歩を図りて時勢の発展に後れざるを期せざる可らず。
(もしそれつねに、せいゆをほうたいしてししふんれいし、)
若し夫れ常に、聖諭を奉體して孜々奮励し、
(じつりょくのまんをじしてはなつべきじせつをまたば、)
実力の満を持して放つべき時節を待たば、
(こいねがわくばもってえいえんにごこくのだいにんをまっとうすることをえん。)
庶幾くば以て永遠に護国の大任を全うすることを得ん。
(しんめいはただへいそのたんれんにつとめ、)
神明は唯平素の鍛練に力め、
(たたかわずしてすでにかてるものにしょうりのえいかんをさずくるとどうじに、)
戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、
(いっしょうにまんぞくしてちへいにやすんずるものよりただちにこれをうばう。)
一勝に満足して治平に安ずる者より直に之を褫ふ。
(こじんいわくかってかぶとのおをしめよと。)
古人曰く勝て兜の緒を締めよと。