『悪魔の尾』宮原晃一郎1

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人間と共存する悪魔の昔話
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

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問題文

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(それはずっとおおむかしのことでした。そのころはちきゅうができてからまだあたらしいので、)

それはずっと大昔のことでした。その頃は地球が出来てからまだ新しいので、

(にんげんはもちろんのこと、とりやけものすらすんでいませんでした。)

人間はもちろんのこと、鳥や獣すら住んでいませんでした。

(すんでいるのは、ただあくまばかりだったのです。)

住んでいるのは、ただ悪魔ばかりだったのです。

(あくまたちはみんなおそろしくながいおをもっておりましたので、)

悪魔たちはみんな恐ろしく長い尾を持っておりましたので、

(それをにんげんでいうやりやかたなのかわりにつかって、ひっきりなしにけんかをしたり、)

それを人間でいう槍や刀のかわりに使って、ひっきりなしに喧嘩をしたり、

(せんそうをしたりしてしまつにおえないので、おさまりがつきませんでした。)

戦争をしたりして始末におえないので、治まりがつきませんでした。

(こんなわるいあくまたちでも、やはりなかまとはいっしょにすみたいらしく、)

こんな悪い悪魔たちでも、やはり仲間とは一緒に住みたいらしく、

(とあるやまのなかほどにおおきなみずうみのある、みはらしのよいばしょをみつけて、)

とある山の中ほどに大きな湖のある、見晴らしのよい場所を見つけて、

(しがいをつくっていました。けれどもこのみずうみからは、ひとすじのおおきなかわがながれて)

市街を作っていました。けれどもこの湖からは、一筋の大きな川が流れて

(ちょうどあくまのまちのまんなかをとおるものですから、)

ちょうど悪魔の町の真ん中を通るものですから、

(いつからかあくまたちはみぎのきしとひだりのきしと、にはにわかれましたので、)

いつからか悪魔たちは右の岸と左の岸と、二派に分かれましたので、

(とうとうけんかをはじめました。するとりょうほうへどこからともなくほかのあくまがきて、)

とうとう喧嘩を始めました。すると両方へどこからともなく他の悪魔が来て、

(かせいするものですから、そのけんかがいよいよおおきくなり、)

加勢するものですから、その喧嘩がいよいよ大きくなり、

(ついにせんそうになってしまいました。それからというものは、ちゅうやのくべつなく、)

遂に戦争になってしまいました。それからというものは、昼夜の区別なく、

(しゅんかしゅうとう、ねんがらねんじゅう、ひっきりなしのだいせんそうで、)

春夏秋冬、年がら年中、ひっきりなしの大戦争で、

(おたがいがてきにうちかつしゅだんをかんがえては、まほうをつかってたたかいました。)

お互が敵に打ち勝つ手段を考えては、魔法を使って戦いました。

(はらのくろいあくまのはくいきはくもか、かすみのようにそらいっぱいにみちて、)

腹の黒い悪魔の吐く息は雲か、かすみのように空いっぱいに満ちて、

(まだうまれてからわかい、たいようのうつくしいひかりもおおいかくし、)

まだ生まれてから若い、太陽の美しい光りも覆い隠し、

(ちじょうはまだせかいがひらかないまえのように、まっくらになりました。)

地上はまだ世界がひらかない前のように、真っ暗になりました。

(おまけにあくまがうなりあい、いがみあうこえは、やまやたにをゆすってうごかし、)

おまけに悪魔がうなり合い、いがみ合う声は、山や谷を揺すって動かし、

など

(あしぶみならすそのひびきはじしんとかみなりとをいっしょにしたようで、)

足踏み鳴らすその響きは地震と雷とを一緒にしたようで、

(そのおそろしさといったらありません。みぎのきしのあくまがおおきないわを)

その恐ろしさといったらありません。右の岸の悪魔が大きな岩を

(あめかあられのようになげつければ、ひだりのきしのあくまは、まるでかざんのように)

雨かアラレのように投げつければ、左の岸の悪魔は、まるで火山のように

(くちからかえんをふきだすというぐあいで、たがいにまほうのかぎりをつくして)

口から火焔を噴き出すという具合で、互いに魔法の限りを尽くして

(せんそうしましたが、それもむなしくそうほうがけがをしたり、)

戦争しましたが、それもむなしく双方が怪我をしたり、

(しんだりするばかりで、いっこうにしょうぶはつきません。ところでちょうどそのころ、)

死んだりするばかりで、一向に勝負はつきません。ところで丁度その頃、

(かみさまはあまりにもせかいがあくまばかりでは、さっぷうけいだからといって、とりやけものや、)

神様はあまりにも世界が悪魔ばかりでは、殺風景だからと言って、鳥や獣や、

(それからにんげんもつくりあげてすまわせようと、)

それから人間も作りあげて住まわせようと、

(くさやきのたねをおまきになったのが、ほんのすこしめをだしかけておりました。)

草や木の種をおまきになったのが、ほんの少し芽を出しかけておりました。

(それなのにあくまどもはだいせんそうをはじめましたので、)

それなのに悪魔どもは大戦争を始めましたので、

(せっかくのかみさまのおきもちはむだになって、そんなものはみんな)

せっかくの神様のお気持ちは無駄になって、そんなものはみんな

(ふみにじられやかれからされてしまいました。けれどもこのあくまのなかに、)

踏みにじられ焼かれ枯らされてしまいました。けれどもこの悪魔の中に、

(いっぴきのおおきなあくまがいました。このあくまはからだがおおきいばかりでなく、)

一匹の大きな悪魔がいました。この悪魔は体が大きいばかりでなく、

(まじゅつをもっともたくさんしっており、もとはかみさまのおつかいだった、)

魔術を最もたくさん知っており、もとは神様のお使いだった、

(とてもよいひとでありましたから、よくかみさまのおこころをさっすることができました。)

とてもよい人でありましたから、よく神様のお心を察することが出来ました。

(ですから、じぶんではあまりせんそうなんてくだらないことはしないで、)

ですから、自分ではあまり戦争なんて下らないことはしないで、

(おしりをそこにどかっとおき、たばこなんかふかして、)

お尻をそこにドカッと置き、タバコなんか吹かして、

(ほかのあくまがいっしょうけんめいにいのちのやりとりをしているのを、)

他の悪魔が一生懸命に命のやり取りをしているのを、

(ただみているだけでした。ところが、こんなにせんそうがひどくなると、)

ただ見ているだけでした。ところが、こんなに戦争がひどくなると、

(だいあくまはおひさまがくもるようなおおきなまゆのよせかたをして、ひとりごとをもうしました。)

大悪魔はお日様が曇るような大きな眉のよせ方をして、独り言を申しました。

(「これはどうもかしこいことではない。こんなにおおきなせんそうをながくつづけては、)

「これはどうも賢いことではない。こんなに大きな戦争を長く続けては、

(しまいにはわれわれあくまのしゅぞくはみんなころされて、ねだやしになってしまう。)

しまいには我々悪魔の種族はみんな殺されて、根絶やしになってしまう。

(ひょっとしたらかみさまもそのつもりで、だまってうちわげんかを)

ひょっとしたら神様もそのつもりで、黙って内輪喧嘩を

(おゆるしになっているのかもしれない。せっかくかみさまがおまきになった)

お許しになっているのかもしれない。せっかく神様がおまきになった

(きやくさのたねをあくまがふみあらしてもだまっているところをみると、)

木や草の種を悪魔が踏み荒しても黙っているところをみると、

(これからおつくりになるにんげんにこのせかいをわたすため、)

これからお作りになる人間にこの世界を渡すため、

(ひとまずあくまどうしけんかをさせて、あくまがじぶんからほろびるように)

ひとまず悪魔同士喧嘩をさせて、悪魔が自分から滅びるように

(しかけなすったかもしれない。これははやくせんそうをやめさせたほうがいいぞ」)

仕掛けなすったかもしれない。これは早く戦争をやめさせた方がいいぞ」

(そういうわけで、だいあくまはおおきなこえでさけびました。とてもおおきなこえ。)

そういう訳で、大悪魔は大きな声で叫びました。とても大きな声。

(まるでおてらのかねをいちどにせんかいつきならしたようなおおきなこえで、)

まるでお寺の鐘を一度に千回つき鳴らしたような大きな声で、

(ごーんとやまからやまへ、たにからたにへひびきわたるほどのこえでさけびました。)

ゴーンと山から山へ、谷から谷へ響き渡るほどの声で叫びました。

(「みんなしずまれ。せんそうはやめろ」だいあくまのこえに、せんそうはいちじちゅうしされました。)

「みんな静まれ。戦争はやめろ」大悪魔の声に、戦争は一時中止されました。

(けれどもへいわかいぎをひらいて、こんごあくまのあいだでせんそうはしないことを、)

けれども平和会議をひらいて、今後悪魔の間で戦争はしないことを、

(きめなければなりません。さてとうじつのかいぎには、だいあくまがだいえんぜつをしました。)

決めなければなりません。さて当日の会議には、大悪魔が大演説をしました。

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