『悪魔の尾』宮原晃一郎2【完】

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プレイ回数577難易度(4.5) 4065打 長文
人間と共存する悪魔の昔話
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

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問題文

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(「しょくん、わたしはかみさまがにんげんというものをこのせかいにおつくりになって、)

「諸君、わたしは神様が人間というものをこの世界にお作りになって、

(それにせかいじゅうのものをあたえ、せかいのしゅたいにするごけっしんをしたことに)

それに世界中のものを与え、世界の主体にするご決心をしたことに

(きづきました。しょくんのあしのしたにある、ふみにじったくさやきのめばえは、)

気づきました。諸君の足の下にある、踏みにじった草や木の芽生えは、

(そのにんげんにおあたえになるつもりで、おつくりなされたものです。)

その人間にお与えになるつもりで、お作りなされたものです。

(かみさまはわたしどもあくまがこのせかいにいることをよくおもわず、)

神様はわたしども悪魔がこの世界にいることをよく思わず、

(どこかとおいところへおいやるつもりです。なぜかといえば、)

どこか遠いところへ追いやるつもりです。なぜかといえば、

(あくまがいてはにんげんのじゃまになるからです。かみさまはふかくにんげんをあいしており、)

悪魔がいては人間の邪魔になるからです。神様は深く人間を愛しており、

(そのこころにじゅうぶんのきゅうまでじぶんのたましいをふきこむつもりです。)

その心に十分の九まで自分の魂を吹き込むつもりです。

(ですからほとんどかみさまとおなじになるわけです。ただあとじゅうぶんのいちだけを)

ですからほとんど神様と同じになるわけです。ただあと十分の一だけを

(おのこしになって、かみさまとのくべつをなさるのであります。)

お残しになって、神様との区別をなさるのであります。

(しかしにんげんがほんとうにかみさまのおきもちどおりのおこないをするなら、)

しかし人間が本当に神様のお気持ち通りの行いをするなら、

(そののこりのいちもかみさまのおこころをちょうだいして、かみさまとおなじになれるのです。)

その残りの一も神様のお心をちょうだいして、神様と同じになれるのです。

(そうなったらたいへんです。われわれあくまは、もうこのよにはいられません。)

そうなったら大変です。我々悪魔は、もうこの世にはいられません。

(たださいわいなことに、ひとのたましいのそののこりのいちにはあくまもゆびをいれることが)

ただ幸いなことに、人の魂のその残りの一には悪魔も指をいれることが

(できます。ですからわれわれはそこにつけこんで、そこからにんげんのたましいを)

出来ます。ですから我々はそこにつけこんで、そこから人間の魂を

(ぜんぶくさらしてしまえばよいわけです。しかしいまのようにわれわれあくまのなかまが)

全部腐らしてしまえばよい訳です。しかし今のように我々悪魔の仲間が

(せんそうばかりしていては、みんなじめつしてしまうばかりですから、)

戦争ばかりしていては、みんな自滅してしまうばかりですから、

(これからはなかよくして、ちからをあわせてにんげんをだらくさせることにいたしましょう」)

これからは仲よくして、力を合わせて人間を堕落させることに致しましょう」

(ところがほかのあくまたちは、このだいあくまほどりこうではなかったため、)

ところが他の悪魔たちは、この大悪魔ほど利口ではなかった為、

(すなおにききいれませんでした。「あいつ、いいかげんなこといってやがる」)

素直に聞き入れませんでした。「あいつ、いい加減なこと言ってやがる」

など

(「そうとも、あんなずるいやつだから、なにかたくらんでいるにちがいない」)

「そうとも、あんなずるい奴だから、なにか企んでいるに違いない」

(「えらそうなことをいって、じぶんがこのあくまのくにのおうさまになるつもりだろう」)

「偉そうなことを言って、自分がこの悪魔の国の王様になるつもりだろう」

(「そうにちがいない」「やっつけろ」「ころしてしまえ」)

「そうに違いない」「やっつけろ」「殺してしまえ」

(ひとりがいえばふたり、さんにんと、しまいにはたくさんのあくまがよってたかって、)

一人が言えば二人、三人と、しまいにはたくさんの悪魔が寄ってたかって、

(このだいあくまをめがけておそいかかりました。だいあくまはたったひとりでは)

この大悪魔をめがけて襲いかかりました。大悪魔はたった一人では

(かないませんから、いちもくさんににげだしました。するとあくまはみんな、)

かないませんから、一目散に逃げだしました。すると悪魔はみんな、

(どんどんあとをおいかけてきます。ちょうどだいあくまがやまのみずうみのきしまで)

ドンドンあとを追いかけてきます。ちょうど大悪魔が山の湖の岸まで

(にげてきたとき、おいつかれそうで、だいぶあぶなくなりました。)

逃げてきた時、追いつかれそうで、だいぶ危なくなりました。

(そしてどうしようかとこまっているとき、ふとおもいついたのはれいのちからづよいおです。)

そしてどうしようかと困っている時、ふと思いついたのは例の力強い尾です。

(だいあくまはこれさいわいと、そのおをふってじめんをひとうちしました。)

大悪魔はこれ幸いと、その尾を振って地面を一打ちしました。

(するとじめんがおおきくさけて、そのわれめへみずうみのみずがどしどしながれこみ、)

すると地面が大きく裂けて、その割れ目へ湖の水がドシドシ流れこみ、

(おおきなかわになりました。ですからおってきたあくまのうち、)

大きな川になりました。ですから追ってきた悪魔のうち、

(あしのはやいものだけがこのわれめをとびこしていましたけれど、)

足の早い者だけがこの割れ目を跳び越していましたけれど、

(おくれたものはそのかわにおちて、あぶあぶしながらおぼれるやら、)

遅れた者はその川に落ちて、アブアブしながら溺れるやら、

(ながされるやらおおさわぎでした。けれどもわれめをとんだあくまも)

流されるやら大騒ぎでした。けれども割れ目をとんだ悪魔も

(たくさんいましたから、そんなやつがやはりおっかけてきます。)

沢山いましたから、そんな奴がやはり追っかけてきます。

(またちかくおいつかれそうになったら、だいあくまはれいのおでにどちからいっぱいに)

また近く追いつかれそうになったら、大悪魔は例の尾で二度力いっぱいに

(じめんをうちますとじめんはわれて、みずうみのみずがながれこみました。)

地面を打ちますと地面は割れて、湖の水が流れ込みました。

(こんどのわれめはまえのよりもおおきかったので、またたくさんのあくまがおちました。)

今度の割れ目は前のよりも大きかったので、また沢山の悪魔が落ちました。

(けれどもあくまのほうはあとからつづいてくるものがおおいので、)

けれども悪魔の方はあとから続いてくる者が多いので、

(やはりどんどんとおいかけて、またおいつかれそうになります。)

やはりドンドンと追いかけて、また追いつかれそうになります。

(だいあくまはくるしくてたまらないものですから、さんどめにはちからいっぱい、)

大悪魔は苦しくてたまらないものですから、三度目には力いっぱい、

(むちゃくちゃにおをじめんにたたきつけましたので、いくつもいくつもおおきなかわができて、)

無茶苦茶に尾を地面に叩きつけましたので、幾つも幾つも大きな川が出来て、

(みずうみからみずがやをいるようにごうごうおとをたててながれました。)

湖から水が矢を射るようにゴウゴウ音をたてて流れました。

(おいかけてきたあくまどもはおおかたそのなかにおちて、)

追いかけてきた悪魔どもは大方その中に落ちて、

(うみへおしながされてしまいました。だいあくまはとてもうごいたので、すっかりつかれ、)

海へ押し流されてしまいました。大悪魔はとても動いたので、すっかり疲れ、

(ぐったりとみちばたにねていましたが、ふときがつくとじぶんのつよいおが)

ぐったりと道端に寝ていましたが、ふと気がつくと自分の強い尾が

(なくなっていることにおどろきました。「あまりにもじめんをつよくたたいたので、)

なくなっていることに驚きました。「あまりにも地面を強く叩いたので、

(きれてしまったのだろう」とだいあくまはしゅうへんをさがしてみましたがみあたらず、)

切れてしまったのだろう」と大悪魔は周辺を探してみましたが見当たらず、

(きっとかわのなかにおちてみずにながされたのでしょう。かげもかたちもありませんでした。)

きっと川の中に落ちて水に流されたのでしょう。影も形もありませんでした。

(「おどろいた、おがなくなったら、どうやってほかのあくまをふせげるだろうか」)

「驚いた、尾がなくなったら、どうやって他の悪魔をふせげるだろうか」

(だいあくまはしんぱいしながら、じぶんがつくったおおきなかわをいくつもとびこえて、)

大悪魔は心配しながら、自分が作った大きな川を幾つも跳び越えて、

(じぶんのいえにかえりました。けれどもほかのあくまからこうげきをうけるしんぱいは、)

自分の家に帰りました。けれども他の悪魔から攻撃を受ける心配は、

(なくなっていました。なぜなら、だいあくまのてきはみんなかわでおぼれて)

なくなっていました。なぜなら、大悪魔の敵はみんな川で溺れて

(しんでしまったからでした。そういうわけで、のこったわずかのあくまに、)

死んでしまったからでした。そういう訳で、残ったわずかの悪魔に、

(なかまどうしのけんかはけっしてするものではない。それよりもにんげんが)

仲間同士の喧嘩は決してするものではない。それよりも人間が

(いまにできたら、そのたましいをくさらすことにちからをいれるほうがよいとおしえました。)

今に出来たら、その魂を腐らすことに力を入れる方がよいと教えました。

(ほかのあくまどももこんどはよくわかりましたからもうおそわず、)

他の悪魔どもも今度はよく分かりましたからもう襲わず、

(だいあくまのけらいになりましたので、だいあくまのしそんはだんだんとかずがふえて、)

大悪魔の家来になりましたので、大悪魔の子孫は段々と数が増えて、

(ちじょうにさかえました。けれどもそれからは、みんなおがなくなりましたので、)

地上に栄えました。けれどもそれからは、みんな尾がなくなりましたので、

(あくまのすがたはにんげんとたいへんまぎらわしくなり、そのためおろかなにんげんは)

悪魔の姿は人間と大変まぎらわしくなり、そのため愚かな人間は

(あくまとともだちになってだらくしました。)

悪魔と友達になって堕落しました。

(ただかしこいひとのめにだけは、そのないおがちゃんとみえているので、)

ただ賢い人の目にだけは、そのない尾がちゃんと見えているので、

(どんなにうまくばけてもあくまのしょうたいはすぐわかるのです。)

どんなにうまく化けても悪魔の正体はすぐ分かるのです。

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