『怪人二十面相』江戸川乱歩20

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少年探偵団シリーズ第1作品『怪人二十面相』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第1作品『怪人二十面相』
前回→https://typing.twi1.me/game/316798
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問題文

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(「きみたち、そいつをじどうしゃへのせてくれたまえ。)

「きみたち、そいつを自動車へ乗せてくれたまえ。

(ぬかりのないように」かかりちょうがめいじると、)

ぬかりのないように」 係長が命じると、

(けいかんたちはしほうからろうじんをひったてて、かいだんを)

警官たちは四方から老人を引っ立てて、階段を

(おりていきました。「こばやしくん、おおてがらだったねえ。)

下りていきました。「小林君、大手柄だったねえ。

(がいこくからあけちさんがかえったら、さぞびっくりすること)

外国から明智さんが帰ったら、さぞビックリすること

(だろう。あいてがにじゅうめんそうというおおものだからねえ。)

だろう。相手が二十面相という大物だからねえ。

(あすになったら、きみのなまえはにほんじゅうに)

あすになったら、きみの名前は日本中に

(ひびきわたるんだぜ」なかむらかかりちょうはしょうねんめいたんていのてを)

響き渡るんだぜ」中村係長は少年名探偵の手を

(とって、かんしゃするようににぎりしめるのでした。)

取って、感謝するように握りしめるのでした。

(かくしてたたかいは、こばやししょうねんのしょうりにおわり)

かくして戦いは、小林少年の勝利に終わり

(ました。ぶつぞうは、さいしょからわたさなくてすんだし、)

ました。仏像は、最初から渡さなくて済んだし、

(だいやもんどはろっことも、ちゃんとかばんのなかに)

ダイヤモンドは六個とも、ちゃんとカバンの中に

(おさまっています。しょうりもしょうり、まったくもうしぶんの)

収まっています。勝利も勝利、まったく申し分の

(ないしょうりでした。ぞくは、あれほどくろうしたにも)

ない勝利でした。賊は、あれほど苦労したにも

(かかわらず、なにもえることができなかったばかりか、)

かかわらず、何も得ることが出来なかったばかりか、

(せっかくかんきんしたこばやししょうねんはすくいだされ、かれじしんは、)

せっかく監禁した小林少年は救い出され、彼自身は、

(とうとう、とらわれのみになってしまったのです)

とうとう、とらわれの身になってしまったのです

(から。「ぼく、なんだかうそみたいなきがします。)

から。「ぼく、なんだかウソみたいな気がします。

(にじゅうめんそうにかったなんて」こばやしくんは、こうふんに)

二十面相に勝ったなんて」 小林君は、興奮に

(あおざめたかおで、なにかしんじがたいことのように)

青ざめた顔で、何か信じがたいことのように

など

(いうのでした。しかし、ここにひとつ、ぞくがたいほ)

言うのでした。 しかし、ここに一つ、賊が逮捕

(されたうれしさのあまり、しょうねんたんていがすっかり)

された嬉しさのあまり、少年探偵がすっかり

(わすれていたことがらがあります。それはにじゅうめんそうの)

忘れていた事柄があります。それは二十面相の

(やとっていたこっくのゆくえです。かれはいったい、)

雇っていたコックの行方です。彼は一体

(どこへくもがくれしてしまったのでしょう。あれほど、)

どこへ雲隠れしてしまったのでしょう。あれほど、

(いえをさがしたのに、まったくすがたをみせなかった)

家を探したのに、まったく姿を見せなかった

(というのは、じつにふしぎではありませんか。)

というのは、実に不思議ではありませんか。

(にげるひまがあったとはおもわれません。もしこっくに)

逃げる暇があったとは思われません。もしコックに

(にげるよゆうがあれば、にじゅうめんそうもにげているはず)

逃げる余裕があれば、二十面相も逃げているはず

(です。ではかれは、まだおくないのどこかにみをひそめて)

です。では彼は、まだ屋内のどこかに身をひそめて

(いるのでしょうか。それはまったくふかのうなこと)

いるのでしょうか。それはまったく不可能なこと

(です。おおぜいのけいかんたいのげんじゅうなそうさくに、)

です。大勢の警官隊の厳重な捜索に、

(そんなてぬかりがあったとはかんがえられないからです。)

そんな手ぬかりがあったとは考えられないからです。

(どくしゃしょくん、ひとまずじかんをおいてかんがえてみて)

読者諸君、ひとまず時間をおいて考えてみて

(ください。このこっくのいようなゆくえふめいには、)

ください。このコックの異様な行方不明には、

(そもそもどんないみがかくされているのかを。)

そもそもどんな意味が隠されているのかを。

(「おそろしきちょうせんじょう」)

「恐ろしき挑戦状」

(とやまがはらのはいおくでのたいほからにじかんほどたち、)

戸山ヶ原の廃屋での逮捕から二時間ほど経ち、

(けいしちょうのいんきなしらべしつで、かいとうにじゅうめんそうの)

警視庁の陰気な調べ室で、怪盗二十面相の

(とりしらべがおこなわれました。なんのかざりもない、)

取り調べが行われました。何の飾りもない、

(うすぐらいへやにつくえがいっきゃく。そこになかむらそうさかかりちょうと)

薄暗い部屋に机が一脚。そこに中村捜査係長と

(ろうじんにへんそうしたままのかいとうの、ふたりがむかいあって)

老人に変装したままの怪盗の、二人が向かいあって

(いるのです。ぞくはうしろでにしばられたまま、)

いるのです。 賊は後ろ手にしばられたまま、

(ぼうじゃくぶじんにたちはだかっています。さっきから、)

傍若無人に立ちはだかっています。さっきから、

(ことばがはなせないかのようにだまりこくって、ひとことも)

言葉が話せないかのように黙りこくって、一言も

(ものをいわないのです。「ひとまず、きみのすがおを)

物を言わないのです。「ひとまず、きみの素顔を

(みせてもらおうか」かかりちょうはぞくのそばへよると、)

見せてもらおうか」 係長は賊のそばへ寄ると、

(いきなりはくはつのかつらにてをかけて、すっぽりと)

いきなり白髪のカツラに手をかけて、スッポリと

(ひきぬきました。すると、そのしたからくろぐろとしたあたまが)

引き抜きました。すると、その下から黒々とした頭が

(あらわれました。つぎにはかおいっぱいの、しらがの)

現れました。次には顔一杯の、しらがの

(つけひげをむしりとりました。そして、いよいよ)

付けヒゲをむしり取りました。そして、いよいよ

(ぞくのすがおがむきだしになったのです。「おやおや、)

賊の素顔がむきだしになったのです。「おやおや、

(きみはあんがい、みにくいおとこだねえ」かかりちょうがそういって、)

きみは案外、醜い男だねえ」 係長がそう言って、

(みょうなかおをしたのも、もっともでした。ぞくは、)

みょうな顔をしたのも、もっともでした。賊は、

(せまいひたい、くしゃくしゃとふぞろいなみじかいまゆ、)

せまいひたい、クシャクシャと不揃いな短い眉、

(そのしたにぎょろっとひかっているどんぐりのようなめ、)

その下にギョロッと光っているドングリのような目、

(ひしゃげたはな、しまりのないあつぼったいくちびる、まったく)

ひしゃげた鼻、しまりのない厚ぼったい唇、まったく

(りこうそうなところがかんじられない、やばんじんのような、)

利口そうなところが感じられない、野蛮人のような、

(いようなかおつきでした。さきにもいうとおり、このぞくは)

異様な顔つきでした。 先にも言う通り、この賊は

(いくつとなく、ちがったかおをもっていて、)

いくつとなく、違った顔を持っていて、

(ときにおうじてろうじんにも、せいねんにも、おんなにさえも)

時に応じて老人にも、青年にも、女にさえも

(ばけるというかいぶつですから、せけんいっぱんにはもちろん、)

化けるという怪物ですから、世間一般には勿論、

(けいさつのかかりかんたちも、そのほんとうのようぼうは、すこしも)

警察の係官たちも、その本当の容貌は、少しも

(わかっていなかったのです。それにしても、)

分かっていなかったのです。 それにしても、

(これはまあ、なんてみにくいかおをしているのだろう。)

これはまあ、なんて醜い顔をしているのだろう。

(もしかしたら、このやばんじんみたいなかおが、やっぱり)

もしかしたら、この野蛮人みたいな顔が、やっぱり

(へんそうなのかもしれない。なかむらかかりちょうは、なんとも)

変装なのかもしれない。 中村係長は、なんとも

(たとえられないぶきみなものをかんじました。かかりちょうは、)

たとえられない不気味なものを感じました。係長は、

(じっとぞくのかおをにらみつけて、おもわずこえを)

ジッと賊の顔をにらみつけて、思わず声を

(おおきくしないではいられませんでした。「おい、)

大きくしないではいられませんでした。「おい、

(これがおまえのほんとうのかおなのか」じつにへんてこな)

これがおまえの本当の顔なのか」実にヘンテコな

(しつもんです。しかし、そういうばかばかしいしつもんを)

質問です。しかし、そういう馬鹿馬鹿しい質問を

(しないではいられないきもちでした。するとかいとうは、)

しないではいられない気持ちでした。すると怪盗は、

(どこまでもおしだまったまま、しまりのないくちびるを)

どこまでも押し黙ったまま、しまりのない唇を

(いっそうしまりなくして、にやにやとわらいだした)

いっそうしまりなくして、ニヤニヤと笑いだした

(のです。それをみるとなかむらかかりちょうは、なぜかぞっと)

のです。 それを見ると中村係長は、なぜかゾッと

(しました。めのまえに、なにかそうぞうもおよばないきかいな)

しました。目の前に、何か想像も及ばない奇怪な

(ことがおこりはじめているようなきがしたのです。)

ことが起こり始めているような気がしたのです。

(かかりちょうは、そのきょうふをかくすように、いっそうあいてに)

係長は、その恐怖を隠すように、いっそう相手に

(ちかづくと、いきなりりょうてをあげて、ぞくのかおをいじり)

近づくと、いきなり両手をあげて、賊の顔をいじり

(はじめました。まゆげをひっぱってみたり、)

始めました。眉毛を引っ張ってみたり、

(はなをおさえてみたり、ほおをつねってみたり、)

鼻を押さえてみたり、頬をつねってみたり、

(あめざいくでもしているようです。ところが、)

アメ細工でもしているようです。 ところが、

(そうしていくらしらべてみても、ぞくはへんそうしている)

そうしていくら調べてみても、賊は変装している

(ようすはありません。かつて、あのびせいねんの)

様子はありません。かつて、あの美青年の

(はしばそういちくんになりすましたぞくが、そのじつ、)

羽柴壮一君になりすました賊が、その実、

(こんなばけものみたいなみにくいかおをしていたとは、)

こんなバケモノみたいな醜い顔をしていたとは、

(じつにいがいというほかはありません。「えへへ、)

実に意外と言う他はありません。「エヘヘ、

(くすぐってえや、よしてくんな、くすぐってえや」)

くすぐってえや、よしてくんな、くすぐってえや」

(ぞくがやっとこえをたてました。しかし、なんという)

賊がやっと声をたてました。しかし、なんという

(だらしのないことばでしょう。かれはくちのききかたまで)

だらしのない言葉でしょう。彼は口のきき方まで

(いつわって、あくまでけいさつをばかにしようというので)

いつわって、あくまで警察をバカにしようというので

(しょうか。それとも、もしかしたら。かかりちょうはぎょっと)

しょうか。それとも、もしかしたら。係長はギョッと

(して、もういちどぞくをにらみつけました。あたまのなかに、)

して、もう一度賊をにらみつけました。頭の中に、

(あるとほうもないかんがえがひらめいたのです。ああ、)

ある途方もない考えがひらめいたのです。ああ、

(そんなことがありうるでしょうか。あまりにも)

そんなことがありうるでしょうか。あまりにも

(ばかばかしいくうそうです。まったくふかのうなことです。)

バカバカしい空想です。まったく不可能なことです。

(でもかかりちょうは、それをたしかめてみないでは、)

でも係長は、それを確かめてみないでは、

(いられませんでした。「きみはだれだ。きみはいったい、)

いられませんでした。「きみはだれだ。きみは一体、

(なにものなんだ」またしても、へんてこなしつもんです。)

何者なんだ」またしても、ヘンテコな質問です。

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