『怪人二十面相』江戸川乱歩42

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少年探偵団シリーズ第1作品『怪人二十面相』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第1作品『怪人二十面相』
前回→https://typing.twi1.me/game/316820
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 kuma 5340 B++ 5.7 93.7% 768.3 4396 293 99 2024/06/08

関連タイピング

問題文

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(「おくさん、だいじょうぶですよ。せんせいがぞくにつかまるもん)

「奥さん、大丈夫ですよ。先生が賊に捕まるもん

(ですか。きっとせんせいには、ぼくたちのしらない、)

ですか。きっと先生には、ぼくたちの知らない、

(なにかふかいけいりゃくがあるのですよ。それでこんなに)

何か深い計略があるのですよ。それでこんなに

(かえりがおくれているんですよ」)

帰りが遅れているんですよ」

(こばやしくんはそんなふうにいって、しきりとあけちふじんを)

小林君はそんなふうに言って、しきりと明智夫人を

(なぐさめましたが、べつにじしんがあるわけでは)

なぐさめましたが、別に自信がある訳では

(なく、しゃべっているうちにじぶんのほうでもふあんが)

なく、しゃべっているうちに自分のほうでも不安が

(こみあげてきて、ことばもとぎれがちになるのでした。)

こみあげてきて、言葉も途切れがちになるのでした。

(めいたんていじょしゅのこばやしくんも、こんどばかりはてもあしも)

名探偵助手の小林君も、今度ばかりは手も足も

(でないのです。にじゅうめんそうのかくれがをしるてがかりは、)

出ないのです。二十面相の隠れ家を知る手がかりは、

(まったくありません。おとといは、ぞくのぶかが)

まったくありません。 おとといは、賊の部下が

(かみしばいやにばけてようすをさぐりにきていたが、)

紙芝居屋に化けて様子を探りに来ていたが、

(もしやきょうもあやしいじんぶつが、そのへんをうろうろして)

もしや今日も怪しい人物が、その辺をうろうろして

(いないかな。そうすれば、ぞくのすみかをさぐる)

いないかな。そうすれば、賊の住み家を探る

(てだてもあるんだがと、なんども)

手だてもあるんだがと、何度も

(にかいへあがっておもてどおりをみまわしても、それらしい)

二階へあがって表通りを見まわしても、それらしい

(もののかげさえみえません。ぞくのほうでは、ゆうかいのもくてきを)

者の影さえ見えません。賊のほうでは、誘拐の目的を

(はたしてしまったのですから、もうそういうことを)

果たしてしまったのですから、もうそういうことを

(するひつようはありません。そんなふうにして、)

する必要はありません。 そんなふうにして、

(ふあんのだいにやもあけて、みっかめのあさのことでした。)

不安の第二夜も明けて、三日目の朝のことでした。

など

(そのひはちょうどにちようびだったのですが、)

その日はちょうど日曜日だったのですが、

(あけちふじんとこばやししょうねんが、さびしいちょうしょくをおえた)

明智夫人と小林少年が、寂しい朝食を終えた

(ところへ、げんかんへてっぽうだまのようにとびこんできた)

ところへ、玄関へ鉄砲玉のように飛び込んで来た

(しょうねんがいました。「ごめんください。こばやしくんは)

少年がいました。「ごめんください。小林君は

(いますか。ぼくははしばです」すきとおったこどもの)

居ますか。ぼくは羽柴です」 透き通った子どもの

(さけびごえにおどろいてでてみると、おお、そこには)

叫び声に驚いて出てみると、おお、そこには

(ひさしぶりのはしばそうじしょうねんがかわいらしいかおを)

久しぶりの羽柴壮二少年が可愛らしい顔を

(まっかにじょうきさせて、いきをきらしてたっていました。)

真っ赤に上気させて、息をきらして立っていました。

(よっぽどおおいそぎではしってきたものとみえます。)

よっぽど大急ぎで走ってきたものと見えます。

(どくしゃしょくんは、まさかわすれてはいないでしょうね。)

読者諸君は、まさか忘れてはいないでしょうね。

(このしょうねんは、じたくのていえんにわなをしかけて、)

この少年は、自宅の庭園に罠を仕掛けて、

(にじゅうめんそうをひどいめにあわせた、あのだいじつぎょうか)

二十面相を酷い目にあわせた、あの大実業家

(はしばそうたろうしのむすこさんです。「おや、そうじくん)

羽柴壮太郎氏の息子さんです。「おや、壮二君

(ですか。よくきましたね。さあ、おあがりなさい」)

ですか。よく来ましたね。さあ、おあがりなさい」

(こばやしくんはじぶんよりふたつばかりとししたのそうじくんを、)

小林君は自分より二つばかり年下の壮二君を、

(おとうとかのようにいたわって、おうせつしつへみちびきました。)

弟かのようにいたわって、応接室へ導きました。

(「で、なにかきゅうなようじでもあるんですか」)

「で、なにか急な用事でもあるんですか」

(たずねると、そうじしょうねんはおとなのようなくちょうで、)

たずねると、壮二少年は大人のような口調で、

(こんなことをいうのでした。「あけちせんせい、)

こんなことを言うのでした。「明智先生、

(たいへんでしたね。まだゆくえがわからないのでしょう。)

大変でしたね。まだ行方が分からないのでしょう。

(それについてね、ぼくすこしそうだんがあるんです。)

それについてね、ぼく少し相談があるんです。

(あのね、いつかのじけんのときから、ぼく、きみを)

あのね、いつかの事件の時から、ぼく、きみを

(すうはいしちゃったんです。そしてね、ぼくも)

崇拝しちゃったんです。そしてね、ぼくも

(きみのようになりたいとおもったんです。それから、)

きみのようになりたいと思ったんです。それから、

(きみのはたらきを、がっこうでみんなにはなしたら、)

きみの働きを、学校でみんなに話したら、

(ぼくとおなじかんがえのものがじゅうにんもあつまっちゃったんです。)

ぼくと同じ考えの者が十人も集まっちゃったんです。

(それで、みんなで「しょうねんたんていだん」っていうかいをつくって)

それで、みんなで「少年探偵団」っていう会を作って

(いるんです。むろん、がっこうのべんきょうやなんかのじゃまに)

いるんです。無論、学校の勉強やなんかの邪魔に

(ならないようにですよ。ぼくのおとうさんも、)

ならないようにですよ。ぼくのお父さんも、

(がっこうさえなまけなければ、まあいいってゆるして)

学校さえ怠けなければ、まあいいって許して

(くださったんです。きょうはにちようでしょう。だから)

くださったんです。 今日は日曜でしょう。だから

(ぼく、みんなをつれて、きみんちへおみまいに)

ぼく、みんなを連れて、きみんちへお見舞いに

(きたんです。そしてね、みんなはね、きみのさしずを)

来たんです。そしてね、みんなはね、きみの指図を

(うけて、ぼくたちしょうねんたんていだんのちからで、あけちせんせいの)

受けて、ぼくたち少年探偵団の力で、明智先生の

(ゆくえをさがそうじゃないかっていってるんです」)

行方を探そうじゃないかって言ってるんです」

(ひといきにそれだけいってしまうと、そうじくんは)

ひと息にそれだけ言ってしまうと、壮二君は

(かわいいめでこばやししょうねんをにらみつけるようにして、)

可愛い目で小林少年をにらみつけるようにして、

(へんじをまつのでした。「ありがとう」こばやしくんは、)

返事を待つのでした。「ありがとう」 小林君は、

(なんだかなみだがでそうになるのをやっとがまんして、)

なんだか涙が出そうになるのをやっと我慢して、

(ぎゅっとそうじくんのてをにぎりました。「きみたちのことを)

ギュッと壮二君の手を握りました。「君たちのことを

(あけちせんせいがおききになったら、どんなにおよろこびに)

明智先生がお聞きになったら、どんなにお喜びに

(なるか。ええ、きみたち、たんていだんでぼくをたすけて)

なるか。ええ、きみたち、探偵団でぼくを助けて

(ください。みんなでなにかてがかりをさがしだし)

ください。みんなで何か手がかりを探しだし

(ましょう。けれどね、きみたちは、ぼくと)

ましょう。けれどね、きみたちは、ぼくと

(ちがうんだから、きけんなことはやらせませんよ。)

違うんだから、危険なことはやらせませんよ。

(もしものことがあると、みんなのおとうさんや)

もしものことがあると、みんなのお父さんや

(おかあさんにもうしわけないですからね。しかし、)

お母さんに申し訳ないですからね。しかし、

(ぼくがいまかんがえているのは、ちっともきけんのない)

ぼくが今考えているのは、ちっとも危険のない

(たんていほうほうです。きみ、「ききこみ」って、)

探偵方法です。きみ、「聞きこみ」って、

(しってますか。いろんなひとのはなしをきいてまわって、)

知ってますか。色んな人の話を聞いてまわって、

(どんなちいさなことも、のがさないで、)

どんな小さなことも、のがさないで、

(うまくてがかりをつかむたんていほうほうなんです。)

上手く手がかりをつかむ探偵方法なんです。

(あるいみ、おとななんかよりこどものほうが)

ある意味、大人なんかより子どものほうが

(すばしっこいし、あいてがゆだんするから、きっとうまく)

すばしっこいし、相手が油断するから、きっとうまく

(いくとおもいますよ。それにはね、おとといのばん、)

いくと思いますよ。 それにはね、おとといの晩、

(せんせいをつれだしたおんなのにんそうやふくそう、それからじどうしゃの)

先生を連れ出した女の人相や服装、それから自動車の

(いったほうがくもわかっているんだから、そのほうがくに)

行った方角も分かっているんだから、その方角に

(むかって、ぼくらがききこみをやれば)

向かって、ぼくらが聞きこみをやれば

(いいんですよ。みせのてんいんさんでもいいし、)

いいんですよ。 店の店員さんでもいいし、

(ゆうびんはいたつさんだとか、そのへんにあそんでいるこども)

郵便配達さんだとか、そのへんに遊んでいる子ども

(なんかをつかまえて、あきずにきいてまわるんです。)

なんかを捕まえて、飽きずに聞いて周るんです。

(ここではほうがくがわかっていても、さきになるほどみちが)

ここでは方角が分かっていても、先になるほど道が

(わかれていて、けんとうをつけるのがたいへんだけれど、)

別れていて、見当をつけるのが大変だけれど、

(にんずうがおおいからだいじょうぶだ。みちがわかれるたびに、)

人数が多いから大丈夫だ。道が別れる度に、

(ひとりずつ、そのほうへいけばいいんです。)

一人ずつ、そのほうへ行けばいいんです。

(そうしてきょういちにち、ききこみをやれば、)

そうして今日一日、聞きこみをやれば、

(ひょっとしたら、なにかてがかりがつかめるかも)

ひょっとしたら、何か手がかりがつかめるかも

(しれないですよ」「ええ、そうしましょう。)

しれないですよ」「ええ、そうしましょう。

(そんなことわけないや。じゃ、たんていだんのみんなを)

そんなことわけないや。じゃ、探偵団のみんなを

(もんのなかへよんでもいいですか」「ええ、どうぞ、)

門の中へ呼んでもいいですか」「ええ、どうぞ、

(ぼくもいっしょにそとへでましょう」そしてふたりは、)

ぼくも一緒に外へ出ましょう」 そして二人は、

(あけちふじんのゆるしをえたうえ、げんかんへでたのですが、)

明智夫人の許しを得た上、玄関へ出たのですが、

(そうじくんはいきなりもんのそとへかけだしていったかと)

壮二君はいきなり門の外へ駆け出して行ったかと

(おもうとまもなく、じゅうにんのたんていだんいんをひきつれて、)

思うと間もなく、十人の探偵団員を引きつれて、

(もんないへひきかえしてきました。みると、しょうがっこうじょうきゅうせい)

門内へ引き返してきました。 見ると、小学校上級生

(ぐらいの、けんこうでかいかつなしょうねんたちでした。こばやしくんは)

ぐらいの、健康で快活な少年たちでした。 小林君は

(そうじくんのしょうかいで、げんかんのうえから、みんなにあいさつ)

壮二君の紹介で、玄関の上から、みんなにあいさつ

(しました。そして、あけちたんていそうさのしゅだんについて、)

しました。そして、明智探偵捜査の手段について、

(こまごまとさしずしました。むろん、いちどうはだいさんせいです。)

こまごまと指図しました。無論、一同は大賛成です。

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