『怪人二十面相』江戸川乱歩50【完】

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少年探偵団シリーズ第1作品『怪人二十面相』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第1作品『怪人二十面相』
前回→https://typing.twi1.me/game/316829
初回→https://typing.twi1.me/game/314206

第2作品→https://typing.twi1.me/game/329807

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問題文

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(けいかんたちはぞくのしんみょうなようすにあんしんしきっていた)

警官たちは賊の神妙な様子に安心しきっていた

(のです。なかむらかかりちょうも、ついじどうしゃのほうへ)

のです。中村係長も、つい自動車のほうへ

(きをとられていました。そのしゅんかん、ふしぎにも)

気をとられていました。 その瞬間、不思議にも

(ひとびとのめがぞくをはなれたのです。ぞくにとっては)

人々の目が賊を離れたのです。賊にとっては

(ぜっこうのきかいでした。にじゅうめんそうははをくいしばって、)

絶好の機会でした。 二十面相は歯を食いしばって、

(まんしんのちからをこめて、なかむらかかりちょうのにぎっていたなわを)

満身の力をこめて、中村係長の握っていた縄を

(ぱっとふりはなしました。「うむ、まて」かかりちょうがさけんで)

パッと振り離しました。「うむ、待て」 係長が叫んで

(たちなおったときには、ぞくはもうじゅうめーとるほど)

立ち直った時には、賊はもう十メートルほど

(むこうをやのようにはしっていました。)

向こうを矢のように走っていました。

(うしろでにしばられたままのきみょうなひとが、)

後ろ手にしばられたままの奇妙な人が、

(いまにもころがりそうなかっこうでもりのなかへ)

今にも転がりそうなかっこうで森の中へ

(とんでいきます。もりのいりぐちに、さんぽのかえりらしい)

とんでいきます。 森の入り口に、散歩の帰りらしい

(じゅうにんほどのしょうがくせいたちがたちどまって、このようすを)

十人ほどの小学生たちが立ち止まって、この様子を

(ながめていました。にじゅうめんそうははしりながら、)

ながめていました。 二十面相は走りながら、

(「じゃまなこぞうどもがいるな」とおもいましたが、もりへ)

「邪魔な小僧どもが居るな」と思いましたが、森へ

(にげこむにはそこをとおらないわけにはいきません。)

逃げこむにはそこを通らない訳にはいきません。

(なあに、たかがこどもだ、おれのおそろしいかおを)

なあに、たかが子どもだ、おれの恐ろしい顔を

(みたら、おそれをなしてにげだすにきまっている。)

見たら、恐れをなして逃げ出すに決まっている。

(もしにげなかったら、けちらしてとおるまでだ。)

もし逃げなかったら、蹴散らして通るまでだ。

(ぞくはとっさにしあんして、かまわずしょうがくせいのむれに)

賊はとっさに思案して、構わず小学生の群れに

など

(むかってとっしんしました。ところが、にじゅうめんそうの)

向かって突進しました。 ところが、二十面相の

(おもわくはがらりとはずれて、しょうがくせいたちは)

思惑はガラリと外れて、小学生たちは

(にげだすどころかわっとさけんで、ぞくのほうへ)

逃げだすどころかワッと叫んで、賊のほうへ

(とびかかってきたではありませんか。)

跳びかかってきたではありませんか。

(どくしゃしょくんは、もうおわかりでしょう。)

読者諸君は、もうお分かりでしょう。

(このしょうがくせいたちは、こばやしよしおくんをだんちょうにした、)

この小学生たちは、小林芳雄君を団長にした、

(あのしょうねんたんていだんでした。しょうねんたちは)

あの少年探偵団でした。少年たちは

(ながいあいだ、はくぶつかんのまわりをあるきまわって、)

長い間、博物館の周りを歩きまわって、

(なにかのときのてだすけをしようと、じゅんびして)

何かの時の手助けをしようと、準備して

(まちかまえていたのでした。まずせんとうのこばやししょうねんが)

待ち構えていたのでした。 まず先頭の小林少年が

(にじゅうめんそうめがけて、てっぽうだまのようにとびついて)

二十面相めがけて、鉄砲玉のように跳びついて

(いきました。つづいてはしばそうじしょうねん、そして)

いきました。続いて羽柴壮二少年、そして

(みんながつぎつぎとぞくのうえにおりかさなって、)

みんなが次々と賊の上に折り重なって、

(りょうてのふじゆうなあいてをたちまちそこへ)

両手の不自由な相手をたちまちそこへ

(ころがしてしまいました。さすがのにじゅうめんそうも、)

転がしてしまいました。 さすがの二十面相も、

(いよいようんのつきでした。「ああ、ありがとう。)

いよいよ運のつきでした。「ああ、ありがとう。

(きみたちはゆうかんだねえ」かけつけてきたなかむらかかりちょうが)

きみたちは勇敢だねえ」 駆けつけて来た中村係長が

(しょうねんたちにおれいをいって、ぶかのけいかんとちからをあわせ、)

少年たちにお礼を言って、部下の警官と力を合わせ、

(こんどこそとりにがさないようにぞくをひったてて、)

今度こそ取りにがさないように賊を引っ立てて、

(ちょうどそこへやってきたけいさつじどうしゃのほうへ)

ちょうどそこへやって来た警察自動車のほうへ

(つれていきました。そのとき、もんないから)

連れて行きました。 その時、門内から

(くろいせびろのひとりのしんしがあらわれました。さわぎをしって)

黒い背広の一人の紳士が現れました。騒ぎを知って

(かけだしてきた、あけちたんていです。こばやししょうねんはめざとく、)

駆け出して来た、明智探偵です。小林少年は目ざとく、

(せんせいのぶじなすがたをみつけると、きょうきのさけびごえを)

先生の無事な姿を見つけると、驚喜の叫び声を

(たてて、そのそばへかけよりました。)

たてて、そのそばへ駆け寄りました。

(「おお、こばやしくん」あけちたんていも、おもわずしょうねんのなを)

「おお、小林君」明智探偵も、思わず少年の名を

(よんで、りょうてをひろげ、かけだしてきたこばやしくんを)

呼んで、両手をひろげ、駆けだして来た小林君を

(そのなかにだきしめました。うつくしく、ほこらしい)

その中に抱きしめました。美しく、誇らしい

(こうけいでした。この、うらやましいほどしんみつなせんせいと)

光景でした。この、羨ましいほど親密な先生と

(でしはちからをあわせて、ついにかいとうたいほのもくてきを)

弟子は力を合わせて、遂に怪盗逮捕の目的を

(たっしたのです。そして、おたがいのぶじをよろこび、)

達したのです。そして、お互いの無事を喜び、

(くろうをねぎらいあっているのです。)

苦労をねぎらいあっているのです。

(たちならぶけいかんたちも、このうつくしいこうけいにうたれて、)

立ち並ぶ警官たちも、この美しい光景にうたれて、

(にこやかに、しかし、しんみりしたきもちで、)

にこやかに、しかし、しんみりした気持ちで、

(ふたりのようすをながめていました。しょうねんたんていだんの)

二人の様子をながめていました。少年探偵団の

(じゅうにんのしょうがくせいは、もうがまんができませんでした。)

十人の小学生は、もう我慢が出来ませんでした。

(だれがおんどをとるでもなくぐうぜんに、みんなの)

だれが音頭をとるでもなく偶然に、みんなの

(りょうてがたかくそらにあがりました。そしていちどう、)

両手が高く空にあがりました。そして一同、

(かわいらしいこえをそろえて、くりかえしさけぶ)

可愛らしい声をそろえて、繰り返し叫ぶ

(のでした。「あけちせんせい、ばんざーい」)

のでした。「明智先生、バンザーイ」

(「こばやしだんちょう、ばんざーい」)

「小林団長、バンザーイ」

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