『妖怪博士』江戸川乱歩17

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プレイ回数330難易度(4.3) 4656打 長文 長文モードのみ
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 sai 9083 9.3 97.6% 498.9 4644 112 97 2024/05/29
2 berry 7992 8.1 98.1% 564.5 4599 87 97 2024/05/16
3 HAKU 7902 8.1 96.6% 568.4 4651 159 97 2024/05/15
4 subaru 7567 7.9 94.9% 578.8 4624 244 97 2024/05/17
5 デコポン 7070 7.2 97.6% 639.3 4633 113 97 2024/06/07

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問題文

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(あけちたんていは、そうさいちにちめをじぶんのへやにとじこもった)

明智探偵は、捜査一日目を自分の部屋に閉じこもった

(まま、なにをするでもなくすごしましたが、ふつかめも)

まま、何をするでもなく過ごしましたが、二日目も

(まったくおなじことがつづいたのです。たんていはいっぽもがいしゅつ)

まったく同じことが続いたのです。探偵は一歩も外出

(しないで、あいかわらずのんきそうに、すうがくのもんだいに)

しないで、相変わらずのんきそうに、数学の問題に

(むちゅうになっていました。たいくつでしかたがないといわない)

夢中になっていました。退屈で仕方がないといわない

(ばかりです。そしてよるのはちじごろになると、ゆうべと)

ばかりです。そして夜の八時頃になると、ゆうべと

(まったくおなじことがおこりました。あのこじきのしょうねんが)

まったく同じことが起こりました。あの乞食の少年が

(まどからしのびこんできて、ぼそぼそとたんていのみみに)

窓から忍び込んで来て、ボソボソと探偵の耳に

(なにごとかをささやき、そしてまたまどからたちさって)

何事かをささやき、そしてまた窓から立ち去って

(しまったのです。どくしゃしょくん、これはいったい、なにをいみする)

しまったのです。読者諸君、これは一体、何を意味する

(のでしょうか。あけちたんていはとのむらとのきょうそうにこうさんして、)

のでしょうか。明智探偵は殿村との競争に降参して、

(そうさくをだんねんしてしまったのでしょうか。まさかそんな)

捜索を断念してしまったのでしょうか。まさかそんな

(ことはないでしょう。とすると、あけちがいっぽもがいしゅつ)

ことはないでしょう。とすると、明智が一歩も外出

(しなかったのは、なぜなのでしょう。もしかしたら)

しなかったのは、なぜなのでしょう。もしかしたら

(あけちは、なにかきそうてんがいのしゅだんによって、きょうそうあいての)

明智は、何か奇想天外の手段によって、競争相手の

(とのむらをあっといわせるつもりかもしれません。)

殿村をアッと言わせるつもりかもしれません。

(では、それはいったいどんなしゅだんなのでしょう。また、)

では、それは一体どんな手段なのでしょう。また、

(あのきみょうなこじきのしょうねんは、そもそもなにものだった)

あの奇妙な乞食の少年は、そもそも何者だった

(のでしょう。みるもむさくるしいこじきのくせに、あけちの)

のでしょう。見るもむさ苦しい乞食のくせに、明智の

(みみにくちをつけんばかりにして、ぼそぼそとないしょばなしを)

耳に口を付けんばかりにして、ボソボソと内緒話を

など

(するなんて、じつにきかいせんばんなはなしではありませんか。)

するなんて、実に奇怪千万な話ではありませんか。

(「かいおくのかい」)

「怪屋の怪」

(いよいよ、やくそくのみっかめがきました。あいかわぎしちょうは、)

いよいよ、約束の三日目がきました。相川技師長は、

(ふたりのたんていのどちらがさきにきっぽうをもたらして)

二人の探偵のどちらが先に吉報をもたらして

(くれるかと、くびをながくしてまっていましたが、)

くれるかと、首を長くして待っていましたが、

(まってもまっても、なんのしらせもなく、とうとう)

待っても待っても、何の知らせもなく、とうとう

(ひがくれてしまいました。あんなにやくそくをして)

日が暮れてしまいました。あんなに約束をして

(おきながら、やっぱりだめだったのかと、ほとんど)

おきながら、やっぱりダメだったのかと、ほとんど

(あきらめてきたくのよういをしているところへ、ひとりの)

諦めて帰宅の用意をしているところへ、一人の

(すたっふがめいしをもってとんできました。とのむらこうぞうが)

スタッフが名刺を持ってとんで来ました。殿村弘三が

(たずねてきたのです。さっそく、おうせつしつにとおしてめんかい)

たずねて来たのです。早速、応接室に通して面会

(すると、とのむらはあいかわしのかおをみるなり、とくいげに)

すると、殿村は相川氏の顔を見るなり、得意気に

(いうのです。「やくそくどおり、とうとうぞくのほんきょちを)

言うのです。「約束通り、とうとう賊の本拠地を

(つきとめました。あけちこごろうは、まだやってこない)

突き止めました。明智小五郎は、まだやって来ない

(でしょうな。それ、ごらんなさい。このしょうぶは、わしの)

でしょうな。それ、ご覧なさい。この勝負は、わしの

(かちじゃ。では、あんたもいっしょにきてくださらんか。)

勝ちじゃ。では、あんたも一緒に来てくださらんか。

(とちゅうでけいしちょうへよって、たんとうのけいじたちをつれて、)

途中で警視庁へ寄って、担当の刑事たちを連れて、

(それからいよいよぞくのほんきょちへのりこみますのじゃ」)

それからいよいよ賊の本拠地へ乗り込みますのじゃ」

(「おお、そうでしたか。ありがとう。もし、しゅびよく)

「おお、そうでしたか。ありがとう。もし、首尾よく

(しょるいをとりもどし、こどもをさがしだすことができたら、)

書類を取り戻し、子どもを探し出すことが出来たら、

(こんなうれしいことはありません。で、そのぞくのほんきょち)

こんな嬉しいことはありません。で、その賊の本拠地

(というのは、いったいどこにあるのですか」「いや、)

というのは、一体どこにあるのですか」「いや、

(それはいまにわかります。かべにみみありじゃ。うかつに)

それは今に分かります。壁に耳ありじゃ。うかつに

(しゃべることはできません。なんにしても、わしと)

しゃべることは出来ません。なんにしても、わしと

(どうこうしてくださればよろしいのじゃ」あいかわしは、)

同行してくださればよろしいのじゃ」相川氏は、

(それいじょうはふかくとわず、まだのこっていたじゅうやくに、)

それ以上は深く問わず、まだ残っていた重役に、

(このことをつたえて、かいしゃのじどうしゃにとのむらとどうじょうし、)

このことを伝えて、会社の自動車に殿村と同乗し、

(けいしちょうへといそがせました。けいしちょうではうんよく、)

警視庁へと急がせました。警視庁では運良く、

(このじけんをたんとうするなかむらそうさかかりちょうもいあわせ、とのむらの)

この事件を担当する中村捜査係長も居合わせ、殿村の

(ほうこくをきくと、ともかくそのしんぎをたしかめて)

報告を聞くと、ともかくその真偽を確かめて

(みようということにきまり、ぶかのけいじをすうめい)

みようということに決まり、部下の刑事を数名

(ひきつれ、にだいのじどうしゃにのって、いよいよぞくの)

引き連れ、二台の自動車に乗って、いよいよ賊の

(ほんきょちをおそうことになりました。とのむらのさしずに)

本拠地を襲うことになりました。 殿村の指図に

(よってじどうしゃがとめられたのは、あざぶのろっぽんぎの、)

よって自動車が止められたのは、麻布の六本木の、

(とあるかんせいなやしきがつづいているまちでしたが、いちどうは)

とある閑静な屋敷が続いている町でしたが、一同は

(そこでくるまをおり、とのむらのあとにしたがってくらいまちを)

そこで車を降り、殿村のあとにしたがって暗い町を

(はんきろほどあるくと、あかれんがのへいにかこまれた、)

半キロほど歩くと、赤レンガの塀に囲まれた、

(こふうなようかんのまえにでました。どくしゃしょくんは、よくごぞんじ)

古風な洋館の前に出ました。読者諸君は、よくご存知

(でしょう。あの、あやしいひるたはかせのていたくです。)

でしょう。あの、怪しいヒルタ博士の邸宅です。

(「みなさん、ここがはんにんのかくれがです。しずかに)

「みなさん、ここが犯人の隠れ家です。静かに

(してください。あいてにさとられてはなんにもならん。)

してください。相手に悟られては何にもならん。

(ところで、はんにんがにげださないように、てわけをして)

ところで、犯人が逃げださないように、手分けをして

(でいりぐちをかためていただきたいのじゃ」とのむらのことばに、)

出入口を固めていただきたいのじゃ」 殿村の言葉に、

(なかむらかかりちょうはけいじたちにめいじて、ようかんのおもてぐちとうらぐちを)

中村係長は刑事たちに命じて、洋館の表口と裏口を

(みはらせることにしました。「では、わしたちさんにん)

見張らせることにしました。「では、わしたち三人

(だけで、あんないをこうてみましょう。ばあいによっては、)

だけで、案内をこうてみましょう。場合によっては、

(とをけやぶってふみこまねばならないが、さいしょは)

戸を蹴破って踏み込まねばならないが、最初は

(おだやかにするほうがよい」そこで、とのむらとそうさかかりちょうと)

穏やかにするほうがよい」そこで、殿村と捜査係長と

(あいかわぎしちょうのさんにんが、しずかにもんないへはいっていき)

相川技師長の三人が、静かに門内へ入って行き

(ました。ところが、ようかんのげんかんまでいってみると、)

ました。ところが、洋館の玄関まで行ってみると、

(みょうなことに、そのいりぐちのとびらがひらいたままに)

みょうなことに、その入り口の扉がひらいたままに

(なっていて、いえのなかにはでんとうのひかりもなく、まるで)

なっていて、家の中には電灯の光もなく、まるで

(あきやのようなかんじなのです。「おや、おかしいぞ。)

空き家のような感じなのです。「おや、おかしいぞ。

(こんなはずはないのじゃが」とのむらたんていがせなかをまるく)

こんなはずはないのじゃが」殿村探偵が背中を丸く

(して、こくびをかたむけました。「はんにんは、めぼしを)

して、小首をかたむけました。「犯人は、目星を

(つけられたとしって、にげてしまったのじゃないか」)

つけられたと知って、逃げてしまったのじゃないか」

(そうさかかりちょうが、ささやきごえでいいます。「いや、そんな)

捜査係長が、ささやき声で言います。「いや、そんな

(はずはない。わしはけっしてあいてにさとられるような)

はずはない。わしは決して相手に悟られるような

(へまなことはしておりません。ともかくなかへはいって)

ヘマなことはしておりません。ともかく中へ入って

(みようじゃありませんか」とのむらはそういったまま、)

みようじゃありませんか」殿村はそう言ったまま、

(つかつかとようかんのなかへはいっていきましたが、やがて)

ツカツカと洋館の中へ入って行きましたが、やがて

(かべのすいっちをさがしあてたとみえ、ろうかのでんとうが)

壁のスイッチを探し当てたとみえ、廊下の電灯が

(ぱっとひかりました。「こちらへ。このろうかのおくに、)

パッと光りました。「こちらへ。この廊下の奥に、

(はんにんのしょさいがあるはずです。ひとまず、そこをさがして)

犯人の書斎があるはずです。ひとまず、そこを探して

(みましょう」とのむらは、このいえのようすはなにもかもこころえて)

みましょう」 殿村は、この家の様子は何もかも心得て

(いるらしく、さきにたってろうかをおくへおくへとすすんで)

いるらしく、先に立って廊下を奥へ奥へと進んで

(いき、ふたりをしょさいへあんないしました。ところが、しょさいへ)

行き、二人を書斎へ案内しました。ところが、書斎へ

(はいってみても、そこもがらんとして、ひとのけはいもない)

入ってみても、そこもガランとして、人の気配もない

(のです。「おかしいぞ。じゃあ、やっぱりにげた)

のです。「おかしいぞ。じゃあ、やっぱり逃げた

(のかな。しかし、まださがすばしょがあります。このいえ)

のかな。しかし、まだ探す場所があります。この家

(にはちかしつがあるのです」とのむらはいいながら、しょさいの)

には地下室があるのです」殿村は言いながら、書斎の

(おおきいつくえのうえにあったしょくだいのろうそくにひをつけ、)

大きい机の上にあった燭台のロウソクに火をつけ、

(それをもってしょうめんのしょだなのまえにちかづき、たなのちゅうだんから)

それを持って正面の書棚の前に近付き、棚の中段から

(に、さんさつのようしょをぬきとって、そのすきまへてをいれ、)

二、三冊の洋書を抜き取って、その隙間へ手を入れ、

(なにかしたかとおもうと、ふしぎやふしぎ。)

何かしたかと思うと、不思議や不思議。

(しょだなのいちぶが、まるでとびらのようにおともなくひらいて、)

書棚の一部が、まるで扉のように音もなくひらいて、

(そのおくにひみつのへやがあることもわかりました。)

その奥に秘密の部屋があることも分かりました。

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