紫式部 源氏物語 空蝉 3 與謝野晶子訳

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2 ヤス 6891 S++ 7.3 94.0% 409.9 3017 192 47 2024/08/14
3 だだんどん 6770 S++ 7.2 94.2% 415.6 2998 184 47 2024/08/12
4 れもん 3442 D 3.7 92.1% 799.8 3010 257 47 2024/08/13

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問題文

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(やっとめがさめたおんなはあさましいなりゆきにただおどろいているだけで、)

やっと目がさめた女はあさましい成り行きにただ驚いているだけで、

(しんからきのどくなようなかんじょうがげんじにおこってこない。むすめであったわりあいには)

真から気の毒なような感情が源氏に起こってこない。娘であった割合には

(はすっぱななまいきなこのひとはあわてもしない。げんじはじしんでないようにして)

蓮葉な生意気なこの人はあわてもしない。源氏は自身でないようにして

(しまいたかったが、どうしてこんなことがあったかと、)

しまいたかったが、どうしてこんなことがあったかと、

(あとでおんなをかんがえてみるときに、それはじぶんのためにはどうでもよいことであるが、)

あとで女を考えてみる時に、それは自分のためにはどうでもよいことであるが、

(じぶんのこいしいひややかなひとが、せけんをあんなにはばかっていたのであるから、)

自分の恋しい冷ややかな人が、世間をあんなにはばかっていたのであるから、

(このことでひみつをばくろさせることになってはかわいそうであるとおもった。)

このことで秘密を暴露させることになってはかわいそうであると思った。

(それでたびたびかたたがえにこのいえをえらんだのはあなたにせっきんしたいためだったと)

それでたびたび方違えにこの家を選んだのはあなたに接近したいためだったと

(つげた。すこしかんがえてみるひとにはままははとのかんけいがわかるであろうが、わかいむすめごころは)

告げた。少し考えてみる人には継母との関係がわかるであろうが、若い娘心は

(こんななまいきなひとではあってもそれにおもいいたらなかった。にくくはなくても)

こんな生意気な人ではあってもそれに思い至らなかった。憎くはなくても

(こころのひかれるてんのないきがして、このときでさえげんじのこころはむじょうなひとのこいしさで)

心の惹かれる点のない気がして、この時でさえ源氏の心は無情な人の恋しさで

(いっぱいだった。どこのすみにはいってじぶんのおもいつめかたをわらっているのだろう、)

いっぱいだった。どこの隅にはいって自分の思い詰め方を笑っているのだろう、

(こんなしんじつしんというものはざらにあるものでもないのにと、あざけるきに)

こんな真実心というものはざらにあるものでもないのにと、あざける気に

(なってみてもしんそこはやはりそのひとがこいしくてならないのである。)

なってみても真底はやはりその人が恋しくてならないのである。

(しかしなんのうたがいももたないあたらしいじょうじんもかれんにおもわれるてんがあって、)

しかし何の疑いも持たない新しい情人も可憐に思われる点があって、

(げんじはことばじょうずにのちのちのやくそくをしたりしていた。)

源氏は言葉上手にのちのちの約束をしたりしていた。

(「こうぜんのかんけいよりもこうしたしのんだなかのほうがこいをふかくするものだと)

「公然の関係よりもこうした忍んだ中のほうが恋を深くするものだと

(むかしからみないってます。あなたもわたくしをあいしてくださいよ。わたくしはせけんへのえんりょが)

昔から皆言ってます。あなたも私を愛してくださいよ。私は世間への遠慮が

(ないでもないのだから、おもったとおりのこういはできないのです。)

ないでもないのだから、思ったとおりの行為はできないのです。

(あなたのがわでもちちやあにがこのかんけいにこういをもってくれそうなことをわたくしはいまから)

あなたの側でも父や兄がこの関係に好意を持ってくれそうなことを私は今から

など

(しんぱいしている。わすれずにまたあいにくるわたくしをまっていてください」)

心配している。忘れずにまた逢いに来る私を待っていてください」

(などと、やすっぽいうわきおとこのくちぶりでものをいっていた。)

などと、安っぽい浮気男の口ぶりでものを言っていた。

(「ひとにこのひみつをしらせたくありませんから、わたくしはてがみもようあげません」)

「人にこの秘密を知らせたくありませんから、私は手紙もようあげません」

(おんなはすなおにいっていた。 「みなにあやしがられるようにしてはいけないが、)

女は素直に言っていた。 「皆に怪しがられるようにしてはいけないが、

(このいえのちいさいてんじょうびとね、あれにたくしてわたくしもてがみをあげよう。きをつけなくては)

この家の小さい殿上人ね、あれに託して私も手紙をあげよう。気をつけなくては

(いけませんよ、ひみつをだれにもしらせないように」 といいおいて、)

いけませんよ、秘密をだれにも知らせないように」 と言い置いて、

(げんじはこいびとがさっきぬいでいったらしいいちまいのうすものをてにもってでた。)

源氏は恋人がさっき脱いで行ったらしい一枚の薄衣を手に持って出た。

(となりのへやにねていたこぎみをおこすと、げんじのことをきがかりにおもいながら)

隣の室に寝ていた小君を起こすと、源氏のことを気がかりに思いながら

(ねていたので、すぐにめをさました。こぎみがつまどをしずかにあけると、)

寝ていたので、すぐに目をさました。小君が妻戸を静かにあけると、

(としのよったおんなのこえで、 「だれですか」)

年の寄った女の声で、 「だれですか」

(おおげさにいった。めんどうだとおもいながらこぎみは、 「わたしだ」)

おおげさに言った。めんどうだと思いながら小君は、 「私だ」

(という。 「こんなよなかにどこへおいでになるんですか」)

と言う。 「こんな夜中にどこへおいでになるんですか」

(こざかしいろうじょがこちらへあるいてくるふうである。こぎみはにくらしくおもって、)

小賢しい老女がこちらへ歩いて来るふうである。小君は憎らしく思って、

(「ちょっとそとへでるだけだよ」 といいながらげんじをとぐちからおしだした。)

「ちょっと外へ出るだけだよ」 と言いながら源氏を戸口から押し出した。

(よあけにちかいじこくのあかるいげっこうがそとにあって、ふとひとかげをろうじょはみた。)

夜明けに近い時刻の明るい月光が外にあって、ふと人影を老女は見た。

(「もうひとりのかたはどなた」 といったろうじょが、また、)

「もう一人の方はどなた」 と言った老女が、また、

(「みんぶさんでしょう。すばらしくせのたかいひとだね」 という。)

「民部さんでしょう。すばらしく背の高い人だね」 と言う。

(ほうばいのせいたかおんなのことをいうのであろう。ろうじょはこぎみとみんぶがいっしょに)

朋輩の背高女のことをいうのであろう。老女は小君と民部がいっしょに

(いくのだとおもっていた。 「いまにあなたもまけないせたけになりますよ」)

行くのだと思っていた。 「今にあなたも負けない背丈になりますよ」

(といいながらげんじたちのでたつまどからろうじょもそとへでてきた。)

と言いながら源氏たちの出た妻戸から老女も外へ出て来た。

(こまりながらもろうじょをとぐちへおしかえすこともできずに、むかいがわのわたどののいりぐちに)

困りながらも老女を戸口へ押し返すこともできずに、向かい側の渡殿の入り口に

(そってたっていると、げんじのそばへろうじょがよってきた。)

添って立っていると、源氏のそばへ老女が寄って来た。

(「あんた、こんやはおいまにいっていたの。わたくしはおなかのぐあいがわるくてへやのほうで)

「あんた、今夜はお居間に行っていたの。私はお腹の具合が悪くて部屋のほうで

(やすんでいたのですがね。ぶようじんだからこいといってよびだされたもんですよ。)

休んでいたのですがね。不用心だから来いと言って呼び出されたもんですよ。

(どうもくるしくてがまんができませんよ」 こぼしてきかせるのである。)

どうも苦しくて我慢ができませんよ」 こぼして聞かせるのである。

(「いたい、ああいたい。またあとで」 といっていってしまった。やっとげんじは)

「痛い、ああ痛い。またあとで」 と言って行ってしまった。やっと源氏は

(そこをはなれることができた。ぼうけんはできないとげんじはこりた。)

そこを離れることができた。冒険はできないと源氏は懲りた。

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