探偵少年4 知恵くらべ/江戸川乱歩

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 miko 6370 S 6.5 97.2% 774.7 5080 145 98 2024/09/27

関連タイピング

問題文

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(しばらくまっていても、なにもあらわれません。ろぼっとは、まったく、)

しばらく待っていても、なにもあらわれません。ロボットは、まったく、

(このへやからきえてなくなってしまったのです。)

この部屋から消えてなくなってしまったのです。

(「のろちゃん、ろぼっとは、もう、いなくなったよ。」)

「ノロちゃん、ロボットは、もう、いなくなったよ。」

(のろちゃんはめをふさいで、こばやしくんにしがみついていましたが、そのとき、)

ノロちゃんは目をふさいで、小林君にしがみついていましたが、そのとき、

(やっと、めをひらきました。そして、きょろきょろと、あたりをみまわして)

やっと、目をひらきました。そして、キョロキョロと、あたりを見まわして

(いましたが、するとまたしてもなにをみたのか、いきなり、ぎゅっと)

いましたが、するとまたしてもなにを見たのか、いきなり、ギュッと

(こばやしくんにしがみついてきました。)

小林君にしがみついてきました。

(びっくりして、こばやしくんも、むこうをみますと、のろちゃんがおどろいたのも、)

びっくりして、小林君も、むこうを見ますと、ノロちゃんがおどろいたのも、

(もっともです。でんとうのむこうのくらいところに、にんげんのくびだけが、すーっと、)

もっともです。電灯のむこうの暗いところに、人間の首だけが、スーッと、

(うきあがっているではありませんか。)

浮きあがっているではありませんか。

(こんどは、ろぼっとでなくて、にんげんのくびが、くうちゅうにあらわれたのです。)

こんどは、ロボットでなくて、人間の首が、空中にあらわれたのです。

(しらがあたまにしらひげをながくたらした、おじいさんのくびです。きらきらひかる、)

しらが頭に白ひげを長くたらした、おじいさんの首です。キラキラ光る、

(めがねをかけています。)

めがねをかけています。

(おじいさんのくびばかりが、くうちゅうをふわふわただよっているのですから、じつに、)

おじいさんの首ばかりが、空中をフワフワただよっているのですから、じつに、

(きみがわるいのです。でも、こばやしくんはにげません。じっと、そのしらがのくびを)

気味がわるいのです。でも、小林君は逃げません。じっと、そのしらがの首を

(にらみつけていました。)

にらみつけていました。

(くびばかりのおじいさんは、しばらくくうちゅうをゆらゆらしていましたが、ぱっと、)

首ばかりのおじいさんは、しばらく空中をユラユラしていましたが、パッと、

(くびのしたに、どうたいがあらわれ、おやっとおもっていると、そのどうたいのしたに、)

首の下に、胴体があらわれ、おやっとおもっていると、その胴体の下に、

(みぎあしがつき、ひだりあしがつき、それからりょうほうのかたに、みぎて、ひだりてと、つぎつぎと、)

右足がつき、左足がつき、それから両方の肩に、右手、左手と、つぎつぎと、

(あしやてが、どこからかとんできて、おじいさんのからだに、)

足や手が、どこからか飛んできて、おじいさんのからだに、

など

(くっついてしまいました。)

くっついてしまいました。

(そして、ちゃんとしたひとりのにんげんが、できあがってしまったのです。はいいろの)

そして、ちゃんとしたひとりの人間が、できあがってしまったのです。灰色の

(ようふくをきた、しらひげの、りっぱなおじいさんです。)

洋服をきた、白ひげの、りっぱなおじいさんです。

(「はははは、かんしん、かんしん、さすがはしょうねんたんていだんのだんちょうじゃ。)

「ハハハハ、感心、感心、さすがは少年探偵団の団長じゃ。

(よくにげださないで、がまんをした。えらいぞ。それにひきかえ、)

よく逃げださないで、がまんをした。えらいぞ。それにひきかえ、

(もうひとりのこは、ひどくおくびょうだね。それでもだんいんかね?」)

もうひとりの子は、ひどくおくびょうだね。それでも団員かね?」

(しらひげのおじいさんは、そういいながら、つかつかと、ふたりのそばへ)

白ひげのおじいさんは、そういいながら、ツカツカと、ふたりのそばへ

(ちかづいてきました。)

近づいてきました。

(そのこえをきくと、のろちゃんも、こばやしくんのむねからかおをはなして、やっと、)

その声をきくと、ノロちゃんも、小林君の胸から顔をはなして、やっと、

(おじいさんのすがたをみました。いままで、めをふさいでいたので、どうして、)

おじいさんの姿を見ました。いままで、目をふさいでいたので、どうして、

(こんなおじいさんがあらわれたのか、わからないものですから、)

こんなおじいさんがあらわれたのか、わからないものですから、

(びっくりして、きょろきょろしています。)

びっくりして、キョロキョロしています。

(「あなたは、いったい、だれです?」)

「あなたは、いったい、だれです?」

(こばやしくんは、きっと、おじいさんのかおをみつめて、たずねました。)

小林君は、キッと、おじいさんの顔を見つめて、たずねました。

(「わしかね、わしは、さっきのろぼっとじゃよ。」)

「わしかね、わしは、さっきのロボットじゃよ。」

(おじいさんは、にこにこしています。それでは、あのろぼっとのなかに、この)

おじいさんは、にこにこしています。それでは、あのロボットのなかに、この

(ろうじんがはいっていたのでしょうか。)

老人がはいっていたのでしょうか。

(もし、そうだとすると、このおじいさんは、やっぱり、わるものです。)

もし、そうだとすると、このおじいさんは、やっぱり、悪ものです。

(「それじゃあ、となりのへやの、おんなのこを、ひどいめにあわせたのは、)

「それじゃあ、となりの部屋の、女の子を、ひどいめにあわせたのは、

(あなたですね。」)

あなたですね。」

(こばやしくんが、おじいさんをにらみつけました。)

小林君が、おじいさんをにらみつけました。

(「ははは・・・、あれかね。あれは、わしのともだちのおじょうさんじゃよ。)

「ハハハ・・・、あれかね。あれは、わしの友だちのおじょうさんじゃよ。

(みよこちゃん、もういいから、こちらへおいで。」)

ミヨ子ちゃん、もういいから、こちらへおいで。」

(すると、「はーい。」というかわいいこえがして、さっき、となりのへやに)

すると、「はーい。」というかわいい声がして、さっき、となりの部屋に

(たおれていた、ぴんくのふくのしょうじょが、にこにこしてかけこんできました。)

たおれていた、ピンクの服の少女が、にこにこしてかけこんできました。

(「あらっ、それじゃあ、あのおんなのこは、ぼくたちに、うそをついたんだね。」)

「あらっ、それじゃあ、あの女の子は、ぼくたちに、うそをついたんだね。」

(のろちゃんが、あきれたように、いいました。)

ノロちゃんが、あきれたように、いいました。

(「そうじゃ、うそをついたのじゃ。きみたちを、このへやに、)

「そうじゃ、うそをついたのじゃ。きみたちを、この部屋に、

(おびきよせるためにね。」)

おびきよせるためにね。」

(「なぜ、ぼくたちを、このへやへ、おびきよせたんですか。」)

「なぜ、ぼくたちを、この部屋へ、おびきよせたんですか。」

(こばやしくんが、おじいさんに、つめよりました。)

小林君が、おじいさんに、つめよりました。

(「ははは、そう、おこるもんじゃない。まあ、こっちへおいで。もっときれいな)

「ハハハ、そう、おこるもんじゃない。まあ、こっちへおいで。もっときれいな

(へやで、ゆっくりはなしをしよう。」)

部屋で、ゆっくり話をしよう。」

(そういって、おじいさんは、さきにたって、ろうかへでました。ふたりのしょうねんは、)

そういって、おじいさんは、さきにたって、廊下へ出ました。ふたりの少年は、

(ともかく、そのあとについていきます。)

ともかく、そのあとについていきます。

(ろうじんは、しょうねんたちと、みよこちゃんをつれて、りっぱなようしつにはいりました。)

老人は、少年たちと、ミヨ子ちゃんをつれて、りっぱな洋室にはいりました。

(かべいっぱいのほんだなに、むずかしいほんがずらっとならび、へやのまんなかには、)

壁いっぱいの本だなに、むずかしい本がズラッとならび、部屋のまんなかには、

(だいてーぶるがあって、そのまわりに、ふかふかとしたあんらくいすが、いくつも)

大テーブルがあって、そのまわりに、ふかふかとしたあんらくいすが、いくつも

(おいてあります。)

おいてあります。

(「さあ、かけたまえ。これから、きみたちを、おびきよせたわけをはなすからね。)

「さあ、かけたまえ。これから、きみたちを、おびきよせたわけを話すからね。

(わしは、ろぼっとになって、きみたちのまえにあらわれた。きっと、ついてくる)

わしは、ロボットになって、きみたちの前にあらわれた。きっと、ついてくる

(じゃろうとおもってね。まどから、このうちへ、しのびこんでみせたので、)

じゃろうと思ってね。窓から、このうちへ、しのびこんで見せたので、

(きみたちは、いよいよ、わしをわるものだとおもった。そして、さっきのへやまで、)

きみたちは、いよいよ、わしを悪ものだと思った。そして、さっきの部屋まで、

(はいってきた。それから、ふしぎなことがおこったね。あれはきみたちの)

はいってきた。それから、ふしぎなことがおこったね。あれはきみたちの

(どきょうを、ためすためじゃった。だが、どうして、あんなことがおこったか、)

どきょうを、ためすためじゃった。だが、どうして、あんなことがおこったか、

(わかるかね。」)

わかるかね。」

(ろうじんが、ぶらっく=まじっくのたねあかしをしました。)

老人が、ブラック=マジックの種あかしをしました。

(「あのへやのでんとうはふたつとも、きみたちのほうをむいていた。うしろのかべには、)

「あの部屋の電灯は二つとも、きみたちのほうを向いていた。うしろの壁には、

(くろいかーてんがはってある。そのかーてんのまえに、あたまからあしのさきまで、)

黒いカーテンがはってある。そのカーテンの前に、あたまから足のさきまで、

(まっくろなきれでつつんだ、わしのじょしゅがたっていたのだが、きみたちには、)

まっ黒なきれでつつんだ、わしの助手が立っていたのだが、きみたちには、

(すこしもみえなかった。そこへろぼっとがはいってきた。)

すこしも見えなかった。そこへロボットがはいってきた。

(わしのまっくろなじょしゅは、くろいきれのふくろをいくつももっていて、ろぼっとのてや、)

わしのまっ黒な助手は、黒いきれの袋をいくつも持っていて、ロボットの手や、

(あしや、どうや、くびへ、つぎつぎと、かぶせていったのだ。そうすると、)

足や、胴や、首へ、つぎつぎと、かぶせていったのだ。そうすると、

(かぶせたところだけきえたようにみえる。くらいぶたいで、しろいがいこつが)

かぶせたところだけ消えたように見える。暗い舞台で、白いガイコツが

(おどりだすきじゅつがあるね。あれはにんげんが、くろいしゃつとずぼんに、しろい)

おどりだす奇術があるね。あれは人間が、黒いシャツとズボンに、白い

(がいこつのえをかいたのをきて、おどるのだよ。それとおなじわけさ。)

ガイコツの絵をかいたのをきて、おどるのだよ。それと同じわけさ。

(そのあとへ、このわしが、すがたをあらわしたのもおなじりくつで、てやあしやくびに、)

そのあとへ、このわしが、姿をあらわしたのも同じりくつで、手や足や首に、

(くろいふくろをかぶせてあったのを、つぎつぎと、ぬいでいったのだよ。)

黒い袋をかぶせてあったのを、つぎつぎと、ぬいでいったのだよ。

(わかったかね。」)

わかったかね。」

(ろうじんは、にやにやとわらいました。)

老人は、にやにやと笑いました。

(「まだ、きみたちをびっくりさせることがある。わしはろぼっとからろうじんに)

「まだ、きみたちをびっくりさせることがある。わしはロボットから老人に

(なったが、これでおしまいではない。わしはせかいいちのへんそうのめいじんだからね。」)

なったが、これでおしまいではない。わしは世界一の変装の名人だからね。」

(かいろうじんは、そういったかとおもうと、まっしろなあたまと、ひげにてをかけて、それを、)

怪老人は、そういったかと思うと、まっ白な頭と、ひげに手をかけて、それを、

(ひきむいてしまいました。すると、そのしたから、くろいかみのけのさんじゅうぐらいの)

ひきむいてしまいました。すると、その下から、黒いかみの毛の三十ぐらいの

(わかいかおがあらわれました。)

若い顔があらわれました。

(「ははは・・・、どうだね。わかくなっただろう。だが、これが、わしの)

「ハハハ・・・、どうだね。若くなっただろう。だが、これが、わしの

(ほんとうのかおかどうか、わからないよ。)

ほんとうの顔かどうか、わからないよ。

(まだこのしたに、べつのかおがかくれているかもしれないのだよ。ところで、)

まだこの下に、べつの顔がかくれているかもしれないのだよ。ところで、

(きみたちを、ここへおびきよせたわけだがね。わしは、きみたちの)

きみたちを、ここへおびきよせたわけだがね。わしは、きみたちの

(しょうねんたんていだんが、すばらしいはたらきをしたことをよくしっている。そこで、わしは、)

少年探偵団が、すばらしい働きをしたことをよく知っている。そこで、わしは、

(しょうねんたんていだんにちえくらべのしあいをもうしこむのだ。わしがあいてになるから、)

少年探偵団に知恵くらべの試合をもうしこむのだ。わしがあいてになるから、

(きみたちにうでだめしがしてもらいたいのだ。」)

きみたちに腕だめしがしてもらいたいのだ。」

(「しあいって、どんなしあいです。」)

「試合って、どんな試合です。」

(こばやしくんが、びっくりして、ききかえしました。)

小林君が、びっくりして、ききかえしました。

(「わしはまほうはかせとよばれているきじゅつのめいじんだ。このうちのほかにも、)

「わしは魔法博士とよばれている奇術の名人だ。このうちのほかにも、

(ほうぼうにふしぎなうちをもっている。おとなのじょしゅもいるし、こどものじょしゅも)

ほうぼうにふしぎなうちをもっている。おとなの助手もいるし、子どもの助手も

(いる。このみよこというしょうじょも、そのひとりだ。そこで、きみたちのちえと)

いる。このミヨ子という少女も、そのひとりだ。そこで、きみたちの知恵と

(ゆうきで、わしのまほうと、たたかってみるきはないか。」)

勇気で、わしの魔法と、たたかってみる気はないか。」

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