紫式部 源氏物語 榊 18 與謝野晶子訳

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 subaru 7830 8.0 96.7% 319.9 2591 86 39 2024/12/13
2 おもち 7377 7.6 96.3% 341.6 2618 98 39 2024/12/17
3 HAKU 7279 7.5 96.5% 346.6 2616 93 39 2024/12/09
4 ヤス 7084 7.3 96.6% 355.7 2611 91 39 2024/12/07
5 ヤス 7026 7.3 95.3% 353.5 2611 127 39 2024/12/16

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問題文

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(なつのあめがいつやむともなくふってだれもつれづれをかんじるころである、)

夏の雨がいつやむともなく降ってだれもつれづれを感じるころである、

(さんみのちゅうじょうはいろいろなししゅうをもってにじょうのいんへあそびにきた。げんじもじかの)

三位中将はいろいろな詩集を持って二条の院へ遊びに来た。源氏も自家の

(としょしつのなかの、へいぜいつかわないたなのほんのなかからめずらしいししゅうをえりだしてきて、)

図書室の中の、平生使わない棚の本の中から珍しい詩集を選り出して来て、

(しじんたちをめだつようにはせずに、しかもおおぜいよんでさゆうにひとをわけて、)

詩人たちを目だつようにはせずに、しかもおおぜい呼んで左右に人を分けて、

(よいかけものをだしていんふたぎにしょうぶをつけようとした。かくしたいんじを)

よい賭物を出して韻ふたぎに勝負をつけようとした。隠した韻字を

(あてはめていくうちに、むずかしいじがたくさんでてきて、けいけんのおおい)

あてはめていくうちに、むずかしい字がたくさん出てきて、経験の多い

(はかせなどもこまったかおをするばあいに、ときどきげんじがちゅういをあたえることが)

博士なども困った顔をする場合に、時々源氏が注意を与えることが

(よくあてはまるのである。ひじょうなはくしきであった。)

よくあてはまるのである。非常な博識であった。

(「どうしてこんなになにもかもがおできになるのだろう。)

「どうしてこんなに何もかもがおできになるのだろう。

(やはりぜんしょうのいんにとくべつなもののあるかたにちがいない」)

やはり前生の因に特別なもののある方に違いない」

(などとがくしゃたちがほめていた。とうとうみぎのほうがまけになった。)

などと学者たちがほめていた。とうとう右のほうが負けになった。

(それからふつかほどしてさんみのちゅうじょうがまけぶるまいをした。たいそうにはしないで)

それから二日ほどして三位中将が負けぶるまいをした。たいそうにはしないで

(がしゅのあるひわりごべんとうがでて、かちかたにだすかけものもおおくじさんしたのである。)

雅趣のある檜破子弁当が出て、勝ち方に出す賭物も多く持参したのである。

(きょうもぶんしがおおくしょうたいされていてみなせきじょうでしをつくった。かいぜんのばらのはなが)

今日も文士が多く招待されていて皆席上で詩を作った。階前の薔薇の花が

(すこしさきかけたしょかのにわのながめにはのうこうなしゅんじゅうのしきさいいじょうのものがあった。)

少し咲きかけた初夏の庭のながめには濃厚な春秋の色彩以上のものがあった。

(しぜんなきぶんのおおいたのしいかいであった。ちゅうじょうのこでことしからごしょのじどうにでる)

自然な気分の多い楽しい会であった。中将の子で今年から御所の侍童に出る

(はち、きゅうさいのしょうねんでおもしろくしょうのふえをふいたりするこをげんじは)

八、九歳の少年でおもしろく笙の笛を吹いたりする子を源氏は

(かわいがっていた。これはしのきみがうんだじなんである。よいはいけいをもっていて)

かわいがっていた。これは四の君が生んだ次男である。よい背景を持っていて

(せけんからだいじにあつかわれているこであった。さいがあってかおもうつくしいのである。)

世間から大事に扱われている子であった。才があって顔も美しいのである。

(しゅかくがよいをもよおしたころにこのこが「たかさご」をうたいだした。ひじょうにあいらしい。)

主客が酔いを催したころにこの子が「高砂」を歌い出した。非常に愛らしい。

など

((「たかさごのおのえにたてるしらたまつばき、それもがと、ましもがと、けささいたるはつはなに)

(「高砂の尾上に立てる白玉椿、それもがと、ましもがと、今朝咲いたる初花に

(あわましものをうんぬん」というかしである)げんじはふくをいちまいぬいであたえた。)

逢はましものを云々」という歌詞である)源氏は服を一枚脱いで与えた。

(へいぜいよりもうちとけたふうのげんじはことさらにまたうつくしいのであった。)

平生よりも打ち解けたふうの源氏はことさらにまた美しいのであった。

(きているのうしもひとえもうすものであったから、きれいなはだのいろがすいてみえた。)

来ている直衣も単衣も薄物であったから、きれいな肌の色が透いて見えた。

(おいたはかせたちはとおくからながめてげんじのびになみだをながしていた。)

老いた博士たちは遠くからながめて源氏の美に涙を流していた。

(「あわましものをさゆりばの」というたかさごのうたのおわりのところになって、)

「逢はましものを小百合葉の」という高砂の歌の終わりのところになって、

(ちゅうじょうはさかずきをげんじにすすめた。 )

中将は杯を源氏に勧めた。

(それもがとけさひらけたるはつはなにおとらぬきみがにおいをぞみる )

それもがと今朝開けたる初花に劣らぬ君がにほひをぞ見る

(とかんぱいのじをのべた。げんじはびしょうをしながらさかずきをとった。 )

と乾杯の辞を述べた。源氏は微笑をしながら杯を取った。

(「ときならでけささくはなはなつのあめにしおれにけらしにおうほどなく )

「時ならで今朝咲く花は夏の雨に萎れにけらし匂ふほどなく

(すっかりおとろえてしまったのに」 あとはもうよってしまったふうをして)

すっかり衰えてしまったのに」 あとはもう酔ってしまったふうをして

(げんじがのもうとしないさけをちゅうじょうはゆるすまいとしていた。せきじょうでできたしいかのかずは)

源氏が飲もうとしない酒を中将は許すまいとしていた。席上でできた詩歌の数は

(おおかったが、こんなときのまじめでないたいどのさくをたくさんつらねておくことの)

多かったが、こんな時のまじめでない態度の作をたくさん列ねておくことの

(むだであることをつらゆきもけいこくしているのであるからここにはかかないでおく。)

むだであることを貫之も警告しているのであるからここには書かないでおく。

(うたもしもげんじのきみをさんびしたものがおおかった。げんじじしんもよいきもちになって、)

歌も詩も源氏の君を賛美したものが多かった。源氏自身もよい気持ちになって、

(「ぶんおうのこぶおうのおとうと」としきのしゅうこうでんのいっせつをくちにした。そのぶんしょうのつづきは)

「文王の子武王の弟」と史記の周公伝の一節を口にした。その文章の続きは

(せいおうのおじというのであるが、これはげんじがめいりょうにいいえないはずである。)

成王の伯父というのであるが、これは源氏が明瞭に言いえないはずである。

(ひょうぶきょうのみやもしじゅうにじょうのいんへおいでになって、おんがくにきょうみをもつかたで)

兵部卿の宮も始終二条の院へおいでになって、音楽に興味を持つ方で

(あったから、よくいっしょにそんなあそびをされるのであった。)

あったから、よくいっしょにそんな遊びをされるのであった。

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