紫式部 源氏物語 榊 19 與謝野晶子訳
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | subaru | 7697 | 神 | 8.1 | 95.1% | 303.2 | 2459 | 125 | 39 | 2024/12/13 |
2 | おもち | 7532 | 神 | 7.9 | 95.4% | 311.3 | 2463 | 118 | 39 | 2024/12/14 |
3 | ヤス | 7253 | 光 | 7.6 | 94.9% | 323.0 | 2474 | 131 | 39 | 2024/12/16 |
4 | HAKU | 7142 | 王 | 7.3 | 96.6% | 335.2 | 2479 | 85 | 39 | 2024/12/08 |
5 | だだんどん | 6661 | S+ | 7.1 | 93.3% | 342.7 | 2457 | 174 | 39 | 2024/12/16 |
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問題文
(そのじぶんにないしのかみがごしょからじていへたいしゅつした。まえからわらわやみにかかっていたので、)
その時分に尚侍が御所から自邸へ退出した。前から瘧病にかかっていたので、
(まじないなどのきゅうちゅうでできないりょうほうもじっかでこころみようとしてであった。)
禁厭などの宮中でできない療法も実家で試みようとしてであった。
(しゅほうなどもさせてないしのかみのやまいのぜんかいしたことでかぞくはみなよろこんでいた。)
修法などもさせて尚侍の病の全快したことで家族は皆喜んでいた。
(こんなころである、えがたいきかいであるとこいびとたちはしめしあわせて、)
こんなころである、得がたい機会であると恋人たちはしめし合わせて、
(むりなほうほうをこうじてまいよげんじはあいにいった。わかいさかりのはなやかなようぼうを)
無理な方法を講じて毎夜源氏は逢いに行った。若い盛りのはなやかな容貌を
(もったひとのやまいですこしやせたあとのかおはひじょうにうつくしいものであった。)
持った人の病で少し痩せたあとの顔は非常に美しいものであった。
(こうたいごうもおなじやしきにすんでおいでになるころであったから)
皇太后も同じ邸に住んでおいでになるころであったから
(おそろしいことなのであるが、こんなことのあればあるほど)
恐ろしいことなのであるが、こんなことのあればあるほど
(そのこいがおもしろくなるげんじはしのんでいくよるをおおくかさねることに)
その恋がおもしろくなる源氏は忍んで行く夜を多く重ねることに
(なったのである。こんなにまでなってはきがつくひともあったであろうが、)
なったのである。こんなにまでなっては気がつく人もあったであろうが、
(たいこうにうったえようとはだれもしなかった。だいじんもむろんしらなかった。)
太后に訴えようとはだれもしなかった。大臣もむろん知らなかった。
(あめがにわかにおおぶりになって、らいめいがきゅうにはげしくおこってきたあるよあけに、)
雨がにわかに大降りになって、雷鳴が急にはげしく起こってきたある夜明けに、
(こうしたちやたいこうづきのやくにんなどがさわいであなたこなたとはしりあるきもするし、)
公子たちや太后付きの役人などが騒いであなたこなたと走り歩きもするし、
(そのほかへいぜいこのじかんにでていないひともそのへんにでているようすが)
そのほか平生この時間に出ていない人もその辺に出ている様子が
(うかがわれたし、またにょうぼうたちもおそろしがってちょうだいのちかくへよってきているし、)
うかがわれたし、また女房たちも恐ろしがって帳台の近くへ寄って来ているし、
(げんじはかえっていくにもいかれぬことになって、どうすればよいかとまどった。)
源氏は帰って行くにも行かれぬことになって、どうすればよいかと惑った。
(ひみつにたずさわっているふたりほどのにょうぼうがこまりきっていた。らいめいがやんで、)
秘密に携わっている二人ほどの女房が困りきっていた。雷鳴がやんで、
(あめがすこしこぶりになったころに、だいじんがでてきて、さいしょにたいこうのごてんのほうへ)
雨が少し小降りになったころに、大臣が出て来て、最初に太后の御殿のほうへ
(みまいにいったのを、ちょうどまたあめがさっとおとをたててふりだしていたので、)
見舞いに行ったのを、ちょうどまた雨がさっと音を立てて降り出していたので、
(げんじもないしのかみもきがつかなかった。 だいじんはけいはいがするようにとつぜん)
源氏も尚侍も気がつかなかった。 大臣は軽輩がするように突然
(みすをあげてかおをだした。 「どうだね、とてもこわいばんだったから、)
御簾を上げて顔を出した。 「どうだね、とてもこわい晩だったから、
(こちらのことをしんぱいしていたがでてこられなかった。)
こちらのことを心配していたが出て来られなかった。
(ちゅうじょうやみやのすけはきていたかね」 などというようすが、)
中将や宮の亮は来ていたかね」 などという様子が、
(はやくちでだいじんらしいおちつきもなにもない。げんじははっけんされたくないということに)
早口で大臣らしい落ち着きも何もない。源氏は発見されたくないということに
(きをつかいながらも、このだいじんをさだいじんにくらべておもってみると)
気をつかいながらも、この大臣を左大臣に比べて思ってみると
(おかしくてならなかった。せめてざしきのなかへはいってからものをいえば)
おかしくてならなかった。せめて座敷の中へはいってからものを言えば
(よかったのである。ないしのかみはこまりながらいざりでてきたが、)
よかったのである。尚侍は困りながらいざり出て来たが、
(かおのあかくなっているのをだいじんはまだびょうきがまったくよくは)
顔の赤くなっているのを大臣はまだ病気がまったく快くは
(なっていないのかとみた。ねつがあるのであろうとしんぱいしたのである。)
なっていないのかと見た。熱があるのであろうと心配したのである。
(「なぜあなたはこんなかおいろをしているのだろう。しつこいもののけだからね。)
「なぜあなたはこんな顔色をしているのだろう。しつこい物怪だからね。
(しゅほうをもうすこしさせておけばよかった」 こういっているときに、)
修法をもう少しさせておけばよかった」 こう言っている時に、
(うすおなんどいろのおとこのおびがないしのかみのきものにまといついてきているのをだいじんはみつけた。)
淡お納戸色の男の帯が尚侍の着物にまといついてきているのを大臣は見つけた。
(ふしぎなことであるとおもっていると、またおとこのふところがみにむだがきの)
不思議なことであると思っていると、また男の懐中紙にむだ書きの
(してあるものがきちょうのまえにちらかっているのもめにとまった。)
してあるものが几帳の前に散らかっているのも目にとまった。
(なんというおそろしいことがおこっているのだろうとだいじんはおどろいた。)
なんという恐ろしいことが起こっているのだろうと大臣は驚いた。
(「それはだれがかいたものですか。へんなものじゃないか。ください。)
「それはだれが書いたものですか。変なものじゃないか。ください。
(だれのじであるかをわたくしはしらべる」 といわれてふりかえったないしのかみは)
だれの字であるかを私は調べる」 と言われて振り返った尚侍は
(じしんもそれをみつけた。もうまぎらわすすべはないのである。)
自身もそれを見つけた。もう紛らわす術はないのである。
(へんじのできることでもないのである。)
返事のできることでもないのである。