全て貴方の所為です。「微細構造」

(めをふさいでしまえば、)

目を塞いでしまえば、

(ししをとられたことばが)

四肢を取られた言葉が

(きこえてきて、)

聞こえてきて、

(かがみがみえないのに、)

鏡が見えないのに、

(りょううでをぬいました。)

両腕を縫いました。

(きくみみをふさげば、)

聞く耳を塞げば、

(えられるものもとぼしいので、)

得られるモノも乏しいので、

(しほうからのはりはよけきれず、)

四方からの針は除け切れず、

(やりくちをさがしていました。)

遣り口を探していました。

(くらいがめんがこれほどまでに、)

暗い画面が是程迄に、

(こわいのはなぜでしょう？)

怖いのは何故でしょう？

(もじをぬりつぶされたものが、)

文字を塗り潰された者が、

(とおくまでさけんだよ。)

遠く迄叫んだよ。

(びさいこうぞうていすうなど、)

微細構造定数など、

(ひとつめじゃのぞけないでしょう？)

一つ目じゃ覗けないでしょう？

(もじをぬりつぶされたものが、)

文字を塗り潰された者が、

(おそくまでないていた。)

遅く迄泣いていた。

(くらいがめんがこれほどまでに、)

暗い画面が是程迄に、

(こわいのはなぜでしょう？)

怖いのは何故でしょう？

(めをふさいでしまえば、)

目を塞いでしまえば、

(あまいえきたいをくびまで)

甘い液体を首まで

(ひたすだけ、)

浸すだけ、

(たちまちことだまに)

忽ち言霊に

(ころされてしまいました。)

殺されてしまいました。

(きくみみをふさげば、)

聞く耳を塞げば、

(つごうよくはいきされまして、)

都合よく廃棄されまして、

(しほうからのはりをくいあらし、)

四方からの針を喰い荒らし、

(あたまをこわしていきました。)

頭を毀していきました。

(くらいがめんがこれほどまでに、)

暗い画面が是程迄に、

(あらいのはなぜでしょう？)

粗いのは何故でしょう？

(もじをぬりつぶしたあなたが、)

文字を塗り潰した貴方が、

(とおくまでさけんだよ。)

遠く迄叫んだよ。

(びさいこうぞうていすうなど、)

微細構造定数など、

(あなたにはわからないでしょう？)

貴方には分からないでしょう？

(もじをぬりつぶしたあなたが、)

文字を塗り潰した貴方が、

(おそくまでわめいていた。)

遅く迄喚いていた。

(くらいがめんがこれほどまでに、)

暗い画面が是程迄に、

(ふえてはきえてをくりかえすのも、)

増えては消えてを繰り返すのも、

(もじをぬりつぶしたあなたが、)

文字を塗り潰した貴方が、

(なにもかもわるいのです。)

何もかも悪いのです。

(うつくしいおとのくうかんすらも、)

美しい音の空間すらも、

(あなたにはどうぐにみえるの？)

貴方には道具に見えるの？

(もじをぬりつぶされたものたちが、)

文字を塗り潰された者達が、

(うったえていた。)

訴えていた。

(それもいまじゃおとぎばなしで、)

それも今じゃ御伽噺で、

(どれだけさけんでも、)

どれだけ叫んでも、

(わたしたちのことばは、)

私達の言葉は、

(ぬりつぶされてしまったよ。)

塗り潰されてしまったよ。