紫式部 源氏物語 蓬生 3 與謝野晶子訳

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7716 7.8 98.7% 351.6 2747 34 41 2025/03/20
2 はく 7512 7.7 97.1% 359.0 2777 80 41 2025/03/24
3 omochi 7175 7.4 96.2% 372.1 2777 107 41 2025/03/20
4 ヤス 6682 S+ 7.1 93.8% 388.2 2776 182 41 2025/03/21

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問題文

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(じじゅうというめのとのむすめなどは、しゅかをはなれないでのこっているにょうぼうの)

侍従という乳母の娘などは、主家を離れないで残っている女房の

(ひとりであったが、いぜんからはんぶんずつはつとめにでていたさいいんが)

一人であったが、以前から半分ずつは勤めに出ていた斎院が

(おかくれになってからは、じじゅうもしかたなしににょおうのははぎみのいもうとで、そのひとだけが)

お亡くれになってからは、侍従もしかたなしに女王の母君の妹で、その人だけが

(みぶんちがいのちほうかんのつまになっているひとがあって、むすめをかしずいて、)

身分違いの地方官の妻になっている人があって、娘をかしずいて、

(わかいよいにょうぼうをいくにんでもほしがるいえへ、そこはしんだははもおりふし)

若いよい女房を幾人でもほしがる家へ、そこは死んだ母もおりふし

(いっていたところであったからとおもって、ときどきそこへいってつとめていた。)

行っていた所であったからと思って、時々そこへ行って勤めていた。

(すえつむはなはひとにしたしめないせいかくであったから、おばともあまりこうさいをしなかった。)

末摘花は人に親しめない性格であったから、叔母ともあまり交際をしなかった。

(「おねえさまはわたくしをけいべつなすって、わたくしのいることをふめいよにして)

「お姉様は私を軽蔑なすって、私のいることを不名誉にして

(いらっしゃったから、ひめぎみがきのどくなひとりぼっちでもわたくしはせわを)

いらっしゃったから、姫君が気の毒な一人ぼっちでも私は世話を

(してあげないのだよ」 などというあくたいぐちもじじゅうにきかせながら、ときどきじじゅうに)

してあげないのだよ」 などという悪態口も侍従に聞かせながら、時々侍従に

(てがみをもたせてよこした。はじめからちほうかんきゅうのいえにうまれたひとは、)

手紙を持たせてよこした。初めから地方官級の家に生まれた人は、

(きぞくをまねて、しそうてきにもおもいあがったひとになっているものもおおいのに、)

貴族をまねて、思想的にも思い上がった人になっている者も多いのに、

(このふじんはきぞくのででありながら、したのかいきゅうへはいっていくうんめいを)

この夫人は貴族の出でありながら、下の階級へはいって行く運命を

(うまれながらにもっていたものか、いやしいせいかくのおばぎみであった。じしんが、)

生まれながらに持っていたものか、卑しい性格の叔母君であった。自身が、

(かもんのかおよごしのようにおもわれていたむかしのはらいせに、ひたちのみやのにょおうを)

家門の顔汚しのように思われていた昔の腹いせに、常陸の宮の女王を

(じしんのむすめたちのにょうぼうにしてやりたい、むかしふうなところはあるがきだてのよい)

自身の娘たちの女房にしてやりたい、昔風なところはあるが気だてのよい

(こうけんやくができるであろうとこんなことをおもって、)

後見役ができるであろうとこんなことを思って、

(ときどきわたくしのたくへもおいでくだすったらいかがですか。 あなたのおことのねも)

時々私の宅へもおいでくだすったらいかがですか。あなたのお琴の音も

(うかがいたがるむすめたちもおります。 といってきた。これをじつげんさせようと)

伺いたがる娘たちもおります。 と言って来た。これを実現させようと

(おばはじじゅうにもうながすのであるが、すえつむはなはまけじだましいからではなく、)

叔母は侍従にも促すのであるが、末摘花は負けじ魂からではなく、

など

(ただはずかしくきまりがわるいために、おばのしょうたいにおうじようとしないのを、)

ただ恥ずかしくきまりが悪いために、叔母の招待に応じようとしないのを、

(おばのほうではくやしくおもっていた。そのうちにおばのおっとがきゅうしゅうのだいにに)

叔母のほうではくやしく思っていた。そのうちに叔母の良人が九州の大弐に

(にんめいされた。むすめたちをそれぞれけっこんさせておいて、ふうふでにんちへ)

任命された。娘たちをそれぞれ結婚させておいて、夫婦で任地へ

(たとうとするときにもまだおばはにょおうをともなっていきたがって、)

立とうとする時にもまだ叔母は女王を伴って行きたがって、

(「えんぽうへいくことになりますと、あなたがこころぼそいくらしをしておいでになるのを)

「遠方へ行くことになりますと、あなたが心細い暮らしをしておいでになるのを

(すてておくことがきになってなりません。ただいままでも)

捨てておくことが気になってなりません。ただ今までも

(おかまいはしませんでしたが、ちかいところにいるうちはいつでもおちからになれる)

お構いはしませんでしたが、近い所にいるうちはいつでもお力になれる

(じしんがありましたので」 とていさいよくことづててさそいかけるのも、)

自信がありましたので」 と体裁よく言づてて誘いかけるのも、

(にょおうがききいれないから、 「まあにくらしい。いばっていらっしゃる。)

女王が聞き入れないから、 「まあ憎らしい。いばっていらっしゃる。

(じぶんだけはえらいつもりでも、あのやぶのなかのひとをたいしょうさんだっておくさまらしくは)

自分だけはえらいつもりでも、あの藪の中の人を大将さんだって奥様らしくは

(あつかってくださらないだろう」 といってののしった。そのうちにげんじゆうめんの)

扱ってくださらないだろう」 と言ってののしった。そのうちに源氏宥免の

(せんじがくだり、ききょうのだんになると、ちゅうじつにまっていたしそうのかたさをだれよりもさきに)

宣旨が下り、帰京の段になると、忠実に待っていた志操の堅さをだれよりも先に

(みとめられようとするだんじょに、それぞれゆうけいむけいのだいしょうをよろこんでげんじのはらった)

認められようとする男女に、それぞれ有形無形の代償を喜んで源氏の払った

(じきにも、すえつむはなだけはおもいだされることもなくていくつきかがそのうちたった。)

時期にも、末摘花だけは思い出されることもなくて幾月かがそのうちたった。

(もうなんののぞみもかけられない。ながいあいだふこうなきょうぐうにおちていたげんじのために、)

もう何の望みもかけられない。長い間不幸な境遇に落ちていた源氏のために、

(そのせいりょくがきゅうていにふっかつするひがあるようにとねんじくらしていたものであるのに、)

その勢力が宮廷に復活する日があるようにと念じ暮らしていたものであるのに、

(いやしいかいきゅうのひとでさえもげんじのふたたびえたかがやかしいちいをよろこんでいるときにも、)

賤しい階級の人でさえも源氏の再び得た輝かしい地位を喜んでいる時にも、

(ただよそのこととしてきいていねばならぬじぶんでなければならなかったか、)

ただよそのこととして聞いていねばならぬ自分でなければならなかったか、

(げんじがきょうからおわれたときにはじぶんひとりのふこうのようにかなしんだが、)

源氏が京から追われた時には自分一人の不幸のように悲しんだが、

(このよはこんなふこうへいなものであるのかとおもってすえつむはなはうらめしくくるしくせつなく)

この世はこんな不公平なものであるのかと思って末摘花は恨めしく苦しく切なく

(ひとりでないてばかりいた。)

一人で泣いてばかりいた。

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