『妖怪博士』江戸川乱歩46
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
前回→https://typing.twi1.me/game/369918
次回→https://typing.twi1.me/game/371608
初回→https://typing.twi1.me/game/369844
第2作品→https://typing.twi1.me/game/329807
第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7386 | 光 | 7.5 | 97.4% | 602.2 | 4566 | 118 | 100 | 2024/10/11 |
2 | みき | 5886 | A+ | 6.0 | 97.5% | 761.6 | 4598 | 115 | 100 | 2024/09/28 |
関連タイピング
-
プレイ回数10万歌詞200打
-
プレイ回数4044かな314打
-
プレイ回数96万長文かな1008打
-
プレイ回数3.2万歌詞1030打
-
プレイ回数799歌詞かな200打
-
プレイ回数120歌詞831打
-
プレイ回数6万長文1159打
-
プレイ回数3031歌詞かな155打
問題文
(「みんな、ようじんするんだよ。ここにふかいあながあるから」)
「みんな、用心するんだよ。ここに深い穴があるから」
(こばやしくんがそうさけぶと、そのこえがふかいあなにはんきょうして、)
小林君がそう叫ぶと、その声が深い穴に反響して、
(がーんがーんとひびきましたが、するととつぜん、あなのそこに)
ガーンガーンと響きましたが、すると突然、穴の底に
(むけていたかいちゅうでんとうのひかりのなかで、したのやみのなかから)
向けていた懐中電灯の光の中で、下の闇の中から
(なにかしらくろくておおきなものが、ものすごいはやさですーっと)
何かしら黒くて大きな物が、物凄い速さでスーッと
(うきあがるようにあらわれてきました。かいちゅうでんとうのよわいひかり)
浮き上るように現れてきました。 懐中電灯の弱い光
(では、とっさになにかわかりませんでしたが、なにか)
では、とっさに何か分かりませんでしたが、なにか
(ねずみいろのふわふわしたようなものが、みるみるかたちを)
ネズミ色のフワフワしたような物が、みるみる形を
(おおきくしながらすーっととびあがってきたかと)
大きくしながらスーッと飛び上がってきたかと
(おもうと、のぞきこんでいたこばやしくんやはしばくんの)
思うと、のぞきこんでいた小林君や羽柴君の
(めのまえをおそろしいいきおいでとおり、むこうのやみのなかへ、)
目の前を恐ろしい勢いで通り、向こうの闇の中へ、
(やのようにきえていってしまいました。はしばくんは、)
矢のように消えていってしまいました。羽柴君は、
(このふいうちにめんくらって、わーっとひめいをあげ)
この不意打ちに面食らって、ワーッと悲鳴をあげ
(ながらとびのきましたが、しかしおおきないどのような)
ながら跳び退きましたが、しかし大きな井戸のような
(あなのなかからとびだしてくるものは、ひとつだけでは)
穴の中から飛び出してくる物は、一つだけでは
(なかったのです。はしばくんのひめいにおどろいてかけよった)
無かったのです。 羽柴君の悲鳴に驚いて駆け寄った
(しょうねんたちはたがいにてをにぎりながら、おそるおそるあなの)
少年たちは互いに手を握りながら、おそるおそる穴の
(そこをのぞくと、つぎからつぎへとねずみいろのふわふわした)
底をのぞくと、次から次へとネズミ色のフワフワした
(ものが、いくつもかさなりあって、うきあがるようにとび)
物が、いくつも重なり合って、浮き上るように飛び
(だしてくるではありませんか。みょうなかぜをきる)
出してくるではありませんか。みょうな風を切る
(ようなはおとをたてて、まるでじごくのそこからあくまの)
ような羽音をたてて、まるで地獄の底から悪魔の
(ひこうきがまいあがってくるかんじでした。「あ、)
飛行機が舞い上がってくる感じでした。「あ、
(こうもりだ。こうもりがうじゃうじゃいるんだ。)
コウモリだ。コウモリがウジャウジャ居るんだ。
(みんな、なんでもないよ。こうもりだよ。こうもりが)
みんな、なんでもないよ。コウモリだよ。コウモリが
(ひかりにおどろいてとびだしてきたんだよ」こばやしくんがおおごえで)
光に驚いて飛び出してきたんだよ」小林君が大声で
(いっても、しょうねんたちははじめてみる、いきたこうもりの)
言っても、少年たちは初めて見る、生きたコウモリの
(あまりのきみわるさに、もうひきかえしてどうくつのそとへでたい)
余りの気味悪さに、もう引き返して洞窟の外へ出たい
(ようにおもうのでした。「なあんだ。みんな、ひどく)
ように思うのでした。「なあんだ。みんな、ひどく
(びくびくしているじゃないか。たんけんかが、こうもりを)
ビクビクしているじゃないか。探検家が、コウモリを
(こわがってにげだしたなんてひとにしられたら、)
怖がって逃げ出したなんて人に知られたら、
(わらわれるぜ。さあ、びくびくしないで、もっとおくへ)
笑われるぜ。さあ、ビクビクしないで、もっと奥へ
(すすもう。みんな、あしもとにちゅういするんだよ」こばやしくんは、)
進もう。みんな、足元に注意するんだよ」小林君は、
(どうくつのおくへまたたくうちにきえさったこうもりのむれを)
洞窟の奥へ瞬く内に消え去ったコウモリの群れを
(みおくりながら、いちどうをげんきづけるようにいって、)
見送りながら、一同を元気づけるように言って、
(はしばくんのてをとるとぐんぐんはしをわたりはじめました。)
羽柴君の手を取るとグングン橋を渡り始めました。
(しょうねんたちもそういわれては、あとへひくわけにいき)
少年たちもそう言われては、あとへ引く訳にいき
(ません。じゅうにんはまたたていちれつになって、たがいにてをつなぎ)
ません。十人はまた縦一列になって、互いに手を繋ぎ
(あいながらはしをわたって、なおもおくへおくへとすすみ)
合いながら橋を渡って、なおも奥へ奥へと進み
(ました。それからせまいみちをすこしいくと、とつぜん、さゆうの)
ました。 それから狭い道を少し行くと、突然、左右の
(いわはだがとおのいて、がらんとしたかんじになりました。)
岩肌が遠のいて、ガランとした感じになりました。
(だいにのひろいくうかんへでたのです。「おや、またひろく)
第二の広い空間へ出たのです。「おや、また広く
(なったね。さあ、またいわにさわりながら、みぎのほうへ)
なったね。さあ、また岩にさわりながら、右のほうへ
(まわるんだよ」こばやしくんのさしずで、みんながつめたい)
周るんだよ」小林君の指図で、みんなが冷たい
(でこぼこのいわはだをなでながら、おおきいくうかんのしゅういを)
デコボコの岩肌をなでながら、大きい空間の周囲を
(まわりはじめたときでした。れつのうしろのほうから、あっと)
周り始めた時でした。列の後ろのほうから、アッと
(いうさけびごえがしたかとおもうと、なにかどさっとたおれる)
いう叫び声がしたかと思うと、何かドサッと倒れる
(ようなものおとがきこえました。「おい、どうしたの。)
ような物音が聞こえました。「おい、どうしたの。
(いま、さけんだのはだれだ」こばやしくんのといに、うしろのほう)
今、叫んだのはだれだ」小林君の問いに、後ろのほう
(からかつらくんがこたえました。「しのざきくんが、つまずいて)
から桂君が答えました。「篠崎君が、つまずいて
(たおれたんですよ」こばやしくんがかいちゅうでんとうをふりてらし)
倒れたんですよ」 小林君が懐中電灯を振り照らし
(ながられつのうしろへもどってみると、そのひかりのなかにたおれた)
ながら列の後ろへ戻ってみると、その光の中に倒れた
(しのざきしょうねんが、かおをしかめながらおきあがろうとして)
篠崎少年が、顔をしかめながら起き上がろうとして
(いるところでした。「だいじょうぶかい。けがはなかった)
いるところでした。「大丈夫かい。ケガはなかった
(かい」「うん、けがはしてないけど、なんだかへんだよ」)
かい」「うん、ケガはしてないけど、何だか変だよ」
(「へんって、なにがへんなの」「ぼく、とんでもないことを)
「変って、何が変なの」「ぼく、とんでもないことを
(してしまったかもしれない」「え、とんでもない)
してしまったかもしれない」「え、とんでもない
(ことってなんだい」「ひもがきれたかもしれない。)
ことって何だい」「ヒモが切れたかもしれない。
(ほら、いくらひっぱっても、てごたえがないんだよ。)
ホラ、いくら引っ張っても、手ごたえがないんだよ。
(ひっぱればひっぱるだけ、いくらでもずるずると)
引っ張れば引っ張るだけ、いくらでもズルズルと
(こちらへよってくるんだよ」しのざきくんは、もうなきだし)
こちらへ寄ってくるんだよ」篠崎君は、もう泣き出し
(そうなこえをしています。「え、ほんとうかい。みせて)
そうな声をしています。「え、本当かい。見せて
(ごらん」さすがのこばやしだんちょうも、それにはぎょっと)
ごらん」さすがの小林団長も、それにはギョッと
(しないではいられませんでした。いそいでしのざきくんのて)
しないではいられませんでした。急いで篠崎君の手
(からひもをとってひっぱってみると、ああ、なんと)
からヒモを取って引っ張ってみると、ああ、なんと
(いうことでしょう。みちしるべのひもは、どこかで)
いうことでしょう。 道しるべのヒモは、どこかで
(きれてしまったらしく、いくらでもたぐりよせる)
切れてしまったらしく、いくらでもたぐり寄せる
(ことができるのです。それをしったしょうねんたちは、)
ことが出来るのです。それを知った少年たちは、
(もうむねをどきどきさせながら、こばやしだんちょうとしのざきくんの)
もう胸をドキドキさせながら、小林団長と篠崎君の
(まわりにあつまってきました。「ひもがきれたのは、ほんとう)
周りに集まってきました。「ヒモが切れたのは、本当
(かい」「ちぇ、しょうがないなあ。じゃあ、)
かい」「チェ、しょうがないなあ。じゃあ、
(ぼくたち、もうかえれやしないじゃないか」「しのざきくん、)
ぼくたち、もう帰れやしないじゃないか」「篠崎君、
(きみがぼんやりしているからだよ。そのひもは、)
きみがボンヤリしているからだよ。そのヒモは、
(ぼくたちのいのちのつなじゃないか」すると、まだたおれた)
ぼくたちの命の綱じゃないか」 すると、まだ倒れた
(ままのしのざきくんが、なきながらこたえました。「ぼくが)
ままの篠崎君が、泣きながら答えました。「ぼくが
(わるいんだ。きみたち、ぼくをなぐってくれ。きがすむ)
悪いんだ。きみたち、ぼくを殴ってくれ。気が済む
(までなぐってくれ。ぼくのちゅういがたりなかったんだよ」)
まで殴ってくれ。ぼくの注意が足りなかったんだよ」
(それをきくと、もうだれもしのざきくんをせめるきには)
それを聞くと、もうだれも篠崎君を責める気には
(なれませんでした。みんなだまりこんでしまって、)
なれませんでした。みんな黙り込んでしまって、
(しーんとしずまりかえったやみのなかに、しのざきくんのはなをすする)
シーンと静まり返った闇の中に、篠崎君の鼻をすする
(おとだけがきこえていました。「おい、みんな、)
音だけが聞こえていました。「おい、みんな、
(これはしのざきくんがわるいんじゃないよ。これをみたまえ。)
これは篠崎君が悪いんじゃないよ。これを見たまえ。
(このひものきりくちは、いわにすれてきれたんじゃ)
このヒモの切り口は、岩にすれて切れたんじゃ
(ないよ。ほら、ここをごらん」とつぜん、こばやしだんちょうが)
ないよ。ほら、ここをご覧」突然、小林団長が
(みょうなことをいいだしたので、しょうねんたちがその)
みょうなことを言いだしたので、少年たちがその
(そばによってみると、ひもはすっかりてもとに)
そばに寄って見ると、ヒモはすっかり手元に
(たぐりよせられ、こばやしくんはそのきりくちをかいちゅうでんとうの)
たぐり寄せられ、小林君はその切り口を懐中電灯の
(ひかりにかざして、ふしぎそうにながめているのでした。)
光にかざして、不思議そうにながめているのでした。
(「ね、これは、すりきれたんじゃなくて、はさみで)
「ね、これは、すり切れたんじゃなくて、ハサミで
(きったきりくちだよ」いかにも、ひものはしはするどい)
切った切り口だよ」 いかにも、ヒモの端は鋭い
(はものでせつだんしたような、はっきりしたきりくちです。)
刃物で切断したような、ハッキリした切り口です。
(「おかしいなあ。いったい、だれがひもをきったん)
「おかしいなあ。一体、だれがヒモを切ったん
(だろう。このしょうにゅうどうのなかには、ぼくたちいがいだれも)
だろう。この鍾乳洞の中には、ぼくたち以外だれも
(いないじゃないか」「だから、ぼくはふしぎで)
居ないじゃないか」「だから、ぼくは不思議で
(しょうがないんだよ。なぜだろう。なぜひもを)
しょうがないんだよ。なぜだろう。なぜヒモを
(きったんだろう」「だれかがこれをきったとすれば、)
切ったんだろう」「だれかがこれを切ったとすれば、
(ぼくらをみちにまよわせて、こまらせるつもりにちがい)
ぼくらを道に迷わせて、困らせるつもりに違い
(ないね」「そうだよ。だが、そんなひどいいたずらを)
ないね」「そうだよ。だが、そんな酷いイタズラを
(するやつが、いるはずはないよ。ふしぎだね。ああ、)
する奴が、居るはずはないよ。不思議だね。ああ、
(もしかしたら」「え、もしかしたらって、なんだい」)
もしかしたら」「え、もしかしたらって、なんだい」
(こばやしくんが、それにこたえようとしているときでした。)
小林君が、それに答えようとしている時でした。