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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7420 7.5 98.4% 352.8 2661 43 57 2025/10/09
2 りく 6390 S 6.4 98.5% 420.0 2724 40 57 2025/10/05

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問題文

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(ししょうはきほんてきにおいかえしにかかるのだが、とうにんはいたってへいぜんとししょうのようしを)

師匠は基本的に追い返しにかかるのだが、当人はいたって平然と師匠の容姿を

(ほめそやし、くちさきさんすんでまるめこんでさいしゅうてきにただでさえとぼしいしょくりょうの)

誉めそやし、口先三寸で丸め込んで最終的にただでさえ乏しい食料の

(そのなんぷんのいちかをせしめるというきみょうなじんぶつであった。)

その何分の一かをせしめるという奇妙な人物であった。

(ぼくはいぜんそのかれのへやにあげてもらったときに、)

僕は以前その彼の部屋に上げてもらった時に、

(ひゃっかじてんがつめこまれたたながあったことをおぼえていた。)

百科事典が詰め込まれた棚があったことを覚えていた。

(「かまいませんが、あかさたなでいうと、どこをごしょもうですか」)

「かまいませんが、アカサタナで言うと、どこをご所望ですか」

(「か、のところをおねがいします」)

「カ、の所をお願いします」

(そういってうれのこりのころっけをさしだす。)

そう言って売れ残りのコロッケを差し出す。

(「しばしおまちを」)

「しばしお待ちを」

(そうしてしゅびよくひゃっかじてんをかりうけ、ししょうのへやにもどると、)

そうして首尾よく百科事典を借り受け、師匠の部屋に戻ると、

(さっそくかなへびのことがでているぺーじをひらいてみせた。)

さっそくカナヘビのことが出ているページを開いて見せた。

(ちいさなしゃしんがついている。そのすがたからしていちもくりょうぜんにとかげである。)

小さな写真が付いている。その姿からして一目瞭然にトカゲである。

(せつめいぶんをよむと「ゆうりんもくとかげあもくとかげかもくかなへびか」とある。)

説明文を読むと「有鱗目トカゲ亜目トカゲ下目カナヘビ科」とある。

(よくはわからないが、ようするにとかげのようだ。)

よくは分からないが、ようするにトカゲのようだ。

(しゃしんをみるかぎり、ふつうのとかげとくらべるとうろこがみょうにかさかさとして)

写真を見る限り、普通のトカゲと比べると鱗が妙にカサカサとして

(あぶらけがないいんしょうだった。だがもちろんてあしはあるし、へびとはあきらかにちがう。)

油気がない印象だった。だがもちろん手足はあるし、ヘビとは明らかに違う。

(「とかげじゃないですか」)

「トカゲじゃないですか」

(「・・・・・」)

「・・・・・」

(ししょうはなにごとかはんろんしようとしたようだが、ひゃっかじてんのせびょうしをみて、)

師匠は何ごとか反論しようとしたようだが、百科事典の背表紙を見て、

(それがゆうめいなしゅっぱんしゃのものであることをかくにんするや、あきらめたようにたんそくした。)

それが有名な出版社のものであることを確認するや、諦めたように嘆息した。

など

(「はいはい。わたしがまちがえておりました。あほでした。)

「はいはい。私が間違えておりました。あほでした。

(これでよいのでございましょう」)

これで良いのでございましょう」

(そういってじぶんのえがいたへびのえにもうしわけていどのちいさなあしをよんほんかきそえた。)

そう言って自分の描いたヘビの絵に申し訳程度の小さな足を四本書き添えた。

(とぐろをまいたままなのでばらんすがひじょうにわるい。)

トグロを巻いたままなのでバランスが非常に悪い。

(というか、てなどはいっけんにほんならんでいるのだが、)

というか、手などは一見二本並んでいるのだが、

(よくみるととぐろのべつのだんからでている。ぼうとくてきなせいぶつだ。)

よく見るとトグロの別の段から出ている。冒涜的な生物だ。

(そのえにたいするつっこみをいれるまえに、ふとおもった。)

その絵に対する突っ込みを入れる前に、ふと思った。

(ひゃっかじてんのきじなのにしゅっぱんしゃしだいではなにかいいわけするつもりだったのか)

百科事典の記事なのに出版社次第では何か言い訳するつもりだったのか

(このひとは。)

この人は。

(すねたようにうつむいて、ねんがじょうのつづきをかきはじめたのをみてぼくはこしをあげ、)

拗ねた様にうつむいて、年賀状の続きを書き始めたのを見て僕は腰を上げ、

(ひゃっかじてんをかえしにいった。)

百科事典を返しに行った。

(どあをたたくと、こむらだかなかむらだかおおむらだかというなまえのりんじんが)

ドアを叩くと、小村だか中村だか大村だかという名前の隣人が

(にゅっとかおをだす。)

にゅっと顔を出す。

(「ころっけのなにをおしらべになったのです」)

「コロッケの何をお調べになったのです」

(「いえ、たしかにかぎょうではありますが、ころっけをしらべたんじゃありません」)

「いえ、確かにカ行ではありますが、コロッケを調べたんじゃありません」

(「そうですか。かぼちゃころっけもくりーむころっけもかぎょうですから)

「そうですか。カボチャコロッケもクリームコロッケもカ行ですから

(わたしはてっきり。そうですか。そういえばきのうおとなりをたずねてこられただんせいの)

私はてっきり。そうですか。そういえば昨日お隣を訪ねて来られた男性の

(おなまえもかぎょうからはじまったような」)

お名前もカ行から始まったような」

(「もっといりますか。ころっけ」)

「もっといりますか。コロッケ」

(「あ、すみません。こんなに」)

「あ、すみません。こんなに」

(「で、そのおとことは」)

「で、その男とは」

(「さいきんまたよくみるようになったかたですよ。あのせのたかい」)

「最近またよく見る様になった方ですよ。あの背の高い」

(やつか。)

やつか。

(あんうつなきぶんになった。じょうきょうをもうすこしくわしくきいたが、)

暗鬱な気分になった。状況をもう少し詳しく聞いたが、

(そのきぶんにはくしゃをかけただけだった。)

その気分に拍車をかけただけだった。

(「あげます」)

「あげます」

(「え。ぜんぶ。すみませんねどうも。これでとしをこせそうです」)

「え。全部。すみませんねどうも。これで年を越せそうです」

(たまごのようなあたまをていねいにさげるのをぼうぜんとみおろしてからししょうのへやにもどる。)

卵のような頭を丁寧に下げるのを呆然と見下ろしてから師匠の部屋に戻る。

(そのほんにんはまんねんひつのさきをぺろりとなめながらまじめくさったかおで)

その本人は万年筆の先をペロリと舐めながら真面目くさった顔で

(てーぶるにむかっていた。)

テーブルに向かっていた。

(ぼくはしんたいにこびりついたれいきをふりはらうようにげんかんぐちでふくのすそをなおすと、)

僕は身体にこびり付いた冷気を振り払うように玄関口で服の裾を直すと、

(うっそりとこたつにはいった。)

うっそりとコタツに入った。

(「くりすます、どうするんですか」)

「クリスマス、どうするんですか」

(なんだかどうでもよくなってきて、ほんだいをくちにした。)

なんだかどうでも良くなってきて、本題を口にした。

(「は?」)

「は?」

(ししょうはあたまがすっかりしょうがつへとんでいたのか、そのたんごのいみが)

師匠は頭がすっかり正月へ飛んでいたのか、その単語の意味が

(いっしゅんりかいできないようなひょうじょうをしたが、すぐにわらいはじめた。)

一瞬理解できないような表情をしたが、すぐに笑い始めた。

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