第16章 恐山の声
青森県がテーマのオリジナル小説
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問題文
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(だいななのかぎをてにしたかいとたちは、もりとのろうじんからさいごのじょげんをうけていた。)
第七の鍵を手にした海斗たちは、守人の老人から最後の助言を受けていた。
(「かぎはそろった。だがあおきあかりをめざめさせるには、さいごにしんじつをしらなければならない」)
「鍵は揃った。だが青き灯を目覚めさせるには真実を知らなければならない」
(ろうじんのひょうじょうはどこかおもかった。)
老人の表情はどこか重かった。
(「そのこたえはおそれざんにある」)
「その答えは恐山にある」
(おそれざん。)
恐山。
(しもきたはんとうにあるれいじょう。)
下北半島にある霊場。
(ししゃのたましいがあつまるばしょとしてしられている。)
死者の魂が集まる場所として知られている。
(すうじつご。)
数日後。
(かいと、れん、みさき、そしてとうどうはしもきたはんとうへむかった。)
海斗、蓮、美咲、そして東堂は下北半島へ向かった。
(そらにはおもいくもがひろがっていた。)
空には重い雲が広がっていた。
(しゃそうからみえるうみもどこかくらい。)
車窓から見える海もどこか暗い。
(やがておそれざんへとうちゃくする。)
やがて恐山へ到着する。
(あらあらしいいわば。)
荒々しい岩場。
(いおうのにおい。)
硫黄の匂い。
(しろいけむり。)
白い煙。
(まるでべつせかいだった。)
まるで別世界だった。
(みさきがふあんそうにつぶやく。)
美咲が不安そうにつぶやく。
(「ほんとうにここにこたえがあるのかな」)
「本当にここに答えがあるのかな」
(とうどうはしずかにうなずいた。)
東堂は静かに頷いた。
(「ある」)
「ある」
など
(よんにんはやまみちをすすんだ。)
四人は山道を進んだ。
(かぜのおとしかきこえない。)
風の音しか聞こえない。
(しかしかいとはみょうなかんかくをおぼえていた。)
しかし海斗は妙な感覚を覚えていた。
(だれかにみられているきがする。)
誰かに見られている気がする。
(そのときだった。)
その時だった。
(はいごからこえがきこえた。)
背後から声が聞こえた。
(「かいと」)
「海斗」
(ふりかえる。)
振り返る。
(だれもいない。)
誰もいない。
(「きのせいか」)
「気のせいか……」
(そうおもったしゅんかん。)
そう思った瞬間。
(ふたたびこえがした。)
再び声がした。
(こんどはもっとはっきりと。)
今度はもっとはっきりと。
(「かいと」)
「海斗」
(それはすうねんまえになくなったそぼのこえだった。)
それは数年前に亡くなった祖母の声だった。
(かいとのかおからちのけがひいた。)
海斗の顔から血の気が引いた。
(れんもなにかきこえたらしい。)
蓮も何か聞こえたらしい。
(みさきもたちどまっている。)
美咲も立ち止まっている。
(とうどうだけがひょうじょうをかえなかった。)
東堂だけが表情を変えなかった。
(「きこえるだろう」)
「聞こえるだろう」
(「おそれざんではこころのおくにねむるきおくがこえになる」)
「恐山では心の奥に眠る記憶が声になる」
(やがてよにんはおおきなみずうみへたどりついた。)
やがて四人は大きな湖へ辿り着いた。
(うそりこだった。)
宇曽利湖だった。
(はいいろのそらをうつしている。)
灰色の空を映している。
(こめんのちゅうおう。)
湖面の中央。
(あおいひかりがあらわれた。)
青い光が現れた。
(かぎがきょうめいする。)
鍵が共鳴する。
(するとみずうみのうえにきょだいなえいぞうがうかびあがった。)
すると湖の上に巨大な映像が浮かび上がった。
(それはよんひゃくねんまえのあおもりだった。)
それは四百年前の青森だった。
(だれもことばをはっせなかった。)
誰も言葉を発せなかった。
(かこそのものがめのまえにひろがっていた。)
過去そのものが目の前に広がっていた。