『私は知らない』
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問題文
(わたしはしらない。)
私は知らない。
(しにたいがいらないせいかつを。)
「死にたい」がいらない生活を。
(わたしはしらない。)
私は知らない。
(きみがくれたことばのうらがわを。)
君がくれた言葉の裏側を。
(わたしはしらない。)
私は知らない。
(くすりのきかないずつうのなおしかたを。)
薬の効かない頭痛の治し方を。
(わたしはしらない。)
私は知らない。
(うそひとつないしあわせと、えがおのほんとうのつかいかたを。)
嘘一つない幸せと、笑顔の本当の使い方を。
(どうせいつかすべてうしなうことになるなら、)
どうせいつか全て失うことになるなら、
(はじめからなにももっていないほうがいい。)
初めから何も持っていない方がいい。
(どうせいつかうらぎられるなら、)
どうせいつか裏切られるなら、
(はじめからなにもしらないほうがいい。)
初めから何も知らない方がいい。
(だからわたしはわたしにうそをついた。)
だから私は私に嘘をついた。
(これがふつうのせいかつで、)
これが普通の生活で、
(きみのことばはきっとぜんいにあふれていて、)
君の言葉はきっと善意に溢れていて、
(くすりがきかないのはわたしのたいちょうかんりぶそくがげんいんで、)
薬が効かないのは私の体調管理不足が原因で、
(しあわせなんかこのよにはなくて、)
幸せなんかこの世にはなくて、
(えがおのしかたはおしえられていないからしらないのだと。)
笑顔の仕方は教えられていないから知らないのだと。
(うそをつくたびに、むねのおくがくるしくなる。)
嘘をつく度に、胸の奥が苦しくなる。
(でも、いまのわたしにとって、)
でも、今の私にとって、
(こころがいたいことはもんだいではない。)
心が痛いことは問題ではない。
(いたいのも、くるしいのも、さびしいのも、)
痛いのも、苦しいのも、寂しいのも、
(ぜんぶなれてしまったから。)
全部慣れてしまったから。
(たばのあいだのしあわせをてにいれてしまうくらいなら、)
束の間の幸せを手に入れてしまうくらいなら、
(わたしはぬるまゆのふこうにつかって、)
私はぬるま湯の不幸に浸かって、
(このまましずかにいきていきたい。)
このまま静かに生きていたい。