まなづるとダァリヤ 2/4 宮沢賢治

関連タイピング
-
自作小説
プレイ回数72長文1966打 -
プレイ回数2224短文254打
-
自作小説
プレイ回数27長文1550打 -
自作小説
プレイ回数17長文2060打 -
坂口安吾の小説です。青空文庫から引用
プレイ回数292長文2391打 -
坂口安吾の小説です。青空文庫から引用
プレイ回数361長文4252打 -
自作小説
プレイ回数72長文2946打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第八話
プレイ回数445長文2187打
問題文
(やまやまにぱらふぃんのくもがしろくよどみ、よがあけました。)
山やまにパラフィンの雲が白くよどみ、夜があけました。
(きいろなだぁりやはびっくりして、さけびました。)
黄色なダァリヤはびっくりして、さけびました。
(「まあ、あなたのうつくしくなったこと。)
「まあ、あなたのうつくしくなったこと。
(あなたのまわりは、ももいろのごこうよ。」)
あなたのまわりは、もも色の後光よ。」
(「ほんとうよ。あなたのまわりは、にじからあかいひかりだけあつめてきたようよ。」)
「ほんとうよ。あなたのまわりは、虹から赤い光りだけあつめてきたようよ。」
(「あら、そう。だってやっぱりつまらないわ。)
「あら、そう。だってやっぱりつまらないわ。
(あたし、あたしのひかりでそらをあかくしようとおもっているのよ。)
あたし、あたしの光りで空を赤くしようとおもっているのよ。
(おひさまが、いつもよりきんぷんをいくらかよけいに、まいていらっしゃるのよ。」)
お日さまが、いつもより金粉をいくらかよけいに、まいていらっしゃるのよ。」
(きいろなはなは、どちらもだまって、くちをつぐみました。)
黄色な花は、どちらもだまって、口をつぐみました。
(そのきんいろのまひるについで、)
その黄金色(きんいろ)のまひるについで、
(らんしょうせきのさわやかなよるがまいりました。)
藍晶石のさわやかな夜がまいりました。
(いちめんのきらぼしのしたを、もじゃもじゃのまなづるが、)
いちめんのきら星の下を、もじゃもじゃのまなづるが、
(あわただしくとんですぎました。)
あわただしく飛んですぎました。
(「まなづるさん。あたし、かなりひかっていない?」)
「まなづるさん。あたし、かなりひかっていない?」
(「ずいぶん、ひかっていますね。」)
「ずいぶん、ひかっていますね。」
(まなづるは、むこうのほのじろいきりのなかにおちていきながら、)
まなづるは、むこうのほの白いきりのなかにおちていきながら、
(またこえひくくしろいだぁりやへこえをかけていきました。)
また声ひくく白いダァリヤへ声をかけていきました。
(「こんばんは、ごきげんはいかがですか。」)
「こんばんは、ごきげんはいかがですか。」
(ほしはめぐり、きんせいのおわりのうたで、)
星はめぐり、金星のおわりの歌で、
(そらはすっかりぎんいろになり、よがあけました。)
空はすっかり銀色になり、夜があけました。
(にっこうは、けさはかがやくこはくのなみです。)
日光は、けさはかがやくこはくの波です。
(「まあ、あなたのうつくしいこと。)
「まあ、あなたのうつくしいこと。
(ごこうはきのうのごばいもおおきくなってるわ。」)
後光はきのうの五ばいも大きくなってるわ。」
(「ほんとうに、めもさめるようなのよ。)
「ほんとうに、めもさめるようなのよ。
(あのなしのきまで、あなたのひかりがいってますわ。」)
あのなしの木まで、あなたの光りがいってますわ。」
(「ええ、それはそうよ。だってつまらないわ。)
「ええ、それはそうよ。だってつまらないわ。
(たれもまだあたしを、じょおうさまだとはいわないんだから。」)
たれもまだあたしを、女王さまだとはいわないんだから。」
(そこできいろなだぁりやは、さびしくかおをみあわせて、)
そこで黄色なダァリヤは、さびしく顔を見あわせて、
(それからにしのぐんじょうのさんみゃくに、そのおおきなひとみをなげました。)
それから西の群青の山脈に、その大きなひとみを投げました。
(かんばしくきらびやかな、あきのいちにちはくれ、)
かんばしくきらびやかな、秋の一日は暮れ、
(つゆはおちほしはめぐり、そしてあのまなづるが、)
つゆはおち星はめぐり、そしてあのまなづるが、
(みっつのはなのうえのそらを、だまってとんですぎました。)
三つの花の上の空を、だまって飛んですぎました。
(「まなづるさん。あたしこんやどうみえて?」)
「まなづるさん。あたしこんやどう見えて?」
(「さあ、たいしたもんですね。けれども、もうだいぶくらいからな。」)
「さあ、たいしたもんですね。けれども、もうだいぶ暗いからな。」
(まなづるは、そしてむこうのぬまのきしをとおって、)
まなづるは、そしてむこうの沼の岸をとおって、
(あのしろいだぁりやにいいました。)
あの白いダァリヤにいいました。
(「こんばんは、いいおばんですね。」)
「こんばんは、いいおばんですね。」