星の王子さま 26① (29/32)

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たいせつなこと 1/3
サン=テグジュペリ作 内藤濯訳 
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 Par100 3583 D+ 3.7 96.1% 953.0 3558 143 83 2024/02/14

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問題文

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(いどのそばには、ふるいこわれたいしがきがありました。)

井戸のそばには、古い壊れた石垣がありました。

(あくるひのゆうがた、ぼくがしごとからもどってくると、)

あくる日の夕方、ぼくが仕事から戻ってくると、

(ぼくのおうじさまが、こわれたいしがきのうえに、りょうあしをぶらりとたれて、)

ぼくの王子さまが、こわれた石垣の上に、両足をぶらりとたれて、

(こしをおろしているのが、とおくからみえました。)

腰をおろしているのが、遠くから見えました。

(すると、こういっているおうじさまのこえがきこえました。)

すると、こういっている王子さまの声がきこえました。

(「じゃあ、おぼえていないのかい? どうもここじゃなさそうだよ」)

「じゃあ、おぼえていないのかい? どうもここじゃなさそうだよ」

(ほかのこえが、きっとどこかでこたえたのでしょう。)

ほかの声が、きっとどこかで答えたのでしょう。

(おうじさまが、すぐこういったのですから。)

王子さまが、すぐこういったのですから。

(「そうだよ、そうだよ!きょうだったんだよ。)

「そうだよ、そうだよ!今日だったんだよ。

(だけど、ばしょはここじゃないんだ・・・」)

だけど、場所はここじゃないんだ・・・」

(ぼくは、ずっといしがきのほうにあるいてゆきました。)

ぼくは、ずっと石垣のほうにあるいてゆきました。

(いくらあるいていっても、だれのすがたもみえませんし、だれのこえもきこえません。)

いくら歩いていっても、だれの姿も見えませんし、だれの声もきこえません。

(が、おうじさまはまたいいました。)

が、王子さまはまたいいました。

(「・・・そのとおりだよ。)

「・・・そのとおりだよ。

(すなのなかの、ぼくのあしあとが、どこではじまってるか、みておくれ。)

砂の中の、ぼくの足あとが、どこではじまってるか、見ておくれ。

(ぼくを、そこでまっていさえすればいいんだ。)

ぼくを、そこで待っていさえすればいいんだ。

(こんや、そこへいくんだから」)

今夜、そこへいくんだから」

(ぼくは、いしがきからにじゅうめーとるのところにいましたが、)

ぼくは、石垣から二十メートルのところにいましたが、

(やっぱりなんにもみえません。)

やっぱりなんにも見えません。

(おうじさまは、しばらくだまっていたあとで、またいいました。)

王子さまは、しばらくだまっていたあとで、またいいました。

など

(「きみ、いいどく、もってるね。)

「きみ、いい毒、持ってるね。

(きっと、ぼく、ながいことくるしまなくていいんだね?」)

きっと、ぼく、長いこと苦しまなくていいんだね?」

(ぼくは、むねがつぶれるようなきがしてたちどまりました。)

ぼくは、胸がつぶれるような気がして立ちどまりました。

(しかし、やっぱりなんのことかわかりません。)

しかし、やっぱりなんのことかわかりません。

(「さあ、もう、むこうへいって・・・ ぼく、したへおりたいんだ!」)

「さあ、もう、向こうへ行って・・・ ぼく、下へおりたいんだ!」

(そのとき、ぼくはぼくで、いしがきのねもとのほうをみおろして、)

そのとき、ぼくはぼくで、石垣の根元の方を見下ろして、

(はっととびあがりました。)

ハッと飛び上がりました。

(そこには、さんじゅうびょうのあいだに、ひとのいのちをたちきる、きいろいへびがいっぴき、)

そこには、三十秒の間に、ひとの命を断ちきる、黄色いヘビが一ぴき、

(おうじさまのほうへ、かまくびをつきたてていました。)

王子さまの方へ、かまくびをつきたてていました。

(ぴすとるをとりだそうと、ぼくはぽけっとのうちをさぐりながら、かけだしました。)

ピストルをとりだそうと、ぼくはポケットの内を探りながら、かけ出しました。

(しかし、へびは、ぼくのあしおとをきくと、)

しかし、ヘビは、ぼくの足音をきくと、

(ふんすいのみずがだんだんあがらなくなるように、)

ふんすいの水がだんだん上がらなくなるように、

(すうーっと、すなのなかへすべりこみました。)

すうーっと、砂の中へすべりこみました。

(そして、こんどは、そんなにいそいでいるようすもなく、)

そして、こんどは、そんなに急いでいるようすもなく、

(かなものをひきずるようなかるいおとをたてて、いしといしとのあいだにもぐりこみました。)

金物をひきずるような軽い音をたてて、石と石との間にもぐりこみました。

(いしがきのところへいきついたとき、ちょうどうまくおりてくるおうじさまを、)

石垣のところへいきついたとき、ちょうどうまくおりてくる王子さまを、

(ぼくは、りょううででうけとめました。 そのかおは、ゆきのようにしろくなっていました。)

ぼくは、両腕で受け止めました。 その顔は、雪のように白くなっていました。

(「いったい、どうしたっていうのかい? こんどはへびとはなしするなんて!」)

「いったい、どうしたっていうのかい? こんどはヘビと話するなんて!」

(ぼくは、おうじさまが、いつもくびにまいているきんいろのえりまきをほどきました。)

ぼくは、王子さまが、いつも首にまいている金色のえりまきをほどきました。

(こめかみをしめして、みずをのませました。)

こめかみをしめして、水を飲ませました。

(ことがこうなっては、ぼくは、もう、おうじさまに、)

ことがこうなっては、ぼくは、もう、王子さまに、

(なんにもきくゆうきがありません。)

なんにもきく勇気がありません。

(まじめなかおで、ぼくをみつめていたおうじさまは、)

まじめな顔で、ぼくを見つめていた王子さまは、

(りょううでを、ぼくのくびにからませました。)

両腕を、ぼくの首にからませました。

(おうじさまのしんぞうは、てっぽうでうたれて、いきもたえそうになっている)

王子さまの心臓は、鉄砲でうたれて、息も絶えそうになっている

(とりのしんぞうのように、こどうしていました。)

鳥の心臓のように、鼓動していました。

(おうじさまは、ぼくに、こういいました。)

王子さまは、ぼくに、こういいました。

(「きかいのいけないとこがみつかってよかったね。)

「機械のいけないとこが見つかってよかったね。

(これで、きみは、うちへかえっていけるんだ・・・」)

これで、きみは、うちへ帰っていけるんだ・・・」

(「どうしてしってるの、そんなこと?」)

「どうして知ってるの、そんなこと?」

(ぼくは、とてもだめだろうとおもっていたしごとが、うまくいったことを、)

ぼくは、とてもだめだろうと思っていた仕事が、うまくいったことを、

(ちょうどしらせようとおもって、きたところでした。)

ちょうど知らせようと思って、きたところでした。

(おうじさまは、ぼくのきいたことには、なんにもこたえません。)

王子さまは、ぼくのきいたことには、なんにも答えません。

(が、つづけて、こういいました。)

が、つづけて、こういいました。

(「ぼくも、きょう、うちにかえるよ・・・」)

「ぼくも、きょう、うちに帰るよ・・・」

(それから、かなしそうにーーー)

それから、かなしそうにーーー

(「でも、きみんとこより、もっともっととおいところなんだ・・・)

「でも、きみんとこより、もっともっと遠いところなんだ・・・

(もっともっとほねがおれるんだ・・・」)

もっともっとほねがおれるんだ・・・」

(おうじさまがこういうのでは、そのみのうえに、なにか、なみたいていでないことが、)

王子さまがこういうのでは、その身の上に、なにか、並大抵でないことが、

(もちあがっているにちがいありません。)

持ち上がっているにちがいありません。

(でぼくは、あかんぼうでもだくように、しっかとだきしめましたが、)

でぼくは、赤んぼうでもだくように、しっかと抱きしめましたが、

(おうじさまのからだは、どこかのふかいふちにまっさかさまにおちていって、)

王子さまのからだは、どこかの深い淵にまっさかさまにおちていって、

(ひきとめるにもひきとめられないようなきがしました・・・。)

引き止めるにも引き止められないような気がしました・・・。

(おうじさまは、とおいところでまいごにでもなったように、)

王子さまは、遠いところで迷子にでもなったように、

(きっとしためをしていました。)

きっとした目をしていました。

(「ぼく、きみがかいてくれたひつじももってる。)

「ぼく、きみがかいてくれたヒツジも持ってる。

(ひつじをいれるはこももってる。 それからくちわも・・・」)

ヒツジを入れる箱ももってる。 それから口輪も・・・」

(それから、おうじさまは、さびしそうに、にっこりしました。)

それから、王子さまは、さびしそうに、にっこりしました。

(ぼくは、ながいこと、ようすをみていました。)

ぼくは、長いこと、ようすを見ていました。

(おうじさまは、すこしずつ、げんきづいてゆくようです。)

王子さまは、すこしずつ、元気づいてゆくようです。

(「ぼっちゃん、きみ、こわかったんだね・・・」)

「ぼっちゃん、きみ、こわかったんだね・・・」

(おうじさまは、こわかったのです。)

王子さまは、こわかったのです。

(それにまちがいありません。)

それにまちがいありません。

(けれど、おうじさまは、しずかにわらっています。)

けれど、王子さまは、しずかに笑っています。

(「ぼく、こんやは、もっともっと、こわいおもいをするんだ・・・」)

「ぼく、今夜は、もっともっと、こわい思いをするんだ・・・」

(ぼくは、もう、どうにもとりかえしがつかないことがおこりそうなきがして、)

ぼくは、もう、どうにも取り返しがつかないことがおこりそうな気がして、

(また、むねのうちがつめたくなりました。)

また、胸の内が冷たくなりました。

(おうじさまの、あのわらいごえが、もう、にどとはきかれなくなるのだ、)

王子さまの、あの笑い声が、もう、二度とはきかれなくなるのだ、

(とおもうことさえ、しんぼうできないことがわかりました。)

と思うことさえ、辛抱できないことがわかりました。

(おうじさまのあのわらいごえをきくことは、)

王子さまのあの笑い声をきくことは、

(さばくのなかでいずみのみずをみつけるのとおなじだったからです。)

砂漠の中で泉の水を見つけるのと同じだったからです。

(「ぼっちゃん、ぼく、あんたのあのわらいごえが、もっとききたいんだ・・・」)

「ぼっちゃん、ぼく、あんたのあの笑い声が、もっとききたいんだ・・・」

(けれど、おうじさまは、ぼくにこういいました。)

けれど、王子さまは、ぼくにこういいました。

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