変化のある朝(魔術師の正位置)

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投稿者投稿者死神の嫁いいね1お気に入り登録
プレイ回数418難易度(4.9) 1230打 長文 長文モードのみ
タロットカードを題材にした、オリジナル小説です
別サイトにて投稿している小説をタイピングにしてみました!
2枚目のカード、魔術師の正位置との話です。
面白いと思ってもらえたり、カードのことを知っていただけると嬉しいです!

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問題文

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(「おはようあるじ、きょうもしょくぱんかい?」)

「おはよう主、今日も食パンかい?」

(わたしがちょうしょくにしようとしょくぱんをやいていると、のんきなこえがきこえてきた。)

私が朝食にしようと食パンを焼いていると、のんきな声が聞こえてきた。

(かれは「まじゅつし」のせいいち、かーどばんごうは1で)

彼は『魔術師』の正位置、カード番号は1で

(なにかをうみだすことをとくいとするかーどである。)

何かを生み出すことを得意とするカードである。

(おもないみは「そうぞう・あらたなせいかつ・こうりゅうをふかめる」など。わたしはまじしゃんとよぶ。)

主な意味は『創造・新たな生活・交流を深める』など。私はマジシャンと呼ぶ。

(「おはようまじしゃん、わかりきったことまいにちきかないでよ」)

「おはようマジシャン、分かり切ったこと毎日聞かないでよ」

(「はは、そうだね。あるじがあさからごはんとみそしるって、みたことないや」)

「はは、そうだね。主が朝からごはんとみそ汁って、見たことないや」

(「あれ、じゃむがない。きょうはおさとうにしよ」)

「あれ、ジャムがない。今日はお砂糖にしよ」

(まじゅつしもといまじしゃんは、だいたいちょうしょくじにかおをだす。)

魔術師もといマジシャンは、だいたい朝食時に顔を出す。

(そのりゆうについてはとくにはないらしい。)

その理由については特にはないらしい。

(もくもくとちょうしょくをとるわたしを、なにもいわずにみつめてくるだけである。)

黙々と朝食を摂る私を、何も言わずに見つめてくるだけである。

(「まいにちそうやってみてるけど、あきないの?」)

「毎日そうやって見てるけど、飽きないの?」

(「ん?あきないよ」)

「ん? 飽きないよ」

(「おなじことなのに?」)

「同じことなのに?」

(そういったしゅんかん、まじしゃんのひょうじょうがかわった。)

そう言った瞬間、マジシャンの表情が変わった。

(さきほどまでほほえんでいたというのに、いまはこまったようなかおをしている。)

先程まで微笑んでいたというのに、今は困ったような顔をしている。

(「あるじ、おなじことなんてないんだよ?あるじはにんげんなんだから」)

「主、同じ事なんてないんだよ? 主は人間なんだから」

(「どういういみ?」)

「どういう意味?」

(「あさはかならずくる。これはたしかにおなじだよね。)

「朝は必ず来る。これは確かに同じだよね。

(でもあるじはどうかな?きのうのあさと、まったくおなじだっていえる?」)

でも主はどうかな? 昨日の朝と、全く同じだって言える?」

など

(「それはそうだけど、ちょうしょくをたべることにはかわりないでしょ?」)

「それはそうだけど、朝食を食べることには変わりないでしょ?」

(「こうどうはね。でもこころのじょうたいとか、かんがえてることは?まったくおなじきもち?」)

「行動はね。でも心の状態とか、考えてることは? 全く同じ気持ち?」

(まじしゃんはそれだけをいうと、ふっとわらった。)

マジシャンはそれだけを言うと、ふっと笑った。

(どんなことでも、へんかはある。そういいたげなめをしていた。)

どんなことでも、変化はある。そう言いたげな目をしていた。

(まじしゃんからめをそらし、わたしはたべかけのしょくぱんをみつめてみた。)

マジシャンから目をそらし、私は食べかけの食パンを見つめてみた。

(へんかは、わからなかった。)

変化は、分からなかった。

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